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夢だと思っていたら現実だった件 ~死にたくないのでソウゾウリョクを駆使して全力で抗います~  作者: 神子島 航希
第2章 動き始める日常

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39.帰宅

 竹中池は湧水町の旧吉松町にある湧水池だ。丸池と違う所は、昔から町の福利厚生施設としてある所だ。


 丸池は、昔から観光名所として整備しているだけだが、竹中池は湧水を利用したプールや食事処を設置しており、夏休みになると県外からも遊びに来る盛況ぶりだ。


 俺も子供の頃、プールに遊びに来たことがあるが、あまりの冷たさにビックリした記憶がある。冷たすぎる為、曇っている日は入水禁止になるほどの冷たさだ。


 流石にこの歳になってプールは無いので、併設されている食事処で流しそうめんと鯉こくを食べる。


「え?これで流しそうめんするんですか?」


「ん?そうだが?・・・あー、もしかして、竹を半割りにした直線の流しそうめんをイメージしてたか。鹿児島では、このミニ流れるプールに流し回すのが流しそうめんの主流だぞ。」


「へぇ、オモチャの流しそうめんの業務用って感じですね。」


「言うな。これは如何に鹿児島の暑い夏を乗り切るか、涼しい滝や渓谷でたくさんの人に涼を楽しんで欲しいという先人の知恵だ。」


「おお、確かに。」


「まあ、今はエアコンが普及して、流しそうめん店もどんどん閉店していっているがな。」


「そう考えるとちょっと寂しいですね。」


「時代の流れってやつだな。流しそうめんだけに。」


「先輩。面白く無いです。」


「・・・俺もそう思う。」


 流しそうめんでサッパリと昼食を楽しんだ俺達は、えびの方面へと車を走らせ、ループ橋で人吉まで登り、高速道路で熊本まで帰ったのだった。


 自宅に帰り着いたのは夕方だった。とりあえず夕飯までは自由時間として各々自分のやりたい事をやる事にした。


 夕飯は、師匠宅から頂いた野菜を使った簡単な物にしよう。流石に長時間のドライブで疲れた。ゴーヤを貰ったのでゴーヤチャンプルにするか。冷凍した豚肉もあるし、卵と豆腐もある。買い物はいいか。


 ご飯を仕掛けて、ゴーヤを乱切りにして、塩水に漬ける。これで苦味を軽減させる。豆腐も少し大きめに切って、キッチンペーパーで水分を取る。後は炒めるだけなので仕込みは終了だ。


 まだ、夕飯には早いのでソファでSNSのチェックをする。魔法で検索をかけると、俺達の動画が検索結果のトップにきている。大分噂になっているようだ。


 ただ賛否両論あるようで、7:3で否定派が多そうだ。確かに俺も張本人で無ければ、イカサマだろうと一蹴したかもしれないなと苦笑する。


 検証用のホームページも幾つか出来ていた。映像の合成を疑っている者達は、画像のアラを探そうと躍起になっていたようだが、探し出せずにコチラは熱気が小康状態といった所だ。


 トリックを疑っていた者の中にはマジシャンもいて、同じような動画を上げていたが、一瞬で他の検証者にタネを暴かれて、ブチギレて暴言を吐いてしまいプチ炎上していた。


 俺達の魔法映像は、SNS界隈を騒がしているが他に異世界に行った名乗り出る者は出てきていない。


 俺以外は体験した人間がいないのか、まだ情報に触れていないのか。そんな事を考えていると、莉緒に貸している部屋から、ドタバタと走ってくる音が聞こえてきた。


「せ、先輩、テ、テレビ、テレビを付けて下さい。」


「うん?どうした、そんなに慌てて。」


「で、出てるんです。異世界を体験したって人が!夕方のニュースです!」


 は?どんな冗談だと半信半疑でテレビをつける。

 丁度、夕方のニュースの時間帯で、どのチャンネルも一通りのニュースが終わって、特集コーナーを始めていた。


 そして、一つの番組が「本物の魔法があった!?この後、本人登場!」とテロップを出していた。


「SNSをチェックしていたら、この番組の事が話題に上がってまして、「リオン」が出演するんじゃないかと噂になっていたんです。そんな事は絶対に無いのですが、もしかしたら他の体験者ではと思って慌てて出てきました。」


「しかし、こんな大々的に宣伝して、もしイカサマだったら相当なバッシングだぞ。」


「そうなんです。今のご時世、ちょっとでもコンプラ違反しようものなら、すぐに炎上です。テレビ局もそれが分かっていて出演させるという事は、裏取りが出来ているという事ではないでしょうか。」


「なら、魔法は本物?」


「それを確認しましょう。ほら、出てきますよ。」


 そして、スモークを焚かれた扉から1人の男が出てきた。


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