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夢だと思っていたら現実だった件 ~死にたくないのでソウゾウリョクを駆使して全力で抗います~  作者: 神子島 航希
第3章 生活環境改善

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28.再びのリディア邸

 俺は今、馬車の中の人となっている。リディア家へ向かう迎えの馬車だ。午前5の鐘(地球時間10時)の30分ほど前に、孤児院前の道に下町には似合わない豪華な馬車が横付けされた時は、近隣住民に注目の的だった。度々お騒がせして申し訳ないです。


 セバスが馬車のドアを開けて出迎えた際、俺の他にダルトン、シンシア、ソフィーがいる事について目線で説明を求められた。


「ダルトンさんとシンシアお姉ちゃんは僕の保護者です。未成年なので一応、保護者の立会いが必要かと思いました。ソフィーは僕への報酬に必要な人材です。勝手にダメでしたか?」


「いえ、そういう事であれば主は何も申しませんでしょう。どうぞお乗りください。」


 セバスは納得してくれて、皆の同乗を認めてくれた。促されて馬車に乗り込むと、中も外観と違わず豪華な作りとなっている。シンシアとソフィーがガチガチに緊張していた。最後にセバスが乗り込むと、御者に合図を送り馬車が出発した。


「ダルトン様とシンシア様がご一緒であれば、行政府の人間も屋敷に呼びましょう。移動の手間が省けて宜しいかと思いますが如何ですか。」


「そうして貰えると助かります。」


「では、そのように。リノ様、褒美の品はお決めになりましたか。あ、ここでは言わなくて結構ですよ。先に聞いたとなれば主に何を言われるか分かりませんから。」


「はい、ただ物ではないのですが大丈夫だったでしょうか。」


「ほう、主は大抵の事であれば許容されるかと。面白ければなお良いというお考えの方です。とても楽しみです。」


 ハードル上げてくるなぁ、この人。


「はぁ、面白いかどうかは分かりませんが、喜んでもらえるよう善処します。」


 こうして、俺達は三者三様の面持ちでリディア邸へと向かったのであった。


 ◇◇◇◇


 前回の応接室に通された俺達は、リディアの到着までお茶を楽しんでいた。あ、楽しんでいたのは俺とダルトンだけで、シンシアは緊張のあまりガチガチでお茶も喉を通らない様子、ソフィーは部屋の様子が気になってお茶どころではないようだ。


「リディア様が来られたら、ソファーの前で跪いてね。今回は後ろに控える必要はないから。声が掛ったらそのままソファーに座って大丈夫だよ。」


 ダルトンからそう説明されたシンシアとソフィーが頷いている。前回の時も説明して欲しかったよ!


 しばらくすると、ノックがされてセバスが入ってきた。


「主がお見えになります。」


 その言葉で、俺達はテーブルの前に跪いた。いつの間にか控えていたメイドが茶器を片付ける。しばらくすると、前回の様に靴音がしてリディアが入ってきた。


「いやぁ、お待たせしたようだね。色々と立て込んでいて中々訓練にも参加できないよ。あぁ、そんなに畏まらなくていいから。頭をあげてソファーに掛けたまえ。」


「はっ!失礼します。」


 俺が代表して答え、ソファーに座る。それに習って他の3人も座った。


「リノ君、ダルトン君は一昨日ぶりだね。えーっと、そちらの君は孤児院の職員のシンシア嬢だったかな。そして、そっちの可愛い子は初めましてかな?いや、あの時いた子かな?こんにちは。私はリディア・イスタールだ。お名前を聞いても良いかな。お嬢さん。」


「は、はじめまして。ソ、ソフィーと、も、も、もうします。きゅ、9さいでう。」


「ははは、そんなに緊張しなくても大丈夫だよ。そうかソフィーちゃんか。良く出来たね。リノ君の彼女かな?」


「リディア様、お戯れを。私の歳で彼女なんてまだまだ早いですよ。ソフィーは同じ孤児院の仲間です。」


「・・・君は、本当に8歳かい?大人みたいな返しをするね。ほら、隣の彼女が怒っているよ。」


 隣を見ると、ソフィーが「むー!」と言いながら頬を膨らませている。あら、可愛い。ソフィーの膝をポンポンと叩いて宥める。


「あしらい方も心得たものだね。末恐ろしいよ。・・・ま、君以外の3人ついてはセバスから聞いているよ。さて、時間もないし本題だ。今回の事件の報酬は考えてきたかね。」


 さて、ここからはプレゼンの時間だ。


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