4.ステータス確認
「はぁ??」
思わず、声が漏れて慌てて口を押える。ゆっくりと隣を見るが、隣の子は可愛い寝息をたてているだけで、どうやら起こすことはなかったようだ。ほっと胸を撫でおろして、目の前のウィンドウに目を向ける。
目を向けると言っても、先程隣を見たときに目の前を追従してきたので、常に目の前にあるようだが。消したいと思えばすぐに消せるようだ。また見たいと思えばまた目の前に現れる。思考するだけで良いようだ。
なぜ、リオの記憶にないものが存在するのだろうか。リオが知らないだけで、この世界では常識なのだろうか。いくら考えても、分からないものは分からないので、とりあえず中身を確認してみることにしよう。
リノ(天野 祐希)
8歳(27歳) 男 ヒューマン
状態:健康(空腹(小))
保有魔力量:15/15
所持スキル
魔力操作Ⅰ(0/200)
魔術適正Ⅰ(10/200)
魔紋開放Ⅰ(1/200)▼
察知Ⅰ(25/200)
建築設計Ⅱ(300/1000)▼
並列思考Ⅰ(50/200)
剣術Ⅱ(250/500)
観察Ⅰ(75/100)
健脚Ⅰ(80/100)
習得魔法
生活魔法
称号
夢を渡りし者▼
うん、どうみてもステータスです。ありがとうございました。
冗談はさておき、一つづつ確認していこう。
名前はリノと俺の名前も表示されるようだ。年齢は8歳のようだ。7~8歳かと思っていたのでこれで正確な年齢がわかった。こちらも俺の年齢が表示されてる。性別は表記通り。
状態は今現在の体の状態が表示されるようだ。そして、保有魔力量。これが多いのか少ないのかは分からないし、今後自発的に増やせるのか、成長と共に増えるのか分からないが、数字で目に見えるのはありがたい。
リノの記憶では、魔力は数値で見えない。一般的には、魔法を使ってみて眩暈や吐き気が出てきたら、そこが自分の魔法が使える限界回数と言われている。眩暈や吐き気を我慢して使用し続けると、気絶してしまうらしい。
魔力を枯渇させて気絶すると、寿命を縮めると言われており、気絶するまで魔法を使うことは忌避されている。
リノも初めて魔法を使った時は、興奮して使い過ぎて気絶している。起きた時にこの話を聞いて顔を青褪めさせた記憶がある。
お、俺も気を付けよう。
次に所持スキルを確認しよう。
魔力操作Ⅰから見ていこう。字面的には読んで字のごとく、魔力を操作できるスキルなんだろう。
魔法を使うとき、魔法呪文を使用すると魔力が自動的に体から排出され、魔法を出したいところに魔法が発動する。この時、体の中で何かが動いている感覚がある。恐らくこれが魔力だろう。
これを、自分の意志で動かすのが魔力操作なのだろう。これは体内の事なので今でも試せそうだ。早速試してみる。
先ずは、魔力の源というか、溜まっているところを探す。お腹の下腹辺り、丹田と呼ばれる所に魔力が滞留しているのを感じる。そこに意識を集中して魔力を動かしてみる。
ジワリジワリと魔力を自分の意思で動かしていると、丹田から出られる経路を感じられた。そちらの方に魔力をゆっくりと動かしてみる。
魔力の経路は、比較的通しやすい大きな経路と、物凄く細い、毛細血管のような経路があるようだ。今日の所は、通しやすい大きな経路を通してみる。
丹田→右足→心臓付近→右手→頭→左手をゆっくりと魔力を通していると、左手の甲辺りで詰まる感覚があった。迂回経路はあるのだが、何かその詰まりが気になった。魔力が吸われた感覚があったのだ。
その詰まりを魔力でなぞってみると、丁度野球ボール程の大きさがあるようだ。そのボールを魔力で包み込んでみる。一部が空洞の様に開いていて、そこから魔力が吸われる感覚がある。ちょっと面白いので、どの位まで入るのか試してみる事にした。
どんどんと吸い込んでいくので、身体中の魔力を集めて吸わせみる。
暫くすると、ベッドに横になっているのに目眩がしてきた。不味いと思い、魔力を集めるのを止めようとした。
え?止まらない!?
え?ちょっちょっと不味い、不味いって。
魔力操作に慣れていない為か、ボールに自動吸引機能があるのか分からないが、どんどんと魔力を吸い取られ、
そして俺は意識を手放したのであった。
お読みいただきありがとうございます。