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夢だと思っていたら現実だった件 ~死にたくないのでソウゾウリョクを駆使して全力で抗います~  作者: 神子島 航希
第3章 生活環境改善

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13.子供達とシンシア

 バーバラを連行しながら、院の庭へと出た。パルムの木が植えてある庭には、入り口近くに後ろ手に縛られた職員、奥の方には子供達が炎狼隊に囲まれて座っていた。


 俺達の姿を見つけたそれぞれのグループが叫ぶ。


「「い、院長!!!」」


「「リ、リノ!!!」」


 飛び出しそうになる子供達を、炎狼隊の兵が優しく制する。


「行って安心させてあげるといい。」


 リディアが声を掛けてくれたので、俺は子供達の方へと走って向かう。リディアは捉えた職員の方に向かうようだ。


「お、おい、リノ何があったんだよ。もう、わけわかんねえよ。」


「リノ、だいじょうぶ?ケガはない?お出かけしてたんじゃないの?」


「な、なんであんたがお貴族様と一緒にいるのよ。しょ、紹介しなさいよ。」


「ん。」


 皆が一遍に質問してきて大混乱だ。バニラはブレないし、ボーノは喋ろうか。ただ、皆いつも通りで安心した。


 そこへ、ダルトンに支えられたシンシアがやってきた。しまった。リディアにシンシアの事を言っていなかった。恐らく兵が子供達を保護する際に、勘違いしたシンシアが抵抗して制圧されたのだろう。連行されるシンシアを見つけて、ダルトンが保護してくれたのだろうか。


 シンシアが俺の目の前にきた。


「リノ・・・。」


 俺と目線が合うようにしゃがみ、涙目で俺を見つめるシンシア。


 そして・・・


 バチーン!


 平手が俺の左頬を打った。いったー!


 そのまま抱きしめられた。


「もう!なんでこんな無茶をしたの!一言、一言相談してくれてもいいじゃない。私はそんなに頼りない?・・・もっと、もっと頼って。」


「ご、ごめんなさい・・・。」


 ぎゅーっときつく抱きしめられる。


「ゆるしません。これはお仕置きです。」


 く、くるしい。必死に顔を動かして、ダルトンを見る。


「う、うらや・・・あ、いや、しょうがない。ここは甘んじて受けるしかないよ。」


 ひ、他人事だと思ってー。


 暫くの間、幸せなお仕置きを受けた。


 俺が、お仕置きを受けている間、ダルトンが子供達に掻い摘んだ説明をしてくれた。


「・・・まぁ、要するに、これからは食べる物にも、着る物にも困らないという事だよ。もちろん、働きに出なくてもいい。勉強したい子は学校に通う事も可能だ。」


 子供達は最初こそ困惑していたが、最後の要約を聞いて花が咲いたように笑顔になった。


「うぉぉ!飯が腹いっぱい食べられるんだー!」


「働きに出なくてもいいなんてサイコーだね。」


「が、学校・・・、で、出会い・・・。」


「・・・。」


 相変わらずブレないバーバラとボーノ。だが、彼らも子供らしい笑顔だ。


 皆でワイワイと盛り上がっていると、リディアがこちらに近づいてきた。


 皆の顔に緊張が走る。そりゃあ、兵達の親玉だもんな。


「・・・そんなに身構えられると心にくるね。」


 リディアが悲しそうだ。


 その声でシンシアも我に返り、俺を解放してくれた。


「あ、あの、この度は、私達を助けてくれて、あ、ありがとうございます。・・・す、すみません。お貴族様と、お、お話をした事が無くて、こ、こんな話し方になってしまって・・・。」


「良いよ。良いよ。他の貴族とは話さない事が無難だけど、私はそんな事を気にしないから無理をしなくても良いよ。さて、ダルトン。この子は汚職に染まった職員では無いで良いんだよね。」


「はっ!シンシア嬢はこの孤児院出身で、福祉課は通さず直接バーバラ院長に、ただ働き同然で雇われていた、いわば被害者です。」


「ふむ、院の運営は出来るかな。」


「はっ!ほぼ一人で切り盛りしていたので問題ないかと思います。・・・だよね、シンシア嬢。」


「は、はい。経営の事は良く分かりませんが、院の内部の事は隅々まで把握しています。」


「・・・では、君に次の院長をして貰おうかな。」


「え???」


 無茶ぶりきたーー。


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