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第6話 ポンコツ

「……け、消さなきゃ!!」


「おっと、急に刃物を振り回すんじゃねえよ」


 サイカとか言うガキが俺の頭を狙って刃物を刺そうとしてきやがった。腕を振るスピードがそこまでだったから避けられたが、殺気が感じられなかったため、避けにくい攻撃だ。

 慌てているのか、二撃目を放ってくることはなく、アワアワしているだけだ。なんなんだこいつは?掴みどころのないガキだな。こんなポンコツが諜報機関の人間だとは思えないんだがな……。


「そろそろアワアワするのをやめろ」


「……そうっすね……では呼ばれて飛び出t」


「だからそれもやめろって言ってんだろ」


 また勝手に身体が動いちまった。

 それにしてもこいつの情緒はどうなってるんだよ。さっきまで慌ててる感じだったのに急にハイテンションになってるじゃないか。


「それでは貴方の望みを叶えてあげてもいいっすよ」


「何だ急に上から目線で、すごくイラつくぞ」


 なんかすごくイラついたから、こいつの頭をグリグリしてやった。ただ仮にも女なので手加減をしたから、頭が潰したトマトみたいになることは無い。かなり痛いことには変わりないがな。


「痛ったぁぁ!!つ、潰れちゃいます!!私はまだ死にたくなぁーい!」


 ……よくよく考えたらここは街中だ。そして気にしてなかったが、俺らの周りは野次馬どもが囲ってやがる。そんな中、こいつは諜報機関の人間であることをそれなりの声の大きさで口に出した。つまりだ……こいつはもうこれ以上諜報機関に居られるはずがないな。


「おいお前」


「痛たぁ……私はお前じゃなくてサイカという名前があるっす!!」


「じゃあサイカ、お前はもう諜報機関に居れないだろ」


「うっ、痛いところを突いてくるっすね。流石クズ勇者っす」


「あァ!?諜報機関とやらでもクズ勇者と言う呼び名が広まってるのか?」


 確かにこの街ではクズ勇者で名が通っているが、国の機関にまで広まってるとは思ってもいなかった。勇者がクズだと外聞が悪いからと消される可能性が大だ。


「そんなことはどうでもいいっす。私が聞きたいのは、地上げ屋の場所を知りたいんっすよねってことっす」


「……そうだが、どうしてお前が知っている?」


「そんな怖い顔をしないで欲しいっすね。私は何でも知ってるっすよ……これ以上のことは場所を移した方がいいっすね」


「そうだな」


 こいつが俺の事を知っている理由を聞くためにも俺はこいつの後ろを着いて行った。


 こいつに連れてこられた場所は街の中ではかなり治安が悪いとされているスラム地区だった。


「ここは私の自宅っす。それで私が貴方のことを知ってる理由が知りたいんっすよね」


「そうだ」


「それは……単純に貴方の後ろで独り言を聞いていたからっす……どうしたんすか近付いて来て、ちょっとその腕はなんすか!私の頭をグリグリするつもりっすか!?二度目は喰らわないっすよ」


 警戒して損した。こいつは正真正銘のポンコツだ。無駄に警戒する羽目になってイラついたから、もう一度グリグリしてやった。


「痛ったぁぁぁぁ!!!!」


 サイカの断末魔がボロい家の中に響き渡った。



「それで地上げ屋の場所を知ってるのか?」


「知ってるすよ。元NINNJAの人間すからね」


「元?俺に会う前にはクビになってたってことか?」


「そうっすよ。だから私は地上げ屋の場所を教えるのに対して対価を求めるっす」


「なんだ?金か?金貨10枚までなら払ってやるぞ」


「き、金貨10枚!?す、すごく魅力的な相談すけど、私が求めるのは……私のことを雇って欲しいっす!!」


 このポンコツを雇うだと?

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