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夢だと思っていたら現実だった件 ~死にたくないのでソウゾウリョクを駆使して全力で抗います~  作者: 神子島 航希
第2章 動き始める日常

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25.道場見学

「建て替えるにあたって、入門者やその親御さんにアンケートを取ったら、子供達を待っている間、お茶が出来るところが欲しいとか、母親達も体動かしたいけど、チャンバラはちょっと・・・って、意見があったので、1階は道場とカフェ、2階はヨガなどが出来るスタジオと、合宿が出来る宿泊施設、3階が3世帯住居にしたんです。それで、また、その、売上げが上がりまして、あと5年程でローンも返せる目処が立つ程に順調なんです。」


 真紀の経営センスもすげぇ。


「一応、星陰流を残す事が目的だったので、スポチャンでセンスがある子には声を掛けて、木刀剣術をやらないか打診しているんですけど、今のところ希望者はいません。」


 そう言って真紀は苦笑していたが、これだけ順調なら、いつか後継者も見つかるかもしれないな。


 そんな事を考えながら3人で談笑をしていると、道場の方が俄かに騒がしくなった。と、同時にカフェに妙齢の女性達が姦しく入ってきた。


「真紀先生、こんにちは。今日は先生がこっちにいるって事は、指導は直紀先生?」


「あら、じゃあ窓際早く取らなきゃ。」


「貴女に見られてると、直紀先生が落ち着かないわよ。」


「あら、私の美貌で?」


「窓際にモンスターがいるって!」


「ちょっと酷くなーい。これでもヨガ教室で痩せたのよー!」


「どうせ、ここでケーキセット頼むんでしょう。プラスマイナス0じゃない。」


「寧ろプラスかしら。」


 あははっと、笑いが起きている。直紀もお母様達に好評のようだ。


「祐希先輩、莉緒さんうるさくてすいません。」


「いや、全然気にならないよ。好評の様で良かったじゃないか。俺達は勝手にやってるから接客しておいで。中で見学しても良いかい?」


「えぇ、見学とは言わず先輩からも指導してあげて下さい。兄貴は直ぐ感覚論で指導するから偶に子供達が?マーク浮かべているんです。」


 俺達は、お母様達に軽く会釈をして、道場に向かった。


「先輩、この後直紀さんと試合して、剣術スキルの検証するんですよね。私、録画用に車から機材下ろしてきます。」


「ああ、分かった。ほれ、鍵だ。」


 俺は莉緒に車の鍵を渡して道場の入口に向かう。両開きのスライドドアを開けると、道場が一望できた。道場は板張りではなく、スタイロフォームの畳になっていた。正面に神棚が祀ってある。入る際に、道場に礼をする。


 俺が入って来るのを確認した直紀が、子供達の練習を止めて整列させ、手招きして俺を呼ぶ。


「はーい、ちゅうもーく!今日は先生の同級生で君達の大先輩である天野先生に来て貰いましたー。はい、拍手!」


 皆がパチパチと拍手をしてくれる。直紀が何か話せと促してくる。


「星野先生と同級生の天野祐希です。あまり人に剣を教えた事は無いので、変な事を言うかもしれませんが、今日はよろしくお願いします。」


「じゃあ、天野先生に質問がある人は手を挙げて!時間も無いから2人まで!」


 すると、皆がハイ!ハイ!と我先にと手を挙げてくる。


「じゃあ、浩二!」


「はい、天野先生は彼女いますか?」


「いません。良い人がいたら紹介して下さい。」


 皆が、一気に色めき立つ。真紀先生がいいんじゃねぇ?とか聞こえてくる。段々と収集がつかなくなるぐらいまで騒ぎだしたので直紀が仕切る。


「はーい!ストップ。祐希の彼女は自力で探して貰うとして、次のしつもーん!」


 また、ハイ!ハイ!と皆が手を上げる。


「じゃあ、翔太。」


「はい!直紀先生と天野先生はどっちが強いんですか?」


「うーん、今、1367戦中478勝477敗412分だから、俺の方が強いかな。」


「いやいや、478勝は(オイ)やが。」


「「はぁ!?」」


 俺が直紀にメンチを切ると向こうも同じ様にメンチを切ってきた。


「はーい、ストップ!兄貴も先輩も子供達の前だよ。自重して!」


 いつの間にか真紀が来ていて、俺と直紀の間に入る。おっと、いかん。いかん。コイツとはガキの頃から、毎日の様に勝負していたので、対戦成績となると直ぐに熱くなってしまう。


「この後、30分程掛かり稽古を交代でやって、休憩がてら先生達の地稽古を見学しましょう。上級者の地稽古を見る事は、見取り稽古と言って自分に足りない所の発見にもなるから良く見てね。」


 こうして直紀との対戦は、思わぬ人数の見学がつく事となった。


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