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第16話 1級フラグ建築士は大抵場を乱す

「マサさーん、暇すぎて社不になりそうっす」


「お前は元から社不だから気にするな」


「ひどいっすよ!!」


 国に仕えるのを辞めて、俺みたいなクズで安定性のない人間に雇われるなんて、社会不適合者にしかできないだろ。自分で言うのもなんだが、俺は人の上に立てるような人間じゃねえし、俺みたいなクズを上司と仰げるような人間の気が知れない。


「私が社不なわけじゃなくて、社会が私に合ってないだけっすよ!」


「そういう空気の読めない奴のことを社不って言うんだよ」


「読めないんじゃなくて、読んでないだけっすよ」


「もっとタチが悪いわ!」


 あまりにもツッコミ待ち過ぎる発言に立ち上がちまったじゃねえか。せっかくソファに寝転がって、ゆっくり休んでいたっていうのによ。ケモミミおっさんズを見て精神をすり減らした俺のことを誰も労わってくれないんだから、一人で休むくらいさせてくれ……。


「それよりも暇すぎるっす!! 勇者って忙しすぎて精神が擦り切れるんじゃないんすか!?」


「サイカも言ってたように俺はクズ勇者だ。必要最低限の生活ができるための金があれば、それ以上働くつもりなんてねえよ」


 生きるために仕事をするならまだしも、仕事をするために生きるなんて無意味な人生は送りたくねえよ。


「クズっす! 本当に噂通りのクズだったっすよ。それに必要最低限って、言葉の意味分かってないっすよね!! こんな豪邸に可愛い女奴隷たちや私みたいに可愛い従業員と一緒に住んでいるなんて贅沢すぎる生活っすよ」


「前二つは言っている意味が分かるが、最後の可愛い従業員だけは意味が分からないな。ウチに居るのは二人の奴隷と、穀潰しの自称お姉さんだけだろ」


「私は穀潰しでも自称お姉さんでもないっす。お姉さんボディーのエリートっすよ!!」


 地上げ屋の件が済んだ今、こいつに頼むような仕事もねえし、穀潰しであることは誰に聞いても賛同してくれるだろう。そして自称お姉さんは……可哀そうだから言及はしないでやるか。


「なんすかその目は! 確かに今は穀潰しかもしれないっすけど、すぐに役に立つ時がやってくるっすよ!!」


「アニメじゃないんだから、お前が役に立つような大事はそうそうやって来ねえよ」


「ご主人様、今の発言はフラグが建ちましたよ」


「フラグなんて幻想d――」


 言葉を言い切る前に家のチャイムが鳴りやがった。

 すぐにルーダがこっちをジト目で見てきやがる。


「ど、どうせ新聞の勧誘だろ」


 面倒くさいが玄関まで行って扉を開いた。ルーダたちも誰がチャイムを押したのかが気になっているのか、玄関手前の曲がり角まで着いてきやがった。


「ウチは新聞は取らない主義なんで帰ってもらえますか?」


「悪いがウチは新聞社じゃねえんだ。ご同行願おう勇者マサヨシ」


「あー、新聞じゃなくて、宗教だったか。俺が信じているのは自分だけだから入信は遠慮しておくよ。それに宗教を信じるなら、一人で独占した方がいいだろ。本当に心から神を欲しているのなら、恋人と同じで人に渡したくないはずだ」


「宗教の勧誘でもねえよ!! それに戦争を生むようなことを言うんじゃねえ!!」


「宗教勧誘でもないのかよ。じゃあなんだよ? 訪問販売か?」


「俺の恰好を見れば分かるだろ」


 訪ねてきた男は、白い鎧を着て腰には剣を差している。まるで騎士のような格好だが、ウチに来るような騎士は居ない……。つまりそういうことか。


「分かったぞ」


「ようやく分かったのか」


「お前はコスプレイヤーだな!」


「違うに決まっているだろ!! 私はルーメイル辺境伯様に仕える本物の騎士だ!!」


 ルーメイル辺境伯と言えば、俺たちが住んでいるこの街を治めている領主じゃねえか。


「ウチは騎士が来るような場所じゃないぞ」


「コスプレイヤーが来るような場所でもないだろ!!」


「たしかに」


 話を聞いていたであろうサイカが声を上げやがった。


「そちらの女子にもついて来てもらう」


「私もっすか? マサさんならまだしも、私は騎士に捕まるようなことはしないっすよ」


「俺も犯罪行為はしねえよ!!」


「別に捕まえるために来たわけではない」


「じゃあなんだよ?」


「ルーメイル辺境伯が直接話すそうだ」


 本音を言えば断りたいが、この街の領主であるルーメイル辺境伯からの依頼を断るのは、今後の生活に関わってくるだろうな……仕方ないか。


「行くぞサイカ。ルーダは留守番を頼むぞ」


「はいっす」


「かしこまりました」


 また大変なことに巻き込まれそうだな……



これにて【第1章マフィア編】は終了になります。

ここまでご愛読ありがとうございました。


読者の皆様にお願いがあります。

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この作品を面白いと思ってくださる方は是非とも評価をお願いします。


ちょっとした閑話


マサヨシ「なんで急に下ネタが増えたんだ?」


Umi(作者)「某銀のたまを見ながら執筆していたからじゃない?」


マサヨシ「もしかしたらネオアームスト――」


Umi「あれは出さない……はず。この世界はファンタジーであってSFではないから」


マサヨシ「そうか。くれぐれも炎上しないでくれよ。俺の堕落した人生が終わっちまうからな」



長くなりましたが、【第2章おてんば娘編】でお会いしましょう。

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