ゲーム
125話目です。
「俺たちはちょっと荒野に用事があるんだが、
アイツらのせいで立ち往生しててな。
ここまで来た手前、引き返すに引き返せねぇ。
そこで兄ちゃん達の力を借りたい。
俺たちを荒野に連れて行ってくれ!」
『僕達は傭兵じゃない。
慈善事業もやってない。
なんでまたあの荒野に戻らないといけないんだよ』
「兄ちゃん…。
あの荒野に隠された物を知ってもまだ、
そんなこと言ってられるかぁ?」
『…別に聞く必要はないけど、言いたいんだろ?』
「あの荒野には遺跡が隠されている。
いつの時代の物かはわからねぇ。
だが、俺らの情報全てがそう語っている。
兄ちゃん、その仮面…遺物だよな?」
遺跡が好きなわけでは無い。
しかし、知りたいことが眠っている可能性が大いにある。
オリバーの心は揺れていた。
"コイツ"らは知っている。
オリバー達の知らないことを、確実に。
『僕達にメリットが見えない限りは断るしかないね。
残念だ。じゃ、僕達は先に行くよ』
「ま、待て待て!そりゃそうだよな!
そうだな…。
兄ちゃんが知りたい情報、提供してやるよ。
さて…何が知りたい?」
オリバーは仮面の奥で考えていた。
ここで口を開けば負けだ。
僕ならとりあえず言わせておいて、
知っていても知らないふりをするだろうから。
「お!お前ら親切だな!
俺らは今、このたいり―――」
『ガッツ!!』
その声と同時に突風が巻き上がり、
オリバーの周りの物が空間ごと後ずさりした。
「兄ちゃん、あんた…賢いな。
そのバカな兄ちゃんは外に出しておいたほうがいいぜ。
兄ちゃんが唯一見せている手札がジョーカーなんて…
面白くねぇからな」
『ガッツ、ごめん。
ここはこの人の言う通りにしてくれない?』
「わ、分かったよ。
後で教えてくれよ…?」
「ガッツ、我と行くか。
他のところへ行けば何か聞けるかも知れぬからな。
今のうちに出来ることはしておこう」
ガッツとジラトは酒場を後にし、町の探索に出た。
「危なかったな、兄ちゃん。
あと、あの力も今後は無しにしてくれよ?
尋常じゃねぇ迫力だった…。
だが、今はそんな駆け引きじゃねぇ。
わかるだろ?」
『そうだね。悪かった。熱くなってしまった。
さあ、続けよう。
まずはアンタたちが手札を切る番だ。
何を提供できる?』
「確かに…それが礼儀ってもんだよなぁ?
まずは俺からだな。
俺もレリックハンターだ。
荒野を通ってこの町に辿り着いたわけじゃねぇ」
僕達の反対側から来たということか。
いや、そうとは言ってなかったな。
レリックハンター……。
『そっちの方で見つけた面白い遺物見せてよ』
「なんだ、兄ちゃん。遺物に詳しいのか?」
『まずは要望に答えてよ。
知りたいことを教えてくれるんでしょ?』
「やっぱ甘くねぇな。
持ってはねぇが、探してる物はある。
首飾りだ。青い、心臓の形をしているらしい」
青い…心臓…?
どんな―――。
『どんな作用があるの?』
「やっぱ"知ってる側"だな、兄ちゃん。
"効果"じゃなくて"作用"かよ。
分かってるやつの口から出る言葉だ。
その仮面について教えてくれよ。
どんな"作用"なんだ?」
そこも突けるのか。
この人、言葉をよく観察してる。
ここは一敗だ。
さて、"どっち"を切るか。
『喋れなくなる。
代わりに、よく見えるようになる』
「喋れ…てるよな?
その指輪を介して話してんのか…。
だが、"作用"が破綻してるな。
俺はそんな間抜けじゃねぇぜ?
さて…嘘か、まだ言ってないだけか…。
悪手を打つとどんどん手札が減るぜ?」
下手に隠せない。
嘘もつけない。
いや、そもそも前提が間違っているのか。
僕はまだまだ未熟だ。
まずはこの人を敵に回さないことを意識しよう。
『ごめん。言葉が足りなかった。
この仮面は元々遺物じゃなかった。
昔を生きた人の私物。
それが長い時を経て遺物と化した。
正式な迷宮産の遺物じゃないんだよ』
「迷宮産だって!?
お前ら冒険者か!?」
『ん?そうだけど…いや、今は違うのか』
「冒険者があの荒野に何の用があんだよ!
レリックハンターじゃねぇのか!?」
『違うよ!ただの旅人だよ!』
「てことはマジで何も知らねぇヤツってことかよ…。
あーもう!やめだやめだ!これ以上やっても無駄だ!」
『どういうことだよ!教えてよ!』
「まず、この荒野に旅人も冒険者もいない。
ここに来るのはレリックハンターだけだ。
……俺が勘違いしてたんだよ!言わせんな!」
ん?レリックハンター同士の駆け引きのはずだったのか?
『………』
「俺らは別に情報を出し惜しみしたって意味ねぇんだよ。
住む世界が違ったんだ。尚更協力し合おうぜ。
迷宮のことなら知ってること全部教えてやる。
だからさっきの話は前向きに検討してくれ!な!」
『じゃ、引き分けってことで』
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