7話
一週間後。
「おおー」
オリビアは、カメリアたち女性陣3人に囲まれていた。
全員拍手して、感嘆の声を上げる。
オリビアは、杖を持って立っていた。
「皆さん、ありがとうございます」
オリビアは笑顔を浮かべて、頭を下げる。
「オリビアがリハビリ頑張ったおかげだよ!」
「ええ、わずか一週間で杖を持ちながら、歩けるようになりましたものね」
「カメリアさんたちがサポートしてくださったからですよ」
ふふふと、口に手を当ててお淑やかに笑う。
「私たちに敬語使わないでいいんだよ」
「そうそう。同年代みたいだし、この数日間で仲良くなったし」
「でも、夢で見た昔の私は普段から敬語で話していたみたいです。普段通りの生活を過ごしたほうが、記憶が戻るのも早いと思いますので」
そうオリビアは話すが、オリバーが入る前のオリビアの記憶を盗み見できた訳ではない。
「真逆のお淑やかお嬢様大作戦」。
これが本来の性格かは分からないが、オリバーの荒っぽい口調とは真逆の敬語で話していけば、微かにもオリバーだとは気づかれないだろうといった判断であった。
(無理に女の口調で話してボロを出すよりも、まだ敬語の方が話しやすいからな)
「確かにずっと記憶がないのは不安ですものね」
心配するカメリアに、嘘をついて罪悪感を抱いているオリビアは苦笑いを浮かべる。
「皆さんにも、仕事があるでしょうに。私に付きっきりで申し訳ないです」
「気にしないでいいよ」
「まあ、私たちの分、リーダーが一日中仕事しているからね」
「そうなのですか?」
オリビアも言われて気づいたが、オリビアたちが朝起きたときはもう既にリーフの姿はなかった。
日中は姿を全く見せることはない。
リーフに会うことに気まずさを感じていたので、好都合だと気にしていなかった。
そして、夜更け過ぎに帰ってくるのだった。
「ここ一ヶ月働き詰めだったんだ。あの日は、クエスト予約する前に、睡眠薬盛って、無理矢理休めたの」
「そろそろまた休めたいところですが、次は警戒されるから、困ったものですわ」
はあ、とため息をついた。
(リーフって、そんな仕事大好きの社畜体質だったっけ?)
「まあ、仕事に集中して、嫌なことを忘れたいというのは、分からなくもないですが」
「嫌なこと?」
「…リーフがこうなったのオリバー様が亡くなってからなんですよ」
「それは…」
続く言葉がなかった。
(俺が亡くなったことで、俺に対する怒りのぶつけどころがなくなったんだな。仕事で発散するしかなかったんだ)
「睡眠薬盛ってから、寝ずに働くことはなくなったけど、まだまともに食べているところ見てないんだ」
「携帯食料しか食べてないんだよね」
「それは心配ですね」
自分の死が原因であるので、どうにかしないとと、考えこむ。