本当の絶望
110話目です。
オリバーは仮面を外し、静かにガッツに話しかけた。
オリバー「ガッツ……大丈夫?」
ガッツ「オリバーか……」
深いため息をついた。
ガッツ「……大丈夫なわけねーだろ。
ずっと寝てたんだろ。
そんなの……大丈夫なわけねーよ」
ガッツは、視線を逸らした。
ガッツ「英雄様のご帰還かよ……くそっ……」
オリバーは打ちひしがれた。
かける言葉が出なかった。
その場で膝をつき項垂れた。
長い沈黙の後、
オリバーは何も言わず、
フラフラとその場を去った。
ヒルダ「え…!?オリバー!?
ちょっと何があったの!!オリバーってば!」
慌てて病室に向かったヒルダは…。
ヒルダ「って、なんだ…。起きてるじゃん。
よっ!ガッツ!よく眠れた?
オリバーと何かあったの?」
ガッツ「…知らねーよ。
もう一人にしてくれ。
ネフィアも…!」
ネフィア「は、はい…!」
ヒルダ「なんなのあいつ!感じ悪い!」
ネフィア「私の…せいかも知れません…」
ヒルダ「なんでネフィアが悪いのよ!
そんなわけないでしょ!」
ネフィア「私…オリバーさんが、頑張ったって……
迷宮で、何度も……その……でも……」
ヒルダ「でも?」
ネフィア「ガッツさん、何も覚えてないんです…。
この街のこともほとんど…。
口に出すのは夢の話ばかりで……」
ヒルダ「夢の話?なにそれ。
悪夢じゃないの?」
ネフィア「いえ。凄く楽しい冒険譚です…。
剣に魔法に…大きな竜まで一人で倒して……」
ヒルダ「ふーん。それで?」
ネフィア「その話をしている時はいつものガッツさんなんです…。
けど、私の顔をジッと見たかと思えば、
話すのをやめて放心状態になってしまうんです…」
ヒルダ「私にもあの態度ってことは、オリバーにも…?」
ネフィア「はい…。
オリバーさん、顔を輝かして会いに来てくれたのに…
人が本気で絶望するの…初めてみました…」
ヒルダ「うぅ…なんかもう…
オリバーが…可哀想で…」
ヒルダはその場で泣き出してしまった。
ネフィア「もう…みんな…どうしちゃったんですか…」
ジラト「ん?オリバー?どうした?
真っ先に走っていったかと思えば…」
オリバー「なんにも。なんにもなかった」
ジラト「ガッツは?ダメだったのか!?」
オリバー「しらない。もうだめかもしれない」
ジラト「…どういうことだ…?
説明できるか…?」
オリバー「わからない。ただ、こばまれた」
ジラト「ガッツがか?何故オリバーを拒む?
何かの間違いでは……ないのだろうな。
ふむ。オリバー、ここで待っていろ。
すぐに戻る」
オリバー「ぁ、そうだ…」
オリバーはまたフラフラとその場を離れてしまった。
ティナの病室。
そこにカイムの姿はない。
窓辺に一人の女性が佇んでいた。
ティナだ。
オリバーはそう思ったが、何かが違う。
ティナなのに、ティナじゃない。
その女性がオリバーの方を振り返った。
ティナ「あら、今度はどちら様?」
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