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第10話 部下が優秀だと上司の仕事は少なくなる……はず

「とりあえずギルドに行くぞ」


「ギルドっすか? もっと裏社会に顔が利くところじゃなくていいんすか?」


「元諜報員なのに知らないのか? ギルドは裏の依頼も受けている。だから裏社会にも顔が利くし、そんじょそこらの裏の人間よりも権力がある」


「なるほど……でも裏の依頼を受けるなんて法的に危なくないんすか?」


「……お前と同じで国から頼まれて非合法なことをやってるから捕まらねえよ」


 ギルドが裏の仕事をやらないと、完全に非合法な組織が裏の人間たちをまとめることになっちまうからな。それにギルド側も一応掲げてる“打倒魔王”の達成のために実力者とのコネは必要だろうしな。


「サイカも入るか?」


「逆に聞くっすけど、私は入らない方がいいんすか?」


「だってNINNJAを辞めた原因は上司を殴ったんだろ? それなら指名手配されていてもおかしくないだろ」


「確かに!? で、でもあいつに私を指名手配にする度胸なんてないっすよ……たぶん」


「……なら良いんだが」


 こんなことも分かってなかったのかよ。やっぱりこいつ諜報員に向いていないな。こいつは普通の店員とかの方が向いているだろうな。


「じゃあ行くぞ」


「待ってくださいっす!」


 ギルドの扉を開けて足を進めた。

 相変わらずギルド内はガヤガヤしていて耳が痛くなるな。


「うるさいっすね」


「ここではこれが日常だ」


「なんだマサヨシ、今日こそ登録しに来たのか?」


「違うに決まっているだろ。ギルドなんて面倒くさい組織、入りたがる奴らの気が知れないな」


「ひどい言いぐさだな。ここにいる奴らは全員入りたくて入っているのによ。まあいいや。それでお前は何しに来たんだ?」


「裏で話そう」


「面倒事かよ。仕方ねぇ」


 ギルド長のガルムはギルドの裏へと消えて行った。俺も後を追おうとしたが、サイカに止められた。


「あの人私の方に一切目をやらなかったんすけど、どうしてっすかね?」


 きっと新しい奴隷を思ったんだろうが、こいつに言うと怒りそうだしな……適当な理由をでっち上げるか。


「あー、なんだ、サイカの背がちっさすぎて見えなかったんだろ」


「なっ!? 私はちっさくないんすけど!? お姉さんボディの持ち主なんすけど!?」


 こいつの戯言は無視してガルムの後を追うことにした。サイカは最初の内は騒いで追ってこなかったが、自分の見知らぬ場所で一人になってしまうことを理解したのか、慌てて追ってきた。


「ひどいっすよ。見知らぬ場所で一人にするなんて!」


「勝手に一人になっただけだろ……」


 いつか迷子になりそうだな。まあ元諜報員だからすぐに見つけてくるだろうが……もし俺のことを見つけられなかったら泣きそうだな。今度試してみるか。


「なんすか、その悪そうな顔」


「……」


「なんすか私の顔をジッと見て……もしかして私の顔に見惚れているんすか!? 私はそう簡単に落ちないっすよ……でもカッコいいのは否定しないすけど……」


「なんでもねえよ」


 少し見つめただけで顔を赤く染めるなんてチョロすぎだろ。ちょろすぎて詐欺とかに引っ掛かりそうで心配になるな。うちのルーダに任せて改善してもらうようにするか。

 そんな考えをしているうちにガルムが待っている部屋にたどり着いた。この部屋は裏側の話をする場所で、表向きの名前は談話室となっている。俺はノックをしてから部屋の扉を開けた。


「失礼します」


「相変わらず礼儀はいいな」


「……あんたと一緒で勇者養成所出身だからな」


「あそこは厳しかったからな。言いたいことは分かる」


 懐かしいな。あの戦争がなかったら、まだあそこに所属していたのかね……いやもう年的に前線に駆り出される年齢か。


「昔を懐かしむのもいいが、一応俺も忙しいんだ。早く要件を教えろ」


「はあ、忙しくねえだろ。お前のところの部下は優秀で、お前の仕事なんて最終確認くらいだろ」


「……まあ、お茶でも飲むか?」


「あからさまに誤魔化した!?」


「そっちのちっこいのは新しい奴隷か?」


 やっぱり奴隷と思ってやがったのか。確かに俺は奴隷が借金分働き終えたらすぐに新しい奴隷を買っているが、誰が好き好んでポンコツな奴隷を買うんだよ。もしこいつが奴隷になったら、ポンコツ過ぎて借金を払うどころか、いろいろやらかしてマイナスになるぐらいなんだぞ。


「ちっこくないんすけど!? 私はお姉さんボディなんすけど!!」


「どうどう、落ち着け。こいつは新しく雇った部下だ。名前はサイカと言って元ちょ――」


「サイカだと? どこかで聞いたことがあるような……どこだったか」


 そう言ってガルムは積み上げられた書類を探し始めた。まずったな。本当に指名手配されていたのか? もしそうならこいつを連れてこの街から逃げる必要があるな……だがカエデたちをどうするか……今後いろいろ考えて動かないといけなくなるか。


「私が無職になったところを拾ってくれたんです」


「……そうか。なら俺の見間違いだな」


 サイカのおかげで助かったな……いや、元々指名手配されていたとしたらサイカ自身の責任だな。

 だがガルムは疑うような視線を送ってきているから、まだ油断はできないな。

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