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勇者は正義感が強いという固定観念はやめてくれ  作者: Umi
第4章 蜘蛛たちのスタンピード編
51/58

第51話 今の王道という言葉は人によって答えが変わるため、真の王道は存在しないのかもしれない

「明日まで暇だな」


「マサさんが暇って言うの珍しいっすね。いつもは私のセリフっすのに」


「言われる側の気持ちが分かったなら、もう言うのは止めてくれるか?」


「これまで通り、暇と思った時は言うつもりっす」


 だと思ったよ。


「暇だとしても、外に遊びに行くほどの時間はないっすよ」


「そうなんだよな……なんかいい案ないのか?」


 こいつはいつもひまひま言っているんだから、暇つぶしの一つや二つすぐに出てくるだろ。出てこないにしても二人の方がいい案が思いつくだろうからな。


「あるわけないっす。あったらひまひま言わないっすよ」


「なんとなく分かってたよ」


「なんか心外っすね……トランプでもするっすか?」


「フッ」


「鼻で笑ったっすか!? そんな態度を取るのなら、私のを鼻で笑えるような圧倒的に凄い案を教えてくれるっすよね!!」


「あー、なんだUN〇とか?」


「ドッコイドッコイじゃないっすか!! しかもトランプの方が遊べる種類が多いっすから、私の勝ちっすよ!!」


 暇だから、何か暇を潰せる遊びを考えていたはずが、気づいたら俺が負けていたんだが? いや、俺自身は負けたつもりはないが、こいつが勝ちと思っているのなら、別にそれでいいだろう。

 断じて俺自身も負けを認めているわけではないぞ! 俺自身は俺の案の方が勝っていると思ってるぞ。


「もうお前の勝ちでいいよ」


「トランプで決定っすね。でもトランプにもいろいろ種類があるっすから、何をするか悩むっすね」


「こういう時はやっぱり王道だろ」


「王道っすか! いいっすね、四人いるウチにとって最適のゲームっすね!!」


 確かに俺とサイカ、ルーダとカエデの四人でやるには最適のゲームだな。そもそもトランプゲームで一対一で戦うゲームなんて、“スピード”くらいしか知らないけどな。


「……ちょっと待つっす」


「なんだよ。ルーダたちを呼びに行こうと思っていたのによ」


「マサさんは変っすからね。一応マサさんが思う、トランプゲームの王道を聞いておかないと安心できないっす」


「別に俺は変じゃねえよ。トランプで王道なんてあれしかないだろ」


「……早く言うっす」


「トランプゲームの王道なんて」


「王道なんて?」


「“ぶたのしっぽ”しかないだろ」


「やっぱり変だったっす!! トランプゲームの王道なんて“ババ抜き”しかないはずなのに、マサさんから出てきたのは幼いころにしかやらないであろうゲームっすよ!!! マサさんは変人以外の何者でもないっすよ」


 ずいぶんと酷い言い草だな。確かに“ババ抜き”は有名だし、かなり一般的なトランプゲームだが、“ぶたのしっぽ”も負けず劣らずのゲームだろ。


「言うほど変か? “ぶたのしっぽ”なんて全員やったことあるだろ」


「なんでそこまで自身があるのか分からないっすけど、その自信を修復不可能になるほど粉々に砕いてやるっす!! カエデちゃんたちを呼んでくるっすから、待っていろっす!!」


 慌ただしい奴だな。

 それにしても“ぶたのしっぽ”は普通に有名だと思っていたが、無名のゲームなのか? 俺の中にあるトランプゲームティア最上位に位置するレベルで有名だと思っていたんだけどな……。

 やっと帰って来たか。


「待たせたっすね。ずばり二人に質問するっす。二人の思うトランプゲームにおける王道とは何だと思うっすか?」


「トランプゲームの王道ですか……“ぶたのしっぽ”ですかね」


「私も“ぶたのしっぽ”だと思うなぁ」


「まさかの私が少数派!?」


「俺の完勝だな」


 それとサイカ、驚きすぎて語尾が消失しているぞ。


「ぐぎぎ、私がおかしいはずないっす。この家に集まっているのが変人なだけっす」


「おい、現実逃避するのは止めて、トランプ始めるぞ」


「現実逃避じゃなくて、現実を確認していただけっす。たしかにここでは“ぶたのしっぽ”に負けたっすけど、一歩外に出たらババ抜きの完勝になると作者が言っているっす。そもそもネタ用に言わせただけとも言っているっす」


「もう何も言わねえぞ」


 ずいぶんとメタ発言するな。確かに今回はコメディー回だから、メタ発言をしたところで話の本筋に影響はないだろうが、擦り過ぎると読者に飽きられちまうからな。お前に言ってんだぞ作者!


「それでトランプはなにやるっすか?」


「ここまで来たら“ぶたのしっぽ”しかないだろ」


「でも私、ルール分からないっすよ」


「――ババ抜きやるか」


 ここまでの“ぶたのしっぽ”話し合いは全て無に帰し、結局はババ抜きをやるのが最適であると判明しただけになっちまったな。


「せっかくやるんだ。何かを賭けるか……ビリになった奴は、一位になった奴の言うことを一つだけ聞くってことでいいか」


 俺の言葉を聞いた三人は、目の色を変えた。



次回、白熱するババ抜き! 最後までジョーカーを持ち続けるのは誰だ!?

ぶたのしっぽのネタは作者が幼稚園のころにやっていた記憶が微かにあったが、それ以降は一切やったことがないという経験から作ったネタなので、ぶたのしっぽガチ勢を貶す意図は一切ありません


皆様に☆やブックマークを押していただけると、推しのキャラがババ抜きで勝てるようになるかもしれません。

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