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夢だと思っていたら現実だった件 ~死にたくないのでソウゾウリョクを駆使して全力で抗います~  作者: 神子島 航希
第2章 動き始める日常

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26.地稽古

 暫く、子供達の練習を見て気になる所を指摘して、改善策を教えたりする。剣道や剣術と違ってスポチャンは武器が軽いので、自分が思い描いた剣の動きがしやすい。その分、スピードがあるので、躱したり防いだりするのに身体能力が必要だ。上を目指そうと思うと、それなりのセンスが必要そうだ。


 だが、楽しんだり、ストレス発散には本当に良いスポーツのようだ。現に皆、笑顔でバチンバチンと叩きあっている。


 適度な所で俺は指導を切り上げて、持ってきた道着に着替える為、更衣室に入った。剣道場の更衣室の独特な匂いはせず、清潔に保たれた更衣室だった。サッサと着替えて道場に戻り、ストレッチを始める。


 俺がアップを始めたのを見て子供達がチラリチラリとこちらを伺っている。うん、いつもと違う光景があると子供って気になるよね。


「ほーら、よそ見してると怪我するわよ!兄さん、代わるわ。そろそろアップしたら?」


「おう、頼むわ。」


 そう言って直紀も俺の隣に来てストレッチを始める。暫くお互い無言でアップを続けていると、真紀がこちらに目配せをしてきたのでお互い頷く。


「はーい、それじゃあ暫く休憩にします。良く水分を取ってね。5分後に先生達の地稽古を始めるから、ここに整列して待ってて下さい。」


 アップが終了した俺と直紀は、木刀を持ってお互いの立ち位置から少し下がった所に正座して精神統一する。


「真紀さん、試合の様子を録画しても良いですか?」


 莉緒がスマホと三脚を持って真紀に相談をしている。


「先輩が良ければ兄貴はどうでも良いですよ。あ、それって道場の広告用にも使っても良いですか?」


「先輩が顔出しOKなら良いと思いますけど。せんぱ・・・集中しているみたいだから、事後承諾貰いましょうか。」


「子供達の顔は映らない様に、こちらから撮って下さい。」


「分かりました。中央と端っこ2点の計3点から撮影して、後で編集しましょう。」


 そんな会話を、意識の遠くで聞いていると今度は道場の入口付近が騒がしくなった。


「あら、高学年と中学生も来る時間だったわ。カフェにいた保護者も近くで見学するみたいね。」


 なんか段々大事になっているなと、心の中で苦笑しつつ目を開く。直紀も同時に目を開いていた。


「君達も見取り稽古をしてから準備でいいわよ。時間も無いので天野先生の事は後で下級生に聞いて頂戴。」


 真紀が雑な紹介をして、小学校高学年や中学生、保護者を見学者席に促す。


「では、これより直紀先生と天野先生の地稽古を始めます。」


 俺と直紀は神棚に一礼し、互いに目礼し、俺は正眼に、直紀は上段に構えた。


「はじめっ!!」


 真紀の合図で、お互いに一足づつ前へと進み出し、一足一刀の間合に入り睨み合う。


 星陰流は「先々の先」を取る流派だが、同じ流派同士だと、機先を制する為に、起こりを見逃さないよう、度々睨み合いになる。


 暫く互いに微動だにしない時間が過ぎた。最初に痺れを切らしたのは・・・低学年の男の子だった。


「なぁんだ。なにも・・・」


 その声をキッカケに、俺は直紀の胸に向かって突きを繰り出した。


 直紀はその突き出された木刀ごと叩き潰す勢いで、唐竹割りに木刀を振り下ろす。


 直紀の木刀に弾かれた木刀を、流れに逆らわず左手を放し、右手のみで木刀を右に流しながら、()()半歩ズラして踏み出していた右足に合わせて、体を半身にして直上から打ち付けられる、直紀の木刀を躱わす。


 直紀は、躱された木刀を床に当たる寸前で止め、逆袈裟で切り上げようと腕に力を入れる。俺は、直紀が腕に力を入れようとする寸前、左足で木刀の背を踏み潰し、切先を床に打ち付ける。


 と、同時に流されていた右手の木刀を、()()()左手に持ち替えて、()()を繰り出そうとした。直紀は驚愕の表情を浮かべる。


 瞬間、目の前にノイズが走り、大男(バカ)が血飛沫をあげて、崩れ落ちる光景がフラッシュバックした。


 意志の力で光景(フラッシュバック)を振り払い、木刀を()()()()


 が、直紀は、その馬鹿力で俺の体ごと木刀を振り上げた。


 俺は自分が薙ぎ払った横の力と、直紀の振り上げた馬鹿力を利用して、月面宙返りをし、離れた場所に着地し正眼に構えたのだった。


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