34.派生スキル
ピピピピピ ピピピピピ
アラームの音で目を覚ます。目を開けると違和感を感じる。極彩色のモヤがかかった様になっているのだ。そして、目の端の残魔力量がとんでもない勢いで減っている。
ストップ!ストップ!
慌てて目を閉じて察知スキルの解除をイメージする。魔力量の低下が止まった事を確認してからも、暫くは怖くて目が開けられなかったが、意を決して目を開けてみた。
そこには、昨日の夜泊まった直紀の家の宿泊室があった。特に変わった所は無い。目に違和感がある感じはするが、視力に影響は無い。
何だったんだ。いや、原因は分かっている。昨夜、大気中の魔力を察知しようとした事が原因なのは明白だ。魔力を察知しようとした瞬間に気を失ってしまった。気絶した理由は分からないが、大量の情報量に脳に過負荷が掛かって、防衛本能で意識を落としたのだろうか。
他に異常が無いかステータスを確認する。
天野 祐希
27歳(8歳) 男 人間
状態:健康
保有魔力量:14/50(74)
所持スキル
魔力操作Ⅰ(58/200)
魔術適正Ⅰ(15/200)
魔紋Ⅰ(5/200)▼
身体強化、魔力ストック(30/500)
察知Ⅳ(36/4000)▼
建築設計Ⅱ(303/1000)▼
並列思考Ⅱ(7/1000)
剣術Ⅱ(274/500)
観察Ⅱ(7/500)
健脚Ⅰ(88/100)
習得魔法
生活魔法
称号
夢を渡りし者▼
地味に色々と習熟度が上がっているが、1番気になるのは、やはり察知スキルだ。いきなり、レベルが3つも上がっている。しかも、三角タブが追加されているのだ。目線誘導で三角タブを押下する。
察知Ⅳ(36/4000)▼
魔力感知
おお、何か新しいスキルが生えている。字面的に読んで字の如く、魔力が感知出来るのだろう。大気中の魔力を察知しようとした事で、派生したのだろうか。
莉緒への相談事が増えたなと、苦笑しつつ身支度を整えていると、師匠から朝食の誘いのメッセージが入る。ありがたく頂くことを返信し、莉緒の部屋へと向かう。ノックをするが返事がない。相変わらず朝が弱そうだ。
仕方なく、一人で3階に上がり、師匠宅にお邪魔する。
「おはようございます。すいません。莉緒のやつは朝が弱いみたいで、まだ起きていないみたいです。」
「おはよう。祐希ちゃん。あら、そう。じゃあ後で簡単に食べられるようにサンドイッチでも作ろうかしら。」
「すいません。ありがとうございます。」
「おう、祐希。おはよう。今日はどうすっと?」
「ちょっと、莉緒を町内案内して、昼過ぎには出ようかと思います。」
「なんよ。早いね。もうちょい、ゆっくりすれば良いのに。」
「すいません。今日の夜に向こうで野暮用がありまして・・・」
「しょうがなかね。出る前に寄れよ。土産を沢山用意しちょっで!」
「ありがとうございます。助かります。そう言えば直紀達は?」
「直紀はもう田んぼを見に行っちょっど。真紀はそろそろ起きっくかもね。アイツも自分で朝飯くらい作らんと、嫁ぎ先もなかど。」
「まあ、今時男でも料理しますし、真紀は美人ですし、道場を大きくした才覚もありますし心配ないですよ。」
「そんなものかねぇ。」
「入門者の男達は、ほとんど真紀目的で入門したって聞きましたよ。良い人がいたら付き合うんじゃないですか?・・・直紀が阻んでいるみたいなので先は長そうですが・・・」
「その時は、祐希先輩が貰ってください。」
「・・・うーん、パス!直紀と義兄弟になりたくない。」
「えぇ!やっぱりバカ兄貴が阻んでくる!」
「お、真紀。今日はまた朝から頑張って化粧をしちょっが!かぁ!やっぱいお前も女やね。いつもは髪ボサボサで来っとに。」
「もう!お父さん余計な事言わないで。祐希先輩、今日のご予定は?」
「莉緒を湧水町案内しようかと思って。昼にはここを出るよ。」
「えぇ!それってデートじゃないですか!私も行きたい!」
「馬鹿な事言ってないで、早く朝食食べなさい。アンタは午前中ヨガ教室、午後はまた子供達が来るでしょう!今日は土曜日。忙しいわよ!」
「ぶー!」
「ははは、またちょくちょく帰ってくるよ。久しぶりに直紀とやって、剣術熱が再熱しちゃったしね。」
「ホントですか!絶対ですよ。今度帰ってくると時はちゃんと連絡くださいね。」
「あぁ、わかった。わかった。」
「ほら、温かいうちに早く食べて。食べて。」
「「「いただきます。」」」
おいしい朝食をいただきました。
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