第24話 2つのタマは生き残るために存在している高度が違う
下ネタ注意
俺たちはリオレイスの素材を売ってから、自宅へと帰っている。もちろんギルドではなく、素材を扱っている商会を探して売ったため、少し時間が掛かってしまった。
「マサさん、時間かかりすぎっす。家にルナさんを置いてきてるっすから、早く帰らないと死ぬっすよ」
「大丈夫だろ。あいつは放っておいても死ぬようなタマじゃないだろ」
「ルナさんに玉はないっす!」
「その玉じゃねぇよ!」
「ご主人様にサイカさん、公衆の面前でタマタマ言うのはやめて下さい」
「いやルーダ、お前が一番ヤバイからな! 俺たちは一回しか言っていないからあまり下ネタ感はない。だが! お前のは二回繰り返して言っているから、完全にアレになっているぞ!!」
「アレとはなんでしょうか、ご主人様?」
こいつ確信犯か? 俺はカエデがいるから、下ネタを言えないとでも思っているのか? カエデもウチで過ごしている時点で、ある程度の下ネタ耐性はあるはずだし、そもそもカエデも子供ではない。
「キ〇タマのことだ」
「言いやがったっす!! 公衆の面前でキン〇マって言いやがったっす!!」
「お前も言ってるぞ! お前もキンタ〇言ってるじゃねぇか!」
「ご主人様もサイカさんも〇ンタマ、キン〇マ煩いですよ」
「だから、お前が一番ヤバイこと言っているだろ! なんで二回言うんだよ」
なんでルーダは真面目そうな顔で下ネタを言えるんだよ。
「あの人たち……」
「クズ勇者の身内も……」
「……帰るか」
「そうっすね」
俺らが街中で騒いでいたことで、周りのおばちゃんたちがヒソヒソと噂話を話し始めていた。俺としては好感度がいくら下がろうと気にしないが、道を通る度に噂されるのは嫌だから、一過性の噂で済むような行動しかしないように心掛けている。
「き……ん……た」
「いや、大丈夫だから! 無理してキン〇マって言う必要は無いからな」
「ご主人様の言う通り、カエデが言う必要はないですよ」
「そうっす!! カエデちゃんは言わなくて大丈夫っす!! 汚れ役は私たちネタキャラがやるっすから!」
「おい、ネタキャラで一括りにするんじゃねぇ」
カエデがワンテンポ遅れてキン〇マって言おうとしていたから、かなり焦ったな。
確かに俺たちはネタになるようなキャラクターをしているが、サイカと一括りにされるほど、ネタキャラにはなっていないぞ……なってないと信じたいな。
騒ぎながら帰ったため、かなり時間が掛かってしまった。最初はルナのことを心配していたサイカも、忘れて騒いでいたから、俺を責めることが出来るやつはいないな。
まあ責められたところで、スルーしていればいいだけだけどな。
「ただいま。まだ寝てるのか?」
ルナに帰宅を知らせるために気持ち大きめで声を出したが、ルナからの返事はなかった。まあ、ルナは起きている時も返事がないことが多々あるから、寝ているとは限らないけどな。
「ただいまっす! ルナさーん、死んでないっすかぁー?」
サイカはルナに問いかけるような言葉を並べていたが、返事が来ることは無い。
「私が見てきます」
いち早くルナの部屋に向かったのはルーダだ。
ルーダはウチの奴隷として、ルナの生活の手伝いをしているから、ルナのことが心配なんだろうな。
「ご主人様!!」
ルナの部屋に行ったルーダが、慌ててリビングに戻ってきた。いつも冷静なルーダが慌てているのは、珍しい光景だな。
「ルナになにかあったのか?」
「なにかあったどころではなく、居なくなっています!!」
「いない? 買い物に行ったとかじゃないの……いや、あいつに限って買い物はないか」
自分で言っておいてなんだが、あいつが自発的に買い物に行くことは、俺が真面目に働くくらいありえないだろうな。
「ウチに居ないとなると、辺境伯の元に帰ったのか?」
「あの常識知らずのルナさんでも、無断で帰ることはないと思うっすよ」
「だよな」
「……ご主人様、これ」
カエデがなにか見つけたようで、こちらに差し出してきた。カエデの手のひらの上に置いてあるのは、魔封じの腕輪を使用した際に出る破片だ。
「……魔封じの腕輪を使った誘拐ってことか?」
「ルナさんは有名っすから、目的を絞り切るのは難しそうっすね」
「ああ、そうだな。でも俺らが誘拐犯の目的を知る必要は特にないぞ。俺らがすることは、ルナの救出だけだ。誘拐の背景を調べるのは辺境伯の仕事だ」
ルナは魔族との戦争で有名になって、貴族令嬢であることが知られているから、怨恨、身代金目的、魔族側の仕業など、色々考えられるから俺たちで目的を調べるのは不可能だろうな。
もう1つの可能性もあるが、これはないと思いたいな。
今回の話は前半と後半の温度差で風邪引きそうになりました。
ここから【おてんば娘編】の本筋が進みます。
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