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夢だと思っていたら現実だった件 ~死にたくないのでソウゾウリョクを駆使して全力で抗います~  作者: 神子島 航希
第2章 動き始める日常

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23.幼馴染

 次の日、いつもの日課を軽めにこなし、朝食も昨日の残り物をサンドイッチにして食べた。莉緒もなんとか起き出してきて、寝惚けながらサンドイッチを食べていた。


 朝の諸々の準備を整えいたら、結局出発が10:00前になっていた。


「途中、休憩でサービスエリアに寄るから、約3時間くらいのドライブだ。途中の宮原SAで早目の昼食にしよう。」


「車で鹿児島に行くの初めてなので楽しみです。」


「はは、最後まで楽しめるといいな。」


「?」


 そうして、俺と莉緒は湧水町に向け出発した。宮原SAでラーメンを食べ、莉緒が球磨川陸橋からの景色を写真で撮りまくったり、連続トンネルに興奮していた。


 山江SAでトイレ休憩を取って再出発する。莉緒はカーブの多い高速道路や周りの山々に興味深々だったが、下りに入り急カーブが連続してくると、顔色を変えてしまった。


「せ、先輩、だ、大丈夫ですよね。」


「うーん、雨の日はスリップ事故多いらしいぞ。今日は雨は降っていないし、多分大丈夫だろ。」


「え、た、多分って、わ、わ、か、壁!え、遠心力で体がー!」


「なーんてな、大丈夫だ。高速でブレーキは余り好ましくないが、ここはノーブレーキだとどんどんスピードが上がるからな。適度なブレーキワークを心掛ければ、早々事故らんよ。」


 そう言ってゆっくりとブレーキを何回かに分けて踏む。ここ人吉峠は山間の難所として知られており、山間を抜くように高速道路が走っている為、急カーブが多いのだ。初めて通る人間は余りの急カーブに戸惑ってしまう。


「ほら、そろそろ峠を抜けるぞ。」


「・・・生きた心地がしませんでした。」


 右へ左への急カーブを暫く走らせていると、目の前が開けてきた。


「ここがえびの高原だ。人吉の山間から一気に平野になるから対照的で面白いだろ。」


「わー、なんか、急に明るくなった気がします。」


「はは、もう少しで着くからもうちょっとの辛抱だ。」


 暫く高速を走らせていると、「栗野IC」の看板が見えてきたので、左にウィンカーを出して、ICへと降りる。


「栗野?湧水町じゃないんですか?」


「昔の名前だ。平成の市町村合併で湧水町に変わったんだ。」


「合併したのに町のままなんですね。」


「それだけ田舎って事だな。さあ、着いたぞ。」


 ETCを抜けると懐かしい田園風景が飛び込んできた。

 インターを出て、暫く街中を走り自分の記憶にある、少し町外れになった所にあった道場を目指す。が、記憶の場所にあったのは真新しい3階建てのビルだった。


「あれ?確かここだよな。俺達以外門下生いなかったから、とうとう地上げされたか?」


 少し車を走らせて、空き地になっている所の前面道路に幅寄せして、ハザードを付けて停める。


 スマホを取り出して、ある人物の名前を呼び出し、電話を掛ける。数コールの後に相手が電話に出た。


「あー、俺。久しぶり。今、着いたんだけど、引っ越したのか?え、うん、あー分かった。じゃあとりあえず向かうわ。」


 電話を切ると、莉緒が話しかけてきた。


「そう言えば、スキル検証とは言ってましたけど、詳しい事は聞いてませんでした。今日は何をしに湧水町に?」


「あぁ、剣術スキルの検証をしたくてココに来たんだ。ココには俺が通っていた剣術道場があるんだよ。さっきの所に昔ながらの道場があったんだが、さっき見たらビルだっただろ?だから、道場主の息子に場所を聞いたんだ。」


「それで引っ越してたんですか?」


「いや、それが奴曰く、さっきのビルの駐車場に停めて待ってろだってさ。迎えでも来るのかね?」


 とりあえず車をUターンさせ、先程のビルの前に駐車し、2人で車から降りて伸びをして体をほぐす。


「祐希、久しぶりやねー!元気しちょったかー。全然(いっちゃん)連絡もよこさんがー。」


 後ろから野太い鹿児島弁が聞こえてきた。振り向くと、ガタイが良い坊主の男が立っていた。コイツは星野 直紀(ほしの なおき)。道場主の息子で俺の幼馴染だ。


「おー、直紀。久しぶり。月曜日に連絡したどが。で、道場は何処いったとー?」


 莉緒が俺の喋り口調にビックリしてきる。俺は故郷の人間と話すと、方言が出るのだ。


後ろ(うしと)あるだろ(あっどが)。そんビルよ。」


 なんですとー!


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