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神罰の英雄たち  作者: Anon
北の大陸(後編)

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122/168

荒れた大地

121話目です。

「あーー。いつまで歩くのー…。

もう限界…ここでいいから寝たい…動きたくない…」


ヒルダはまるで独り言のように次から次へと感情を吐き出している。


「まだ歩き始めて3カ月程度だ。

音を上げるにはまだ早いぞ?」


「ジラトの時間の感覚が壊れてるんだって!

3カ月も町に寄れず歩き続けてたら誰でも文句言うわよ!

しかもずーっと景色の変わらない荒野よ!?

ねえ!?ネフィア!?」


「え、その…確かにキツいですけど…楽しいですよ?

これが旅というものではないでしょうか?」

ネフィアは確かにこの3ヶ月一言も文句を言わずについてきていた。


「そうだった…。あなたも戦闘民族の娘だったわね…。

はあ…。普通の人間は私だけ…」

そう言ったヒルダの目線の先には、

元気よく談笑しながら歩くオリバーとガッツがあった。


「ねえー!町はまだなの!?

本当にこっちであってるの!?」


オリバーとガッツの話は、

ヒルダの声に気づかないほどの盛り上がりを見せていた。


「ねえーってば!!聞こえてるの!?おーーい!!」


「あー!なんだよ!今、オリバーと喋ってんだよ!

聞こえてるよ!いつもの文句だろ!?

そんな元気な声出るんならまだまだ行ける!」


「ヒルダはいつも元気だよね。

こんなに沢山歩いてるのに、

まだあんなに大きな声が出るんだから」


「オリバー…?それ本気?ふざけてるのよね?

この旅…私の味方はいないのね…。

全員、町に着いたら覚えてなさいよ…?」


「で、オリバー。本当にこっちであってるのか?

それだけはヒルダの言う通りで、

どっち歩いてんのか分かんねーんだよ」


その感覚だけはヒルダやガッツだけでなく、

全員が思っていることだった。


もちろん、オリバーも例外ではない。

しかし、それはオリバーにとって、

立ち止まる理由にも引き返す理由にもならない。


「こっちでいいのかなんて分かるわけないでしょ?

みんな分からなくて僕だけ分かってるほうが変じゃない?」


「怖いことを淡々と言わないでよ!

じゃあこの荒野をただグルグル回ってるだけだったってことも…?」


「それはやべーよヒルダ!

それはさすがに俺でも心が折れるぜ…?」


「ヒルダ、ガッツ、それは安心して。

ティリルに上空から僕達の足跡を見てもらってるんだ。

こっちでいいのかは大まかにしかわからないけど、

無限ループはないよ。それはあの森で十分だ」


「それが聞けただけでも少し安心した…。

後は町に着くだけ…

いや、もう町じゃなくてもいいからとにかく涼しい所に…」


「ヒルダ。これだけは言えるんだけど…

そのどちらも暫くは無さそうだよ」


「そんなことまで教えなくていいのよ!」


「ヒルダはいつも元気だな。

我は呪いのせいで疲れが回復しない。

これ以上長引けば次は我が文句を言う番だな」


文句を言う者、擁護をする者、先を見る者…。

何も景色が変わらない広大な荒野で唯一彼らの命を繋いでいるのは、

この奇跡的とも言えるバランスによってのものだろう。



そしてそこから更に3ヶ月。

彼らは依然、荒野を進み続けていた。

文句も談笑も何も聞こえない静寂の荒野を。


静寂に支配された彼らは、

地下で蠢く狩人の気配にすら気づかずにいた。


彼らは今、命を捉える地鳴りの上を歩いている。


その狩人は、狩れる好機を敢えて見逃しながら、

最も効率よく頂ける瞬間をただ待っている。


何度も死に、何度も生かされる。

この荒野は、入ったときからずっと、

その狩人の手中にあったのだ。



ヒルダの頬に血が一雫落ちた。


「…え?なんで上から…?」


ヒルダは驚きと同時に背筋が凍った。

今の今まで目の前を歩いていたオリバーの姿がなかった。

ご愛読ありがとうございます。

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