18話
話をされた当日は、クエストが入っていたので、まずはカメリアだけが残り、体術を教えてもらうことになった。
ギルドで人はいるものの、訓練場で特訓するのをレイチェルから許可をもらえた。
それぞれ順番に教えてもらい、リーフが担当する日がやってきた。
最近並外れた実力が認められてきた青年とそのパーティーにやってきた謎の美少女の対面は周りからの注目を集める。
「じゃあ、素振り千回やって」
「分かりました」
言われるとすぐに、木剣を振り始める。
カメリアの訓練や自室でもできるトレーニングをするようなり、体力がつき、床にまでつかず、寸止めできるようにまでなった。
自分がやっている間、暇だろうなとちらりとリーフを見る。
何故だか呆気にとられていた。
「どうかしましたか?」
「素直にやるとは思わなかったから」
「素振りだって、大事なトレーニングだって分かっていますし」
オリバーが子供の頃、リーフと一緒に村にいた昔冒険者だった人に、勇者と認定される前から剣の腕を鍛えられていた。
森からモンスターが襲ってきた討伐しないといけないし、戦争になったら戦地に赴くことも貴族の務めだからだ。
しかし、面倒くさく飽きてしまいがちなオリバーはまともに剣のトレーニングに取り組まなかった。
一方、リーフは子供でまだちゃんとした従者の地位にいた訳ではないが、お世話をしてくれるナイジェル家に恩返しとして、しっかり取り組んでいた。
リーフを遊びに誘うも、断られていたため、すねてしまったこともある。
しかし、元来オリバーは負けず嫌いなため、リーフが腕をみがき、周りの大人の評判を呼ぶと、自分は天才で、有事の際は力を発揮できるという思い込みはやめ、一緒に取り組むようになった。
さすがに子供の頃は、千回やらされることはなかったが、勇者に選ばれ、より鍛える必要性が認められると、千回やそれ以上を毎日やることが定義づけられ、それによって筋力などがついていると実感していった。
(まあ、本当に何も知らない女性だったら、いきなり無理なことさせるなって思うけどな)
オリビアは振りながら考える。
(でも、今俺がいるうちに自衛できる手段を整えておきたい。俺がこの体からいなくなって、もしかしたら冒険者の道をやめることもあるかもしれないけど。でも、こうやって体に覚えたことは無駄にはならないはずだから)
「多分私が千回終わらせるの時間がかかると思うので、近場のクエストとか行ってもいいですよ」
「…いいよ、見てやる。君を放っておいたら、カメリアたちに何言われるか分かったもんじゃないし」