表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

14/38

14話

 玄関先で軽くストレッチする。

辺りはまだ暗く、日の光はまだ出ていない。

「ランニングするんですよね?どこまで行くんですか?」

「ダンジョンまで」

「この近くだと初心者向けか。確かにちょうどいいですね」

この家からギルドまでが徒歩10分程。

そして、ギルドから初心者向けダンジョンが徒歩20分かかる。

ダンジョンまで往復して、一時間かかる。

「いや、上級者向けのところだけど」

「え、それって、馬車で二時間かかるところじゃないですか」

『オリーフロード』は高ランクのパーティーだったので、上級者向けのダンジョンにも行けた。

ただ、行き帰りに時間がかかるので、頻繁に行けるところではない。

「まあ、馬はゆったり走っているから、人が歩いているのとそう変わらないでしょ。僕たちは走って行くんだから。いつも二時間あれば、戻ってこれるし」

「どれだけ全速力で向かうつもりなんですか」

「ほら、さっさと行くよ」

タッタとリーフが走りだし、その後をオリビアが追いかける。

街灯がついていない時間なので町中は暗かった。

数日したら新月なので、三日月にならないほど月の光は細いが、星々が輝いている。

「僕、どうかしていた」

「え?」

不意にリーフがつぶやく。

「オリバーの靴は僕も履かないで大事に取って置こうと思っていたんだ」

「まず、サイズ違うんでしょ?」

「1cmくらい誤差だよ。同じパーティーにいたときは間違えたこともあったし」

まだお金に余裕がなくて、リーフとオリバーが同室だった頃のことだった。

起き上がって履いてみると、いつもより小さいなと気づいた。

無理矢理押し込んで、パーティーの集まりに行くと、リーフが間違えて履いているのを見つけた。

(少しでも隙間があって、歩きづらくないかと思ってたんだよな)

「それでも、オリバーさんのが1cm大きいんでしょ」

「そう頑なに主張してくるところ、オリバーと一緒だなあ」

同一視されたとオリビアはびくっとした。

「だから、何でだろうな。君にオリバーの靴を履いてもらいたくなった」

「…そんなこと言われても、私にはぶかぶかすぎますよ」

「だから、もう履いてもらうことはないよ」

そして、リーフははさらに走るスピードを増していき、オリビアもその後を追いかけた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ