46.冒険者の実情
「でも、一度外れるしまうと武器が無くなってしまうんじゃないですか?」
「そうなんだよ。だからさっき言った攻撃パターンで仕留め切れなかった時は、文字通り脱兎の如く逃げるんだ。」
「Eランクからの討伐依頼の時は気を付けた方がいいですね。逆に角の納品依頼があれば簡単に集められますね。」
「・・・君、小さいのに聡いね。確かにその通りだよ。冒険者の事聞きたがっていたけど、ランクシステムの事は知ってるんだ。」
「はい、店主が元冒険者なので、先程教えて貰いました。ただ1人から聞くよりも、別の視点や現役の意見も聞きたくて先程はお願いしました。」
「商人って、皆君みたいに小さい時から賢いの?僕も学校出てるけど、君ぐらいの時は遊ぶ事しか考えてなかったよ。」
「か、考えないと生きていけないので・・・」
「・・・そ、そうか。なんかゴメン。過酷な生活環境なんだね。な、なんでも聞いてよ。君の助けになるなら協力するよ。」
「あ、先程学校を出たって言ってましたけど、学校出身で冒険者って珍しくないですか。」
「そうだね。僕達、初等学校の同級生なんだけど、初等学校卒業後、軍学校に入学したんだけどね。ルークがやっぱり冒険者の夢が捨てられないって言ってね。卒業と同時にギルドに登録しちゃってね。まぁ、僕たちも同じ夢を見ていたし、軍の規律も窮屈だったし。それで一緒に冒険者になったんだよ。親はもの凄く怒ってたけどね。今は毎月親に掛った学費の返済中だよ。」
「軍学校ですか。結構な学費だったんじゃないですか。」
「ははは、たしかにF・Eランク時代は日々の生活と返済でカツカツの生活だったよ。Dランクになってちょっと余裕が出てきたかな。でも、贅沢は出来ないけどね。」
「では、荒事ならお手の物でしょうから、この後も皆さんがいれば安心ですね。」
「あぁ、野盗かい。まぁ、普通は国や都市が運営している乗合馬車を襲う輩はいないね。護衛はいるし、捕まれば極刑だからね。Dランクの乗合馬車護衛は割のいい仕事なんだ。だから依頼の取り合いが凄いよ。」
「僕も冒険者を目指しているんですが、初等学校は出ていた方がいいですか。」
「君は冒険者になって何を目指すんだい。英雄?」
「世界を見て回りたいです。」
「なら、学校にいけるお金があるなら卒業しておいた方がいいね。初歩的な計算や字、簡単な世界の地理や社会情勢を教えてくれるから、世界を回る時に多少は役に立つと思うよ。」
ふむ、逆に言えばそこまでの情報しか手に入らないのか。計算は問題ないし、字もダルトンやアルルにお金を払って、隙間時間で教われば良さそうだ。地理や社会情勢はリグラの方が生きた情報を貰えそうだ。
「そうですね。今は纏まったお金が無いので難しいですが、今後の参考にさせて貰います。ありがとうございます。」
「うん、君はまだ小さいし保護者とよく相談した方がいいよ。おっと、そろそろ出発のようだしここまでにしておこうか。」
「色々とありがとうございました。あ、あの、僕ダルトン商会で働いているので、良かったら来てください。また、お話し色々聞きたいです。」
「ははは、じゃあ今度、お店に寄らせて貰おうかな。」
「ありがとうございます!」
ふふふ、お客候補ゲットだぜ!
「やるねぇリノ君。乗合馬車での営業活動。やっぱり、君は商人に向いているよ。冒険者なんて危険な仕事目指さないで、商人になって僕と世界を目指さないか。」
「たまたまです。冒険者に興味があったからこそ話が弾んで、その流れで誘えただけです。僕に護衛依頼を出してくれれば、ダルトンさんを世界のどこでも行けるようにしますよ。」
「頼もしいねぇ。その時が来ることを楽しみにしているよ。」
ハハハと、笑いながらダルトンが馬車に乗り込んでいった。
本気にしてないな。みてろよ。将来見返させてやるぜ。
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