第23話 最初から無双できてしまうゲームは直ぐに飽きてしまう
「今回のメインクエストはリオレイスの討伐だ」
「いや、怪しい名前っす! 危ないところスレスレの名前っすよ!!」
リオレイスは鎧のような強靭な赤黒い鱗に覆われ、鳥のように前足の代わりに翼が生え、後ろ足には毒を持つ爪があり、火属性の吐息を吐いてくる魔物だ。
「魔物って言ってるじゃないっすか!」
「ナチュラルに心を読んでくるな! それに魔物だと、マモファンワイラズになって語呂が悪いだろ」
「まだ言うっすか。そもそもモンファンワイラズの語呂がいいのは、モン〇ンワイル○があるからっすよ!!」
「だから、その名を出すなって! この世界では、実在する名称はモザイクがかかって伝わらないんだからよ!」
「メタいっす。メタすぎるっす!! 確かにモンハ〇〇イルズはモザイクが掛かって聞こえにくいっす。でも事実っすから、仕方ないっすよ」
「……来るぞ。リオレイスだ」
「誤魔化したっすね。でも本当にリオ〇ウスみたいっすね。リ〇レウスがなにか分からないっすけど」
目の前にするとかなりデカイな。口のサイズ的に俺らを丸呑みできると言えば、想像しやすいのか。
「いろいろツッコンできたっすけど、目の前にしたら覚悟を決めるしかないっすね!」
サイカは操虫棍を構えている。ルーダもカエデもまだ武器を構えていないから、お前が一番ノリノリだぞ。しかもニッコニコだし、お前廃人なのか? いや、モンファンワイラズは俺が考えた言葉だから、廃人も何もないが。
「ほら、マサさんは狩猟笛を鳴らすっすよ!」
「いや、鳴らさないぞ?」
「えっ?」
「この世界はファンタジーで、魔法があるんだ。わざわざ笛を鳴らしてなんの意味があるんだ?」
「……いや、確かに笛を鳴らしても特に効果は無いっすけど、プラシーボ効果があるかもしれないっすよ!!」
プラシーボ効果って思い込みで身体が反応するから、ハナから効果がないと決めつけていたら、効果は出ないだろ。
「じゃあルーダさんやカエデちゃんが武器を持ってここに来たのは、どういうことっすか!?」
「いや、ノリだろ。そうだよな?」
「私は、ひと狩りいこうぜと言われたので、狩りに見合った格好をしただけです」
「わ、私も……同じ……です」
ここら辺の魔物くらいなら、足でまといが三人居ても楽に勝てるからな。
それにサイカは元諜報員ってこともあってそこそこ動けるし、カエデも運動神経はいいしな。一乙もせずに済むだろ。
『グォォォォ』
ついにリオレイスはこちらに気付いて、咆哮した。巨大な火竜による咆哮はかなりの迫力だ。一般人であれば、腰が砕け、地面に尻餅をついて、ズボンを濡らしてしまうだろうな。
念の為後ろを確認してみたが、ルーダもカエデも仁王立ちしていた。うん。ウチの奴隷たちは肝が据わってるな。
念の為、いや万に一つもないだろうが、確認のため、横にいたサイカの方へと目をやった。
「おい、1番ノリノリだったろ。なんで咆哮程度で漏ら――」
「漏らしてないっすよ!! ただ汗で濡れちゃっただけっす!!」
「いやでも湯気――」
「汗っす!!」
「おし――」
「ご主人様、それ以上は止めてあげて下さい。このままではサイカさんが恥ずか死にます」
確かに顔を茹でたこみたいに真っ赤にしているな。……これ以上揶揄ったら、本当に恥ずか死しそうだし、やめておくか。
「これ以上は、リオレイスも我慢の限界みたいだし、終わらせておくか」
俺は縮地で、一気にリオレイスとの距離を詰めた。足元へ行くことで、前傾姿勢であるリオレイスの視界から外れた。視認されていない以上、こちらの攻撃手段を防ぐ手立ては無いため、無防備な腹へと剣を突き刺した。
「【光線剣】」
【光線剣】は、剣から魔力を放出することで、対象を切断する魔法だ。一応魔力があれば誰でも使うことは出来るが、光線の長さが消費した魔力の量に比例するから、魔力が少ないヤツの【光線剣】は実戦では使えないだろうな。
腹を貫かれたリオレイスは痛みで暴れていたが、剣を脇腹まで動かして、リオレイスのことを真っ二つにした。流石のリオレイスも身体が真っ二つになれば息の根は止まる。まあ、流石というほど強い魔物ではないけどな。
「こうもあっさり倒せたら、楽しくなさそうっすね」
「そうだ、俺には向いていないんだよ。雑魚相手に無双するのは」
「あの巨大な火竜のことを雑魚と呼べるのはマサさんくらいっすよ」
俺より強いやつなんてゴロゴロいる。
そしてお前はいつ着替えたんだ? 初めてNINNJAっぽい動きをしたな。NINNJAが何かは知らないが。
これにてモンファン編は終了です。
マサヨシ「ワ〇ルズはやったのか?」
Umi「やってないよ。そもそも買ってないし」
「買ってないのに、こんなネタをやったのかよ! ネタにするなら買ってプレイしろよ!!」
「貧乏人からしたら、プレイ方法がP〇5か、PCしかないのは高すぎる」
「買えないなら、ネタにしなきゃいいだろ! 今の状況はお前の方がクズだぞ!」
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