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夢だと思っていたら現実だった件 ~死にたくないのでソウゾウリョクを駆使して全力で抗います~  作者: 神子島 航希
第2章 動き始める日常

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3.大学時代の後輩

 業務を定時終わらせて、電車で待合せをした店に向かう。帰りは近くの実家に泊まる予定なので、母親に連絡をしておく。


 18:30の10分前に店に入り、予約名を告げ半個室の席に案内して貰う。生とツマミを頼んで、飲みながらスマホでニュースをチェックし、時間を潰す。


 18:40過ぎに、店員から連れが来た事を告げられた。


「センパーイ。「異世界行って来たけど質問ある?」って、クソスレみたいなメッセージ送ってきて、そのまま放置した挙句、呼び出しってどう言う事ですかー?」


 コイツは、上中 莉緒(かみなか りお)。大学時代のサークルの後輩だ。

 ボブにした髪に、目が隠れるほど長い前髪、瓶底程の厚みのあるメガネ、量販店のシンプルTシャツとパンツにリュックと、オシャレとは程遠い格好で、半個室の入口に腰に手を当てて、「私怒ってます。」と、聞こえてきそうな仕草をしているが、背が低い為、中学生が背伸びしている様にしか見えない。


 だが、これでも新進気鋭のITベンチャー企業のスターティングメンバーで、電子系業界ではちょっとした有名人らしい。


 また、サブカルなら、ゲーム、アニメ、ラノベなどなど広く深く嗜むサブカル女子だ。俺に起きた事を解明してくれるのは、コイツしかいないと思い連絡したのだ。


「まあまあ、今日は奢るからちょっと相談に乗ってくれよ。」


「もう!あ、生1つお願いします。はい、これマイナンバーカード。年齢なら問題無いですよ。」


 店員に年齢を聞かれる前に身分証を提示している。毎回聞かれるんだろうな。手慣れている。


「ま、接待三昧の会社役員様のお口合うかは分かりませんが、それなりに美味しいですよ。ここ。」


「いつものお店じゃないですか。ここが美味しいの知ってますぅ。あと、接待とかは社長と他のメンバーに任せてるから私は殆ど行って無いですよ。自分の時間無くなるじゃないですか。アニメのチェックが出来なくなります。」


「相変わらず、徹底しているなぁ。」


「だって、今の会社に入ったのだって、風間が、あ、社長です。アイツが、自分の時間は自由になるって言うから起業手伝ったんですよ。それが、いざ起業してみれば、自由?何それ?美味しいの?状態ですよ。そりゃあ、一から皆でワイワイしながら、一つのものに打ち込むのは楽しかったですけど、一度軌道に乗り出すと皆、利益利益になっちゃって、なんか最近ギスギスしてるし、楽しくないんですよねぇ。この間なんて・・・」


 莉緒の愚痴が止まらない。溜まってるなぁ。


 生を飲み終わり、芋焼酎お湯割りをチビチビと飲みながら、頼んだ馬刺し、辛子蓮根、一文字ぐるぐるをツマミに愚痴を聞く。


「・・・ふぅ。だいぶスッキリしました。あれ、そう言えば何で呼ばれたんでしたっけ?あ、異世界がどうこうって言ってましたね。なんか面白いラノベでもみつけたんですか?」


 2杯目の焼酎を飲んでいる途中で、やっと今日の目的に気付いてくれた。俺は苦笑しつつ、


「ラノベの話じゃないんだが、お前、異世界って信じるか?」


「先輩、良い病院紹介しましょうか?そんなブラックなんでしたっけ?先輩の会社。」


「俺は正気だ。まぁ、信じろって方が無理だよな。」


 そう言って、空になった莉緒のグラスを受け取り


流水(ウォーター)


 と、魔法呪文(マジックスペル)を唱え、左手の前から、生活魔法で生み出した水を、グラスに注いだ。


「は?へ?え?せ、先輩、手品始めたんですか?」


「タネも仕掛けもないぞ。」


 そう言って、左手を突き出す。

 莉緒は左手をペタペタと触って調べて、何もない事を首を傾げながら、


「私、そんなに飲みましたっけ?疲れてるのかなぁ?」


 と、さっき注がれた水をグイッ飲み干した。

 俺が言うのも何だけど、得体の知れないモノを良く飲めるな。


「ふぅー。・・・先輩!さっきの話、kwsk(くわしく)!」


 落ち着け。


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