絶望への一歩
99話目です。
翌朝、心配と考え事であまり眠れなかったオリバーは、
人々が動き出すより前に起床していた。
念の為、仲間の部屋を覗くことにした。
ジラトもガッツもまだ部屋で眠っていた。
ヒルダとネフィアは…覗くわけにはいかないだろう。
寝言や布の擦れる音が微かに聞こえたことから、
部屋にいることは確認できた。
みんないる。
オリバーは少し安心できた。
オリバー(この後はまた探索があるし、もう少し眠っておこう…)
そして、約束の時間。
ガッツの姿はなかった。
ヒルダ「もう!また遅刻!?
はぁ…今度は何を差し入れしてくれるのかしら…?」
オリバー「本当にそうなのかな…?
ついさっきまで部屋にいたけど…」
ヒルダ「まだ寝てるってこと?よほど疲れてるのね」
ジラト「いや、それはない。我が起床する際、必ず確認しているが…
ガッツは既に部屋を出ておった」
ネフィア「オリバーさん…もし、私と同じ胸騒ぎを感じているなら…
行ったほうがいいかもしれません…」
オリバー「そうだよね…!
みんな、予定にはないし情報も殆どないけど…
一緒にいってくれるかい…?」
ヒルダ「当たり前よ!ガッツがやばいんでしょ?
ティナみたいに廃人になっちゃう前に連れ戻そう!」
ジラト「うむ。もう皆、支度はできておる。
すぐに向かうとしよう」
オリバー『うん。急ごう…!
"巨人の悪夢"へ…!』
オリバー達4人は、街の出口まで来たところで、
男に声をかけられた。
男「おい、兄ちゃんたち!そっちは大迷宮だ!
まだ、正気なら行くんじゃねぇ!」
ジラト「どういうことだ…?」
男「やっぱり…!まだ意識があるんだな…!
ここから出ていく奴らは全員正気じゃねぇんだ…!
こうやって声をかけても無視して行きやがる…!」
オリバー『仲間が…行ってしまったかも知れないんだ』
男「マジかよ…。行ってしまったならもう助からねぇ。
そう思っておいた方がいいが……。
まだみんな出たばっかりだ。
…望みは薄いが…追いつけるかも知れねぇな…」
オリバー『どんなに薄くても望みがあるなら…僕達はいくよ』
男「そうか…。気をつけてな…。
無事に帰ってきたら元気な声を掛けてくれよ。じゃあな」
ヒルダ「ねぇ。その向かった人の中に、
赤いツンツン頭っていなかった?」
男「あ…?赤いツンツン…?
今回かなりの人数が挑みに行ったからな…
でも…居たかも知れねぇ…。
まず、お前らに何も言わず姿を消したんなら…
そういうことだ…」
ヒルダ「わかったわ。ありがとう。
じゃあみんな行きましょう」
オリバー『ちょっと待って』
ヒルダ「どうしたのよ!急ぐんでしょ!?」
オリバー『ごめん。急ぐあまり冷静さを欠いていた。
さっきの人の言葉で気づいたんだ』
ヒルダ「なんなのよ!」
オリバー『僕達全員が特攻して何かあったら…
どうする?誰が助ける?
今から向かうところは今までみたいに余裕はないんだ…』
ヒルダ「そんなのわかってるけど…!
じゃあどうすんのよ!」
オリバーは仲間の顔を見渡した。
ネフィア「わかります。私が街に残るんですね。
作戦としてはこれ以上はないでしょう。
帰りの準備をして待ってます。
私の思いだけ連れていってください」
オリバー『ネフィア……。ありがとう。
ネフィアの美味しいご馳走を楽しみに帰ってくるよ』
ネフィア「はい。いってらっしゃい」
ヒルダ「…そういうことだったの…。
私の方こそごめんね。少し冷静になれたわ」
オリバー『うん。行こう』
オリバー達3人は、ネフィアという帰る場所に信頼を置き、迷宮へと向かった。
向かった者は絶望することすら許されない。
全てを失い、肉体だけをその場に捨て置かれる。
オリバーの知っていることなどその程度だ。
完全に未知。そんな中でも挑まざるを得なかった。
仲間の為に今、絶望へと飛び込む。
冒険の始まりだ。
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