表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神罰の英雄たち  作者: Anon
北の大陸(後編)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

118/166

117話目です。

オリバー達はティリルについていくように森を歩いていた。

目的地は見えていて、それに近づいている感覚はあるのに、

森の主は手招きをやめない。


「ちょっと…!どんだけ歩くのよ…!」

ヒルダはいつものように先陣を切って文句を垂れる。


「これは魔法でも何でもありませんね。

ただ…遠いだけです」


「ちょっとネフィア。何でそんなことがわかるのよ」


「さっきまで感じていた魔力はもう感じません。

目の前に見えているものは確かに近づいていますし、

ただ本当に距離があるだけのようにも思えます」


ネフィアは淡々と現状を語った。


『ネフィアの言う通りだね。

この森は物理的距離で外敵から守っているのかも知れない』


「ここの入り方もよく分からないのに外敵なんて来ないでしょ」


ヒルダは歯に衣着せぬ物言いで言い返した。


『うん。確かにこの入り方が正当なんだったら、

外敵なんて来ないはずなんだ。

その答えはこの道の先で首を長くして待ってると思うよ』


オリバー、ヒルダ、ネフィアはその調子で話しながら歩みを進めていた。


その後ろをジラトとガッツが静かに話しながらついてきている。



「ジラト、さっきからあまり喋らねーけど、大丈夫か?」


ジラトはこの森に来てから何かをずっと考えていた。


「ああ…我か?我なら心配に及ばん」

そしてまたジラトは静かになり、上の空になってしまった。


「おい!ジラト!どうしたんだよ!

なんか気になることでもあんのか?」

ガッツは食い下がらずにジラトに問いかけ続ける。


「すまぬ。あの術式とこの森について考え込んでしまっていた」


「なんかわかったのか?」


「ああ。恐らくここは森ぞ―――」



「いらっしゃい」


ジラトの声を遮るように何者かに歓迎された。


『やっと会えたね。

僕達をここに招いたわけを教えてくれる?


―――妖精さん』


オリバーは目の前にいる壮年の妖精に話しかけた。

纏う魔力も、静かに揺れる羽根も、

この森で積み重ねてきた時間の長さを物語っていた。


「よく…ここまで来たね。

いつぶりだろうか、ティリル」


ティリルに声をかける妖精に対して、

オリバーは仮面を外し、自らの声で話し始めた。


「ティリルは、さっきの"閉じ込める森"に入ったあたりから、

ずっと眠ったままなんだ。

僕と感覚の共有はできてるみたいだけど…」



「そうか…。

こんなところで話すのもなんだ。

ついてきなさい」


妖精に案内されて訪れたのは、

彼ら妖精の体つきには似つかぬほど"大きな小屋"だった。

ここに辿り着くまでにも何人かの妖精とは出会ったが、

人とは誰とも出会っていない。

しかしこの小屋はまるで人が住むために作られたようだった。



「ここ、妖精さんの家じゃないよね?

誰か…"人"が住んでるの?」


これは全員が抱いていた疑問を、

オリバーが代表して聞いたようなものだった。


そして、妖精は静かに答えた。


「もう、暫く誰も帰っていないよ。

いつ帰ってもいいように綺麗にはしてるがね。

さあ、上がりなさい」



オリバー達はその妖精を信用しつつも恐る恐る小屋へ入り、

言われるがまま席に着いた。


そして妖精は話しだした。


「それで…ここに何の用だ?

あの森…無限の森に迷い込んだということは、

願ったのだろう?」


オリバー達は、妖精が言ったことが何一つ分からなかった。


「無限の森?願った?

何のことかさっぱり分からない。

僕達はある場所に向かってたんだけど、

いつの間にか森に迷い込んで閉じ込められてたんだ」


オリバーは誤解を与えないように慎重に説明した。


「ふむ。願ってはいないのか。

ではもう一つ問わせてもらうが、

どうやってこっち側に来た?」


妖精のその問いにオリバーは「これだよ」と言いながら手記を取り出した。


「この術式…!

これが森族である証明となってしまったのか…。

でも、なぜ君が…?」


さっきまで冷静だった妖精は、

フィエルの手記を見て少し狼狽えた。


「悪いけど僕達はこの術式も森のことも、そしてティリルのことも、

本当に何も分からずここにいるんだ。良かったら教えてくれない?」


オリバーのその言葉を聞いた妖精は、

何かを察したように落ち着きを取り戻した。

そして静かに語りだした。


「…ここに辿り着く為の鍵を持つのは森族のみ。

お主らがここに辿り着いたということは…

お主ら…いや、恐らくは高位妖精と契約をしている君だ。

君が、森族という紛れもない証なのだよ。

それもただの森族ではない。高位の…いやもっと上の――」


「ち、ちょっと待ってよ!

いきなり色々言われてもわからないよ!

僕が森族だって!?僕は人族の間に生まれたただの人族だよ!」


妖精はオリバーの声が聞こえていないかのように続ける。


「いや、君は恐らく古代森族だ」



「…古代…森族…」


妖精の言葉に反応したジラトは意味深に小さく呟いていた。

ご愛読ありがとうございます。

これからの投稿の励みになりますので、

宜しければブックマークと評価をお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ