5話
リーフがパーティーから抜けた後のこと。
彼が詠唱が必要な攻撃魔法の他に、無詠唱の援護魔法を使っていたことがパーティー全体に周知された。
その魔法によって、攻撃力が上がっていたため、リーフがいなくなった後は、全体的に攻撃力が下がっていった。
そのせいでクエストは失敗続き。
リーダーであるオリバーが何度も頭を下げる姿を目撃される。
その間に、リーフは別のパーティーを結成していた。
そして、無詠唱の攻撃魔法をマスターし、剣を振るいながら、魔法を行使する魔剣士として、名を馳せていく。
その名声からパーティー内部で、リーフを戻す声も上がったが、ジェイやオリバーの強い反対があり、顔を合わせることはなかった。
この前のクエストも失敗で終わり、オリバーを残し、一目散に逃げてしまったのだった。
(よく考えると、ジェイはリーフを嫌っていたし、アンバーはプライドが高い。リーフを戻すように言ったボルドーは怪我でクエストには参加していなかった。だから、リーフに助けを求めるはずがない)
『オリーフロード』が失敗したクエストの後始末にリーフのパーティーが来ただけだろう。
(それに、助けを求められたとしても、リーフがそれに答えるはずがない)
ベッドに腰かけるオリバーは、リーフを見上げて思う。
(あんなこと言っておいて、どの面下げて、リーフに会えるっていうんだよ)
オリバーは顔を引き攣らせる。
合わせる顔がないというのに、リーフのパーティーの一員に取り憑いているという最悪の形で再会してしまった。
「長い間眠っていたけど、大丈夫か?」
心配する言葉をかけるが、視線が冷たい。
(もしかして、この娘の中身が俺だってバレてる?)
「起きたときは怠い感じがしたけど、ポーションもらったから大丈夫、です」
不安に思いながらも、ボロを出さないようにたどたどしく敬語で答える。
(つい敬語使っちゃったけど、この娘の普段の話し方知らなかった。変に思われてねえかな)
オリバーはリーフたちを見上げているため、意識せずに上目遣いになってしまう。
女性陣は、その姿が可愛く、庇護欲を抱かせる。
「それなら、よかった」
「ここでは一ヶ月眠っていたけど、ダンジョンではどれだけ眠っていたか分からないものね」
安心して、笑い合っていた。
「例え初対面でも、冒険者同士は助け合わなきゃ!」
ね、とセレストが笑いかける。
(彼女たちの話を聞く限り、この娘はここのパーティーの人ではないのか)
リーフのパーティーの活躍は耳に入っていて、この部屋にいるパーティーのメンバーの名前は把握していたが、入ったばかりとかで、オリバーがまだ知らない可能性もあった。
(いつもと話し方が違うとかで疑われることはなさそうだな)
ほっと一息ついた。




