33話
「あれー?」
セレストが大袈裟なくらい首をかしげている。
「リーフ、いつの間にオリビアって、呼ぶようになったの?」
(そういえば、そうだったな)
今までいろいろと大変なことが多すぎて、気づかなかった。
「だって、オリビアも大切な仲間だから」
ね、と頭を優しく撫でられる。
頭を撫でられるなんて、ずっとされてこなかったし、リーフの優しい顔にときめいてしまい、思わず顔が赤くなる。
(オリビアとしては、嫌がるのは不自然だし)
女性陣はその様子をニヤニヤと眺めている。
「わ、私もリーフさんも助かったし、もういいでしょ!帰りますよ!」
「オリビアの髪ツヤツヤして、撫で心地いいのに」
(こいつ、心開いた途端、いきなりデレやがった)
残念とすねて、手を離す。
このパーティーでは、これが普通なのかと、視線を向けるが、気づいた様子はない。
オリビアは頭に手を当てる。
まだ、リーフの温もりを感じる。
(せっかく、オリビアとしてリーフと仲良くなれたけど、俺は騙したままなんだよな)
リーフたちはジェイの処遇を話していた。
「彼女、他にも余罪が出てきそうですわね」
「警察に突き出さないとね」
「このまま、こいつは置いて、僕たちだけでダンジョン出ればいいじゃん」
「駄目に決まっているでしょ。彼女、テイマーみたいだけど、眠っているままだと、モンスターに襲われるかもしれないし」
カメリアたちが優勢ではあるが、リーフのジェイへの興味は完全に失せているので、彼に従えば放置されそうだ。
(さすがに俺もここまでされたら、もう二度と仲間にはなれないけど)
「お仕置きは少し控えめにはしてあげますので、リーフが彼女を連れていってくださいね」
「えー。まあ、引き摺っていけば、楽か」
「それはさすがに可哀想だから、やめてあげて」
よいしょ、と片手で腰の辺りくらいまでジェイを持ち上げた。
「ふ、普通におんぶすればいいんじゃないんですか?」
起きてはいないが、不安定にぶらぶら揺れている。
「やだよ、オリビア以外を背負うなんて」
「え、私?」
(いや、敵のジェイと密着したくないのは分かるけど、何でオリビアの名前が出るんだ…。他のメンバーでもいいのに)
ダンジョンのドーム空間を出ようとする。
「これで終わりだと思っているのか!」
低く響く声が聞こえた。
「どこだ!」
剣を構えようと、リーフはジェイを落とした。
ぐぇっと、床にぶつかったときに、潰れたような声が聞こえた。
周りを見渡すと、黒いもやが見える。




