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遺品のぬいぐるみに、一晩乗り移ってください

愛です。

どうぞよろしくお願いします。

遺品のぬいぐるみに一晩乗り移ってください。


天国の入り口で、僕はそう神様から言い渡された。


君にも、次の生が待っていますが、その前に。

だって、お母さんの愛が伝わらずに死んじゃったのは、いけないことですから。


と哀しげに神様は言う。


僕は僕のぬいぐるみに生まれ変わりたい。

優しくて、みんなに愛されてるから。


そう言っていたでしょう?だから一晩だけ、君のぬいぐるみに生まれ変わらせてあげる。


僕は家に着いた。


お母さんは僕のぬいぐるみを撫でていた。


お久しぶり、お母さん。


。。。聞こえないか。


本当はちょっと会うのが気まずかった。


僕は生まれたときから病気だった。幼稚園にはいかず入院生活だった。


思い出の中の僕は、ずっと苦しかった。


僕はお母さんに愛されてるって、あんまりわからなかった。


お母さんは僕のせいで振り回されてるんだと思っていた。


愛してるって言われても、気まずくて、苦しくて、信じられなかったんだ。


すると突然、お母さんが僕を撫でる手を止めて、背をかがめてぼくの顔をのぞき込む。


お母さんはどうしてか僕がぬいぐるみに乗り移ったのをわかったみたいで、

大きく目を見開いた。

僕を抱きしめるその顔は、クシャリと歪んだ泣き顔で、目からポロポロ涙がこぼれて。


信じられない。こんな事があるなんて、、、神様。


お母さんは鼻声になりながら、僕を目の高さに持ち、僕の目を見て言った。


愛してるってまた言えて、本当に嬉しいの。

心から、あなたに優しくしたいのよ。


またあなたを撫でられて、本当に幸せ。

心から、あなたに優しくしたいのよ。


。。。僕はとてもバカだった。


僕はその時、お母さんに愛されてるってことが、雷が落ちるようにわかった。


僕は聞くことしかできず、それでも涙を流してた。


人生でこんなに、心が満たされたことはなかった。


そして一晩はあっという間に過ぎて、


僕の魂はぬいぐるみから出て、


僕はお母さんの頬に少し触れてから、満足して次の生へと旅立った。

愛の思い出の一つになればとても嬉しいです。

どうぞよろしくお願いします。

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