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夢だと思っていたら現実だった件 ~死にたくないのでソウゾウリョクを駆使して全力で抗います~  作者: 神子島 航希
第1章 転生!?

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26.乾燥パルムの反応

 身支度を整えて、廊下に出る。丁度、ソフィーも出てきたところのようだ。


「おはよう!リノ。今日の朝ごはん楽しみだね!」


「おはよう。ソフィー。みんな驚くかな?」


「絶対、驚くよ。あ、でも正体がパルムって事は内緒なんだよね?」


「うん、明後日から、ダルトンさんの所で働けるようになって、試作品を持って行って売れるって分かったら、増産のために皆にも手伝って貰おうかと思ってるよ。その時も、作り方については、孤児院の外の人には内緒にしたいけどね。」


「うふふ。それまでは2人だけの秘密だね。」


「うん?シンシアお姉ちゃんも知ってるから、3人の秘密だよ。」


「がーん!そうだった。せっかく2人の秘密と思って喜んでいたのにー!」


「・・・あ、でも、シンシアお姉ちゃんも、売り出すまでの流れは知らないから、そこは2人だけの秘密だよ。」


「え、そ、そっか。うふふ。2人だけの秘密。なんか、楽しいね。」


「そ、そうだね。」


 そんな話をしながら、食堂に入る。

 食堂には、まだ年長の子が数人しか来ていないが、みんな少しソワソワしている。

 いつものメニューに、1品見慣れないものが増えているからだ。

 その様子を、2人して眺めながらクスクスと笑い、自分たちの準備を始める。

 小さな子達も集まり始め、皿の上にある見慣れない食べ物に興味深々だ。


 全員が揃い、シンシアが号令をかける。


 カイトが、いの一番に乾燥パルムを口に放り込んだ。

 こういった所は、感心するくらい物怖じしない子だ。


「うっんまぁーーー!!」


 絶叫が木霊する。


「シンシア姉ー!これ何?これ!メチャクチャ甘いんだけど!これしかないの?」


「き、昨日、市場でおまけして貰ったドライフルーツなの。数に限りがあるから、それだけなのよ。ごめんね。」


「えー!こんなに美味いもんが、これだけしか無いんだったら、味わって食えばよかったー!」


 悔しがるカイトを見て、皆は少しだけかじって、その甘さに驚き、最後に食べようと皿の脇に寄せる。

 俺も、食事の最後に食べようと皿の脇に寄せていると、カイトが目聡く見つけてきて


「リノー。お前それいらないのかー。俺が食べてやるよー。」


 と、手をワキワキさせながら、カバディみたいな動きをしながら近づいてきた。

 その動きにドン引きしていると、カイトの頭にゲンコツが落ちる。


「いってー!誰だ!」


「カイト。年下をいじめるな。あと、うるさい。」


 カイトの後ろには、カイトよりも体が一回り大きな少年が立っていた。彼の名はボーノ。カイトと同じ年の12歳で、院の子供達のリーダー的存在だ。


 口数は少ないが、いつも年下の子たちを気に掛けており、こうやって年上の子が意地悪をすると、すぐに助けに入ってくれる。口数は少ないが、意地悪な職員にも毅然とした態度で対するので、子供達の信頼も厚い。


「げぇ!ボーノ!冗談だよ。冗談。」


「早く、食べて準備しろ。」


「ありがとう。ボーノ。」


「うん。」


 それだけ返事すると、彼は自分の席に戻っていった。


 騒がしい朝食が終わり、年長の男の子たちは土木作業に出ていく。心なしか、いつもよりも笑顔で出掛けたような気もするが、乾燥パルムの効果なら嬉しい。


 俺と、女の子たち、年少の子供達は、院の掃除をする事となる。建物内は、床の雑巾がけ、窓ふき、要らない物の処分、庭は落ち葉集めと、雑草取り。


 正直、子供だけで熟せる量ではないが、基本、職員はシンシア以外、手伝わない。小さい子の監視をしているか、書類仕事をしているかである。


 ムカつきはするが、邪魔をしないだけマシなので、居ないものとして無視をして黙々と仕事を続けた。


 そうして、昼は掃除、夜は魔力循環の訓練と、魔力枯渇による最大魔力量の増強を行い、


 次の日、ダルトンが院へと来訪する日となった。


お読みいただきありがとうございます。

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