第二層:幻
102話目です。
オリバー(くっ…!倒しても倒しても、次々湧いてくる…!)
向かってくる敵は多いが、耐久力がないのか、
オリバーの攻撃が当たるとすぐに霧散する。
しかし、矢継ぎ早に次の魔物が襲ってくる。
どこから湧き、何が目的なのかわからない。
霧のせいか気配が読めず、視認してからの攻撃となり、後手に回る。
でも、早く助けにいかなければならない。
打開できない現実と焦りが交互に襲ってくる。
オリバー(みんな…どこにいった…?大丈夫なのか…?)
オリバー『ダメだ!また考えてる!
目の前の敵に集中しろ!オリバー!
みんな!大丈夫!?
ここの敵、多いけど弱いよ!もう少し踏ん張ろう!』
仲間を鼓舞し、そして自分に声をかけながら正気を保っている。
そんなオリバーを見ていたヒルダは絶望しかけていた。
ヒルダ「オリバーが…おかしくなっちゃった…!」
ジラト「オリバー!オリバー!何をしている!オリバー!」
オリバーはヒルダの目の前で、
何もない所を短剣で切り裂き、魔法を放ち、回避行動を取る。
そして、ただの言葉の羅列を叫んでいる。
まるでその姿は、意味もなく歌い踊り狂う操り人形のようだった。
ジラトの必死の呼びかけも届いていない。
ヒルダ「ジラト…もうオリバーを何とか眠らせた方が…」
ジラト「ダメだ。呼びかけには応じないが、狂ってはおらぬ。
我がオリバーの意識を刈り取ったとしても、何の解決にもならぬ。
自ら乗り越える気概がなければ、ガッツも助けられぬ。
……そしてどのみち我らもここで心中だ。
我らにできることは…この声が枯れるまで呼びかけることだ」
オリバー(こんなに疲れだけが来て、何も進まない戦いは初めてだ。
でも、未知の迷宮なんだ。
ここを乗り越えられなかったら誰も助けられない)
オリバーは戦った。
ガッツを助ける、仲間を守るという思いだけを胸に、
無数の敵と、そして疲労と戦った。
オリバー『はぁ…はぁ…。何か……おかしい……はぁ…はぁ…。
こんなに…隙だらけで向かって……。はっ…!』
考えに夢中になったオリバーに敵の魔の手が届く。
死神のような魔物の大鎌が、
オリバーの胴体を横薙ぎに真っ二つに………。
ならなかった。
オリバー『はぁ…はぁ…やっぱり……そうなんだ……』
―――バー!――リバー!―リバー!
ジラト「オリバーー!!」
ヒルダ「オリバー!!」
オリバー『はぁ…はぁ…。え…?みんな…!良かった…無事で…』
膝をついたオリバーにようやく仲間の声が届き、その存在に気づいた。
ジラト「…オリバー。立てるか?」
オリバーはジラトの手を取り、何とか立ち上がった。
ヒルダ「大丈夫…?反転祝福――」
ジラト「ヒルダ!」
ヒルダ「え!?なに!?」
ジラト「やめておけ。
倒れた2人を担ぎながらガッツは助け出せん。
3人の力が必要なのだ。
ヒルダ。気持ちは痛いほどわかるが…我慢できるか?」
ヒルダ「う…うん。たしかにそうだよね。
私も正気のつもりだったけど…影響を受けてたのね。
ごめん、オリバー。助けてあげたいけど……頑張れそう?」
オリバー『…大丈夫…だよ…。
足引っ張ってばっかでごめん……。
頑張って歩くから……。
それとジラト。1つだけお願いがある…』
ジラト「なんだ?」
オリバー『ガッツを…見つけたら……担ぐのお願いしていい…?』
ジラト「ふっ…。無論だ」
笑ったジラトの顔がほんの少し歪んだ気がした。
次回、第三層です。
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