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第31話 案外詐欺師の才能があるのかもしれない

「ある程度大きくなった商会は、さらなる拡大を目指して大口の出資者を求めていました」


「なるほど、それがペシムス商会だったわけか」


「いいえ、違います」


「違うのかよ!」


 雰囲気的に詐欺だってことがバレて潰されたって話だっただろ! まだペシムス商会との関わりがなかったのなら、関わりを持つまでの間は別の出資者を騙せていたってことだろ。もしこれが本当なら詐欺師の才能ありすぎだろ!


「大口の出資者から大金を巻き上げて事業拡大に成功した商会は、とある業界に手を出しました」


「なるほど、それがペシムス商会と被っていて潰されたのか」


「いいえ、あの頃のペシムス商会は不動産業に手を出していなかったので関係ないです」


「関係ないのかよ!! それに不動産業に手を出すって、相当な博打になるだろ。もしかしてそれが原因で潰れたのか?」


 不動産業は商売道具である土地も限りあるもので、魔族領だった場所以外はほとんど所有者がいるから、新規参入は他の業界に比べて難しい事業だろ。


「いえ、お得意の嘘八百で顧客を獲得していましたよ。既存の会社に対しても賄賂で見逃してもっていました」


「やっぱりお前の親終わってるだろ! 企業系犯罪者の役満みたいになっているぞ」


「役満を舐めないでください! あのクソ親程度の犯罪歴では全く足りないです!!」


「そっちかよ!!」


 親の擁護じゃなくて、役満の偉大さを語るのかよ! 確かに役満は滅多に出ない偉大な役だが、一般人からしたら語るまでのものではないだろ。


「……結局、お前の親の商会はどうして潰れたんだよ」


「ご主人様、せっかちは嫌われますよ」


「結論までに寄り道が多い奴も好かれはしないけどな」


「それはご主人様がせっかちだからですよ。普通の人は寄り道も含めて楽しむのですよ」


「止めろよ! 今の時代、“普通”って言葉は慎重に使わないとすぐ炎上するんだからよ! 炎上して困るのは主人公の俺だぞ!!」


「……ご主人様、自分のことを主人公っていうなんてイタいですよ」


 こいつ鼻で笑いながら言いやがった!! もしサイカだったらメタい話で乗ってきて、「私はヒロインっす」とか言ってくるぞ。


「女性の前で他の女性のことを考えるのは失礼ですよ」


「……回想の続きを聞きたいな」


「あからさまに逃げましたね。まあ私は寛大なので気にしないですよ。ご主人様にとって私は女性ではなく、奴隷だってことは分かっているので」


 こっちをチクチク刺すような言い方、絶対に根に持っているだろ。


「絶対根に持ってるよな!? お前のことは奴隷ではなく、女性として見ているぞ」


「そんな目で見ていたのですか」


「めんどくせえ!!」


 ルーダは、俺の言葉を待っていたかのように、ウキウキしながら両腕で自分の身体を隠しやがった。

 こういうときはどう対応するのが正解なんだよ!!


「笑えばいいと思います」


「あは……これでいいのか?」


「……ムカつきました」


「ダメじゃねえか!!」


 話が逸れすぎてこのままだと、この話で終わらなそうな予感がしてきたな。途中を端折ってでも借金奴隷になった経緯を聞き出すか。


「話は戻るがどうして商会は潰れたんだ?」


「ご主人様、せっかちは嫌われますよ」


「結論まd――このやり取りはさっきもしただろ!! てか、分かっていてやってるだろ!!」


「バレましたか? ご主人様が別の女性のことを考えていたのでお説教代わりにでもと思いまして」


「本音は?」


「ご主人様のツッコミが面白かったので、ついやってしまいました」


「正直でよろしい」


 俺も初期はツッコミキャラじゃなかった……いや、サイカが出てきたのはだいぶ初期だから、初期からツッコミキャラだったわ。


「そろそろ、私の親が運営していた商会が潰れた理由を話しますね」


「ああそうしてくれ。何とは言わないが、基本2000を目安にしているのにもう1500だ。だから早く結論を教えてくれ」


「両親の詐欺的な言葉遣いで、商会は順調に大きくなっていったと言いましたよね?」


「ああ、そこから不動産業にも手を出して成功したってところまで聞いたぞ」


「ではそこの続きから話しますね……うちの両親はその後も商会を大きくしていきました……というのは嘘です」


「ん? “という”ってのはどこのことを指しているんだ?」


「全てですよ? ウチの母は横領をしていませんし、父も若い女を喰ってなんていません」


「……え」


 俺の聞き間違いだと思おうにも、ルーダははっきり淡々と述べてくるから、事実だってことを思い知らせてくる。


「出資者を求めたこともありませんし、不動産業にも手を出していません」


「……てことは、ペシムス商会との関わりもなかったってことだろ?」


「あっ、そこだけは本当ですよ」


「もうすぐ終わってしまうから、結論だけ教えてくれ」


「せっかち――」


「せっかちな人が嫌われるってのは分かったから!」


「やっと分かってくれましたか……それでは私の両親が営む商会が潰れた原因なのですが、ペシムス商会がウチの地元に」


「2000になっちまったのか……ってあれ? 話せるじゃねえか」


「思い出したらムカついたので、唇を噛んでしまっただけですよ」


 ややこしい時に唇を噛むんじゃねえ!


「では続きを話しますが、ペシムス商会がウチの地元に進出するときに実家を含めた商会たちが邪魔になって、金の力で潰されたんです」


「そうか進出する際に邪魔だから金の力で潰したと……こんな単純なら、二話も使う必要なかっただろ!!!!」


「メタいっす!!」


「うわっ! いつから居たんだサイカ!」


 サイカが物陰から急に現れやがった。


「最初から居たっす!」


 まじかよ。これが元諜報員の隠密力か……。


「単純にマサさんが気づかなかっただけっすよ。だからリンさん? って人との会話も聞いていたっす」


「はあ、疲れているのかもしれないな……俺は部屋で休むから、なにかあったら起こしてくれ」


 ずっと部屋に居たサイカに気づけないわけないし、きっと疲れているんだな。だから俺は部屋で睡眠をとることにした。


「かしこまりました」


「ちなみに2000は目安なので気にする必要はないっすよ!」


 ルーダは仕事モードになると立ち居振る舞いが完璧だな。

 そしてサイカよ……お前はメタすぎる。



特に進展のないお話でした。

私は2000文字前後で書いているわけではなく、区切り良いところが2000時前後になるので必然的にそうなっているだけです。



皆様に☆やブックマークを押していただけると、マサヨシがルーダのことを怖いと思っていた件での、ルーダのお話が短くなってマサヨシが喜びますので、何卒お願いします。

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