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第4話 ある日路地裏で剣鬼に出会った

「あと少し!」


エイデラントは慣れない走りをしながらもあの路地裏へと全速力で走っていた


「ここ!」


路地裏の入り口で急ブレーキをかけてその中を見た


目の前には雪色の髪をした女性が薄汚れた白装束を着てうつ伏せに倒れていた


彼女から数メールの距離のところに一本のとても価値のありそうな剣が柄に入って転がっていた


エイデラントはとりあえずその女性に近づいて安否の確認をした


「大丈夫か!?」


体をゆさゆさと揺さぶるとエイデラントの腕に彼女の手が伸びて来て掴まれた


「!?生きてる!よかった…!」

「なぁ?あんた…」


彼女はエイデラントの腕を頼りにして起き上がった


「え?包帯?」


彼女の目元には包帯が巻かれており、足で地面に落ちているなにかを探しているようだった


「あの、もしかしてこの剣?」


エイデラントは落ちていた剣を拾い上げて彼女の手に手渡して握らせた


「ありがとう、助かった…」


「いえいえ。それよりも大丈夫か?見たところ、浮浪者か?」


「?私を知らないのか…?」


「なんだ?有名人なのか?」


「だったら丁度いい。」

「頼む、私を少しの間養ってくれないか?」


彼女は手を出して俺の姿を探す感じがしたのでその手を取ってみた


「あぁ、そこにいたのか、すまない、目が見えなくてな…」


「いえいえ、家がないなら別に家に泊まってもいいんだが?部屋なら沢山あるしな、どうする?」


彼女は少し考え込んだあとそれを「そのご厚意ありがたく受け取ろう」承諾した


その時、あとから追いかけて来ていたルーナが路地裏の前に到着した


「エイデラント様!どうかしましたか!?」

「って!?その人!?」


「知ってるのか!ルーナ!」

「ルーナ?」


ルーナはあわあわと混乱している様子でその場から動かなかったので無理矢理運んで馬車まで戻ろうとした


「重い…」


エイデラントは筋力不足で全然ルーナを動かすことができなかった、それに目の見えない彼女のために彼女は俺の服の裾を掴んで俺からはぐれないようにしていた


「私が運ぼう、この人であってるか?」


彼女は左手で持っていた剣をエイデラントに押し付けて左手でルーナを確認して一気に左肩と左腕で担いだ


「細い体してるけどすごい力だな…」


エイデラントは彼女のその見た目からはあり得ない力を目の当たりにして驚愕したが、それよりも気になることがあった


「ずっと裾掴まれるのもなんか変だから手を握れよ」


彼女はまた何か考え込むような感じを見せたあと、すぐにエイデラントの左手を残った右手で取ってゆっくりと歩いていった


しばらくしてエイデラントたちは待たせていた馬車の場所まで戻って来た


御者は馬の制御のために馬から降りることができなかったため、エイデラントは自分で扉を開けて


彼女にルーナを馬車の中に無理矢理入れさせた


そして先にエイデラントが馬車に乗り、彼女の手を取って彼女も馬車に乗り込んだ


扉を閉めて出発していいと言うとまた馬車はガラガラと音を立てながら屋敷へと向かっていった


静かな馬車の中、ルーナはというと運んでいた途中で気絶してしまったために向かい側の席全部を使って横になっていた


そして俺はこの女性と横並びになって座っていた


静かな沈黙を破ったのは彼女だった


「あなたは一体何者なんだ…?」


「?何者って?」


「その、なんて言えばいいのだろうか、」


「自己紹介ってことならするけど…」


「では、お願いしよう。」


「俺はルーマン家8代目当主!エイデラント・ルーマンだ!よろしく!」


俺はカッコいい肩書を手に入れてから初めての自己紹介にテンションが上がっていた


「当主……」


「えっと、あんたの名前は?」


「あぁ、私はアレーナ・チュレンヌ。今は剣鬼と呼ばれている。」


「………」


アレーナは中々言葉で反応を示さない俺に不安を覚えた


俺はただ思っていた、羨ましいと!


「カッコいい!!なに剣鬼って!?いいなぁ!その肩書!」


そう彼女の手を握ってそう答えた瞬間、彼女は困惑した表情を浮かべていた


「でもアレーナさんって目、見えてないよな?戦えるのか?」


「……、相手にもよるだろうな。」


「相手にもよるってどういうこと?」


「たった今、私が勝てなさそうな相手が出来たということだ。」


流石に俺も察しが悪いわけじゃない


「え!?俺のこと言ってる?こんな事言うのもアレだけど、俺弱いよ!?」


「人が攻撃する時に発するもの、それはなんだと思う?」


「人が攻撃する時に発するもの?殺気とか?」


「惜しいな。」


「マジか!じゃあなんだ?」


そう俺が問いかけると彼女はまたまた考え込む仕草を見せた


「いや、話すべきではないかもな…」


「いやいやいやいや!今更話さないの!?俺今日この言葉言うの2回目だけど、話すだけ話して答え言わないの1番気持ち悪いよ!?」


「でも、しかしな…」


そんな会話をしていると馬車が屋敷の前で止まった


「どうした?着いたのか?」


「あぁ、話はまたあとでな、まずはこの気絶娘を運ばねぇと…」

「悪いが、また頼めるか?」


「わかった」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


俺たちは屋敷の中へと入っていき、ルーナの部屋へと入ってベッドの上に彼女を寝かしつけた


「まったく、手間掛けさせやがって…」


「運んだのは私なのだが…」


服の裾をクイクイと引っ張りながら彼女は言った


俺はその姿をみて褒めて欲しいのかと思ってしまった


「ありがとうな。お疲れさま。」


そう言いながら頭を撫でると彼女はビックリして数回撫でた後にアレーナは我に帰って後ろへと飛び退いてしまった


「あれ?あぁすまん!つい!気を悪くしたなら本当にごめん!」


「いや、!そういうわけではなくてだな、!」


彼女もなにが起きたのか理解できていない様子だったが、心の中のどこかで悪くないとも思ってしまった


「とりあえず風呂に入って着替えるか?」

「いつまでもそんな格好でいるわけにはいかないだろ。」

「案内するよ?」


「いや、そのご厚意はありがたいのだが、その…」


彼女は頬を赤らめながら手をイヤイヤと振ってきた


「今度はなんだ?」


なにも言わないアレーナだったのでエイデラントは自分で原因を考えた、そして彼女を見たら誰しもが一目でわかることだった


「あ、そうか、1人じゃ入れないか!」

「悪かったな、だったら時間がかかるかもしれないがルーナが起きるまで待っててくれ」

「その間にアレーナの部屋を用意しとくから」


そう言うとエイデラントは部屋から出ていって空いている部屋探しから始めるのだった

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