表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/38

5話

 リーフがパーティーから抜けた後のこと。

彼が詠唱が必要な攻撃魔法の他に、無詠唱の援護魔法を使っていたことがパーティー全体に周知された。

その魔法によって、攻撃力が上がっていたため、リーフがいなくなった後は、全体的に攻撃力が下がっていった。

そのせいでクエストは失敗続き。

リーダーであるオリバーが何度も頭を下げる姿を目撃される。

その間に、リーフは別のパーティーを結成していた。

そして、無詠唱の攻撃魔法をマスターし、剣を振るいながら、魔法を行使する魔剣士として、名を馳せていく。

その名声からパーティー内部で、リーフを戻す声も上がったが、ジェイやオリバーの強い反対があり、顔を合わせることはなかった。

この前のクエストも失敗で終わり、オリバーを残し、一目散に逃げてしまったのだった。

(よく考えると、ジェイはリーフを嫌っていたし、アンバーはプライドが高い。リーフを戻すように言ったボルドーは怪我でクエストには参加していなかった。だから、リーフに助けを求めるはずがない)

『オリーフロード』が失敗したクエストの後始末にリーフのパーティーが来ただけだろう。

(それに、助けを求められたとしても、リーフがそれに答えるはずがない)

ベッドに腰かけるオリバーは、リーフを見上げて思う。

(あんなこと言っておいて、どの面下げて、リーフに会えるっていうんだよ)

オリバーは顔を引き攣らせる。

合わせる顔がないというのに、リーフのパーティーの一員に取り憑いているという最悪の形で再会してしまった。

「長い間眠っていたけど、大丈夫か?」

心配する言葉をかけるが、視線が冷たい。

(もしかして、この娘の中身が俺だってバレてる?)

「起きたときは怠い感じがしたけど、ポーションもらったから大丈夫、です」

不安に思いながらも、ボロを出さないようにたどたどしく敬語で答える。

(つい敬語使っちゃったけど、この娘の普段の話し方知らなかった。変に思われてねえかな)

オリバーはリーフたちを見上げているため、意識せずに上目遣いになってしまう。

女性陣は、その姿が可愛く、庇護欲を抱かせる。

「それなら、よかった」

「ここでは一ヶ月眠っていたけど、ダンジョンではどれだけ眠っていたか分からないものね」

安心して、笑い合っていた。

「例え初対面でも、冒険者同士は助け合わなきゃ!」

ね、とセレストが笑いかける。

(彼女たちの話を聞く限り、この娘はここのパーティーの人ではないのか)

リーフのパーティーの活躍は耳に入っていて、この部屋にいるパーティーのメンバーの名前は把握していたが、入ったばかりとかで、オリバーがまだ知らない可能性もあった。

(いつもと話し方が違うとかで疑われることはなさそうだな)

ほっと一息ついた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ