12.事実確認
「さて、立花君、天野君。ちょっといいかな?」
課長からの呼び出しだ。立花さんは当然として俺も?釈然としないまま、課長についていく。会議室に入り課長が口火を切る。
「恐らく立花君は悪くないと思うけど、皆の手前事情を聞かない訳にもいかないからね。最初から説明して貰えるかな?」
「あのー、ここに私が居ても良いのでしょうか。女性のあまり立ち入った事を聞くのは不味い気がするんですが。」
「うん?君達付き合っているんじゃないのかい。立花君の態度からてっきり・・・」
「か、かちょー!!」
「課長。それは立花さんに失礼ですよ。私なんかが立花さんと釣り合う訳ないじゃないですか。」
「き、君、気付いてないn・・・い、いや、いい。天野君良く鈍感とか朴念仁とか言われる?」
「あぁ、妹とか知り合いに言われますね。失礼だと思いませんか?」
「う、うん。た、立花君も大変だね。・・・そう言う事であれば、天野君は席を外して貰った方がいいかな。」
「い、いえ、出来れば天野君にも聞いてて貰いたい!です・・・」
「だ、そうだけど天野君いいかな?」
「立花さんが構わないのであれば、私は問題ありません。」
「うん、じゃあ、事情を聞こうか。」
こうして、立花さんは足立をビンタした経緯を話した。その際、立花さんが俺の肩を触った事がきっかけだった事を俺からも説明した。
「やっぱり天野君絡んでるじゃん。」
「結果そうですけど、最初から呼ばれるとは思わなかったもので。事情確認して事実確認の為に呼ばれるかと思っていました。」
「まぁ、それはもう良いか。はぁ、やっぱり彼の自業自得か。今は脳震盪のショックで、記憶が曖昧になっているけど、何かのキッカケで思い出す可能性はあるかもしれない。僕は十分正当防衛だと思うけど、ちょっと当たり所が悪かったね。場合によっては訴え出しかねないね。或いは、それを理由に関係を求めてくるかもしれない。」
立花さんは、想像して両手で肩を抱いて身震いしている。
「そろそろ潮時かね。うん!立花君。今まで足立君にされたセクハラ紛いの言動を書き出して貰えるかい。書けるだけの事でいいよ。日時があると尚いいね。他の女性社員にも協力をお願いできるかい。もちろん強制では無いよ。」
「は、はい。聞いてみます。あ、あの何を・・・」
「今はちょっと内緒かな。来週の頭には結果が分かるよ。出来れば今週中にメールで送って貰えると助かるかな。音声とかあると一発なんだけどね。」
「あ、あります。本当に気持ち悪くて、証拠になればと取ってあります。」
「あ、あるんだ。うん。じゃあこの件は僕が預かるよ。僕が何かしようとしている事は他言無用で頼むね。」
「「わかりました。」」
「では、解散。」
そう言って、課長は足早に会議室を出て行った。
「ごめんなさい。巻き込んじゃって。」
「問題ありませんよ。言ったじゃないですか。何かあれば助けるって。・・・あ、言ってないか。メールで送ったんでしたね。あれ?立花さん、どうしました。」
立花さんが顔を真っ赤にして呆けている。その後、ゴニョゴニョと何かを呟いて立ち上がり、会議室を出て行ってしまった。
あれ、俺何かやらかした?
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