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夢だと思っていたら現実だった件 ~死にたくないのでソウゾウリョクを駆使して全力で抗います~  作者: 神子島 航希
第2章 動き始める日常

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8.温厚な人をキレさせると怖い

「おい、海南商事の新築ビルの1階スラブの構造計算書どうなってる!昨日までって言ってあったよな!先方から催促きてるぞ!」


「昨日の15:00頃に主任に計算書入れた共有フォルダの案内メール送ってますよ。」


「・・・まだ、そこまで追いついてねーよ。じゃねぇ。なんで直接送らねぇんだ。」


「え?担当の主任が確認しないで送っちゃっていいんですか?流石にそれは不味く無いですか。私は主任が時間が無いから、計算だけしておいてくれと言われて、頂いた条件で計算しているだけですよ。先方と直接打合せしていないので、何か質問されても答えられないですよ。」


「あ、あぁ、そ、それはそうだが、急ぎの案件って言っていただろ?そこは察してだな・・・」


「それ、今聞いたんですけど。急ぎだったんですか?でも主任が海南商事と打合せしてたのって、先週の月曜ですよね。私が指示頂いたのは金曜の夕方でしたよ?あれで金曜残業になったんですよね。月曜の依頼なら主任でも出来たんじゃないですか?」


「き、金曜の昼に先方の担当者から直接電話で依頼があったんだよ。俺も忙しいからな。それでお前にお願いしたんだよ。」


「そんな急で無茶な依頼してくる担当者なら、課長から先方に言って貰いましょう。」


「あ、いや、俺の方から先方にはガツンと伝えてあるから、課長の手を煩わせる程じゃ無いよ。ま、計算書が出来ているならいいや。俺から送っておくよ。」


 かーらーのー


「話の途中で悪いけどね。僕の方に先方から昨日連絡があってね。昨日の内に送っておいたよ。」


 残念。既にバレています。


「お、おまっ、チクリやがっ・・・」


「口頭の指示でしたので、リスクアセスメントでCCに課長を入れておきました。送られていないと言われても困りますので。」


 真相は、課長は常に部下が顧客と行った会議について、AIチャットの議事録をチェックしている。なので、月曜の海南商事との打合せの内容も把握していた。


 水曜になっても動かない足立に見かねて、俺に計算をお願いしてきた。片手間で出来る程度の計算だったので、直ぐに終わらせて課長に送信しておいたのだ。


 後は、足立が締切に気付いて動けば良し、俺以外の人に振れば、計算済みな事を伝えて、足立に計算書を送る、万が一締切を忘れた際には課長から顧客に送付する事になっていた。


 まさか、締切の日に休むとは思わなかったが、予想の斜め下を行くのが足立クオリティだ。


「足立君、君が遅刻しようが無断欠勤しようが、それは社内の中だけの話だし、君の評価だけに影響ある事だけだから、皆のフォローは僕がすればいいけど、流石に顧客に対して迷惑を掛けるのは見逃せないよ!君はもう主任なんだ。もう少し自覚を持って若い子達の手本になってくれないと困るよ!以上!」


 まさか、この歳になって皆の前で説教される大人がいるとは思わなかった。しかも、いつも温厚な課長からだ。周りも本人も鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をしている。


「騒がせて申し訳なかったね。さぁ、皆、業務に戻ろう!」


 課長が呆けている皆に声を掛ける。ハッとなって皆が業務の続きに取り掛かる。


 足立だけは、胸ポケットからタバコを取り出し、中身が無いことに気付くと、クシャっと箱を潰して


「くそっ!」


 と、悪態をついて席を立った。恐らく喫煙所だろう。これで30分は帰ってこない。よく説教された後すぐにタバコを吸いに行けるな。あの精神力は少し見習いたい。いや、やっぱり嫌だ。


 課長の方をチラッと見ると、足立を見て目を見開いていたが、苦笑を漏らしてパソコンに向かっていた。


 その後は、足立の独り言の悪態をBGMに通常業務が続いた。いつもの事なので、皆気にしないで業務を進める。


 俺も通常業務を進めながら、今週末金曜日の有給休暇申請を行う。スキル検証を行う為だ。少し遠出をしようと思っている。


「天野君、金曜日の有給休暇問題無いよ。皆も業務の配慮頼むな。」


 課長・・・ワザとですね。足立が歯軋りしている。


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