第三層:消耗
103話目です。
オリバーは相変わらず足が重い。
ヒルダも、反転祝福による緩和をやめたせいか、
思うように身体が動かなくなってきた。
そしてジラトも真っ直ぐ歩けなくなっていた。
オリバー『……ジラト…。どうしたの…?』
ジラト「やはり…我もおかしいのだな。
しっかりしていようと強がっていたのだが…
さっきから力が入らぬのだ…」
ジラトは言葉を発しながら、ついに膝をついてしまった。
ヒルダ「……ジラト…!?」
駆け寄ろうとしたヒルダも足がもつれて転んでしまった。
オリバー『ヒルダ…!ジラト…!なんで…!どうしたの…!?』
ヒルダ「気のせいかと思ってたけど…
2人とも"こう"ならもう気のせいじゃないわね…。
たしかに…力が抜けていく気がするのよ…。
これも…この霧のせいなの…?」
ジラト「霧は…恐怖を増幅させるのでは…ないのか…?」
2人が考察している間、
オリバーは目を瞑り周囲の空気に集中していた。
オリバー(いつもならこうするはずなのに…
もっと冷静にならなきゃ……いや、もう考えるのはやめよう)
オリバー『ティリル。お願い』
何かを察したように眠っているティリルに声をかけた。
ティリル「もーっ!オリバー!こんなとこで起こさないでよっ!」
オリバー(ごめん、ティリル。ここの空気ってなんか変だよね?)
ティリル(うん。凄く霧が濃いけど、
その霧に夥しい量の魔力が漂ってる…。
いや、魔力を吸い取ってる…?)
オリバー(やっぱりか…。
ティリル。僕は後回しでいいから、
この2人にアレを施してあげて)
ティリル(わかったっ!)
ティリル「いっくよーっ!輝糸の継ぎ手!」
ヒルダとジラトに金色の光が降り注ぐ。
オリバー(ティリル、どこまで続けられる?)
ティリル(わかんない。でも一度に2人やるのはそう長くはもたないよ)
オリバー『2人とも…。立てる…?』
ジラト「あ、あぁ。ティリルよ。
いつぞや振りだが、また助けられてしまったな」
ヒルダ「ティリル。ありがとう。
すごく気分がいいわ」
ティリル「いいってことよっ!
はいっ!少しだけオリバーもっ!」
オリバー『ありがとう。ティリル。
さあ…先を急ごう…。
目立たないように…でも着実に…足止めを食らってる…』
ヒルダ「そうね。ガッツは今どこに…?」
ジラト「まだ誰も見かけておらぬのもまた不安を煽るな…」
オリバーは、中心部に近づけば近づくほど、
霧の性質が酷くなっている事に気づき、皆に説明した。
オリバーは今にも気が狂いそうになるのを、
ガッツを助け出す一心のみで抗い続けていた。
何故ならオリバーの恐怖は欠片も軽減されていないのだ。
それにも関わらず、無数の襲ってくる敵の攻撃を受け続け、
着実に消耗する魔力を感じながら、
ただ、前だと信じる道をひたすら進み続けていた。
そしてまた、オリバーの目に新たな影が映る。
もう敵なのか味方なのか、ガッツなのか他の人なのかわからない。
目も耳も感覚も何も信用できない。
信用してはならない。
そんな精神支配までもが、オリバーを蝕んでいた。
次回、第四層です。
ご愛読ありがとうございます。
これからの投稿の励みになりますので、
宜しければブックマークと評価をお願いします。




