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夢だと思っていたら現実だった件 ~死にたくないのでソウゾウリョクを駆使して全力で抗います~  作者: 神子島 航希
第3章 生活環境改善

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14.孤児院の今後

「では、君に次の院長をして貰おうかな。」


「「・・・え!!」」


 皆が一斉に驚く。


「あれだけの職員が汚職で逮捕され、それを補充するとなると、それなりに時間が掛かるだろう。それまでの間、レイモンドの所の職員を借りるとしても素人同然だからな。経験者は必要だ。暫くの間は院長代理としてこの院を運営して貰いたい。お金の面は・・・ダルトン。君、孤児院経営には興味はないかい?」


「へ?・・・はっ!し、失礼しました。こ、孤児院経営でございますか?」


「うん、実はここ数年、福祉系の予算が増加傾向にあってね。税務係が悲鳴を上げているんだ。始祖の思想もあるし、減額するわけにもいかなくてね。そこで持ち上がったのが半官半民による孤児院経営なんだ。民間で切磋琢磨している商人に経営を任せてみて、経費を圧縮できないかとの意見があってね。モデルケースとしてこの院を経営してみないか?監査役は付くが、君の好きなようにして貰って構わないよ。」


「わ、わたくしで宜しいのでしょうか。」


「最初はレイモンドにお願いしようとも思ったのだがね。聞けば、君がこの院の窮状をリノ君に聞いて、動いたというじゃないか。そういう者にこそ任せてみたいのだよ。院長代理となるその子とも知らない仲ではないのだろう?」


「・・・やります!いえ、やらせてください。」


 ダルトンが決意の固めた目でリディアに返事をした。


「よし、決まりだ。正式な任命は追って連絡をするから、その時は2人で行政庁に出向いてくれ。」


「「はい!」」


 ダルトンとシンシアが元気に返事をする。希望に満ちた若者は眩しいねぇ。ま、俺も今は8歳の子供だけども。子供達もシンシアが院長になると聞いてうれしそうだ。


「それと、リノ君。今回の立役者である君にも何かご褒美を上げないとだね。何か欲しい物はあるかい。」


「え?ぼ、僕は、な、何も・・・。」


「何もしていないなんて言わせないよ。長年見つける事の出来なかった横領や汚職を、君の勇気ある行動で白日のものに出来たんだ。これで報酬が何も無しなんて事をしたら、それこそ始祖に顔向けできないよ。さぁさぁ、何か欲しいものはないのかい。」


 グイグイと迫ってくるリディア。お、押しが強いなぁこの人。


「お嬢様。急にそのような事を言われてもリノ様が困っておりますよ。ここは少し時間を空けられては如何ですか。」


「セバス!お嬢様と呼ぶなと何度も言っているだろう。・・・ふむ、確かに急に言われても思いつかんよな。セバス。次にスケジュールが空いているのは何時だ?」


「2日後の豊潤の月22日、午前5の鐘から6の鐘の間が空いております。」


「よし!ではリノ君。明後日の午前5の鐘前に迎えを寄越すから屋敷まで来てくれ。それまでに欲しいものを考えておいてくれよな。では、私は後始末があるのでこれで失礼するよ。」


 そう捲くし立てて、リディアはセバスさんを伴って去っていった。


「あ、嵐みたいな人だなぁ。」


 俺がボソッ呟くと、ダルトン横に来て


「不敬罪で捕まるよ。なぁんてね。あの方は良くも悪くも行動力があるんだよ。だけど、第一にこの街に住む民の事を考えてくれる方さ。それで、欲しいものは何か思いつきそうかい。」


「今は、まったくです。どこまでのものを要求すれば良いんですかね。」


「あの方なら大概のものなら要求に答えて貰えると思うよ。それこそ家でも用意してしまうかもね。」


 も、持ち家かぁ。確かに自分だけの拠点があるのは魅力的だなぁ。だけど、


「維持費の目途が立たないので無理ですね。」


「夢が無いねぇ。」


「もう少し時間があるので考えてみますけど、物じゃなくても良いですかね。」


「リディア様が用意できるものであれば何でもいいだろうね。物じゃ無いってことはお金かい?」


「ちょっと思いついたものがありまして。・・・今は内緒です。」


 何はともあれ、一件落着かな。


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