たまには遊軍部にて…(その19)
立花【失礼しますよ】と遊軍のドアを
コンコンと鳴らしてガチャリと
開けて入ってくる
小谷【お疲れ様ですデスク!】
佐山【お疲れ様ですデスク!】と
即座に直立不動で挨拶している
津雲【お疲れ様です】と座りながら
挨拶している
立花【津雲さん、その後の体調は
どうですか?】
津雲【大人しく仕事しているから
退屈で退屈で仕方なかったけど
状態も良好だっていうから
ぼちぼちと色々取材に
行けるかとやらなければ
ならないか事が山が動いた
くらいにあるからな~】
立花の表情がメラメラと変化してく…
立花【津雲さんあなたという人は
本当に少しは周りを考えなさい
少しは大人しくするというのは
ないんですか!よろしいですか
くれぐれも!くれぐれも
大人しくしていて下さいね!】
と社屋にヒビが入らんばかりの
雷が落ちている
津雲【はい…デスク血圧上がりますよ
血圧】とたじろいながらも
立花【誰のせいでこうなっていると…】
と更に怒りの形相を見せている
小谷【まあまあまあ、
私の方からきつく
指導しておきますので】
立花【本当に頼みますよ!
毎度毎度迷惑を被るのは
こちらなんですからね】と
鼻息荒く興奮をしながら
津雲に詰め寄りながら
話している
小谷【デスク!落ち着いて落ち着いて
下さい、私の方からきつく
きつく指導しておきますので】
立花【津雲さん!あなたという人は
少しは奥様の事を考えて】
津雲【それは問屋が卸さんよ、
前にも話したが生涯ヒラで
現場で生き続けるよ。
それがブンヤの性分というもの
だよ。窓際でもそれなりに
好き勝手動いてきたんだから
真実を追い求めてな、その点は
ウチの奥さんも納得しているよ
如何せん40年近くいるからな
ツーカーよ】
立花【やはりこの夫にして
この妻ありね】と言いながらも
紙コップに入ったコーヒーを
それぞれに渡して、奥の空いて
いるイスに腰を下ろしている
少し落ち着いた様子を見せる
佐山【この妻って?】
立花【津雲さんを操れるのは
奥様しかいないという事ですよ】
とコーヒーにミルクと
ガムシロップを入れている
津雲【珍しいな~デスクが
それを入れるなんて】
立花【たまにはですけどね、
誰かさんのおかげで気苦労が
絶えませんからね~】と視線を
これでもかといわんばかりに
津雲に向けている
津雲【身体が万全ではないから
少しは自重するよ】
立花【それでお願いします】
佐山【そう言えばデスクのお子さんが
小学生の頃ってバザーって
ありました?確か私立の学校と
聞いているんですけど】
立花【それはデマよ、普通の公立よ
小中高とね】
小谷【来週佐山が子供の授業参観と
バザーで有給休暇を取るもので
して、バザーの出し物について
話していたものですから】
立花【出し物ね~そう言えばおにぎり
と豚汁だった気がするわね~
後クレープのお店が
毎回来ていたわね~】
津雲【クレープ屋…】
佐山【チビ達の小学校とは…】
小谷【私の子供の通っていた
学校とも…】
津雲【世界が違いすぎる】
佐山【世界が違いすぎます】
小谷【世界が違いすぎです】
立花【みんなと同じです、
ただ通学路にクレープ屋さんが
あっただけの話で運動会や
バザーに出張で来てましたね】
津雲【そういう事かい】
立花【ところで津雲さんに
コラムの依頼がありましてね】
と苦笑いしている
津雲【お断りします】と即座に
腕を組んでいる
立花【いや、私もこのタイトルの番組
知らないから無理ですよと
何度かお断りしたんですけど】
小谷【どんな番組なんですか?】
佐山【津雲さんが知らなくても
私やキャップが知っている事は
多々ありますから】
津雲【それはどういう意味だよ】
佐山【言葉の通りですよ】
小谷【まあまあ】
立花【確か“40までにしたい10のこと”?
とか言ってたわね~】
津雲【今度放送されるドラマの
タイトルですか?】
立花【放送は終わったそうなんですけ
ど…何か箔みたいなのが
欲しいんだそうですよ?】
津雲【だからって地方紙にまで
頼むかね~続編でも
やる予定あるのか?】
立花【どうなんでしょう】と悩ましい
表情を見せている
津雲【ちなみに誰から頼まれたんだ】
立花【専務からなんですよ】
津雲【専務か…あの人何考えているか
分からないんだよな~】
立花【公私混同しない人ですから
何かしらの繋がりで
来たのかなと…】
津雲【しかし、まるっきり見た事ない
物語で書けというのは
無謀にも程があるぞ。
まさかとは思うが…】と立花に
視線を向ける
立花【私もこの話聞いて、
そんなドラマがあるの始めて
知りましたから】
佐山【少し調べましたけどテレビ京東
夜中に放送されていたドラマで
すね】
津雲【どんな物語なんだ】
佐山【BLです】
津雲【サンドイッチの話か?
ベーコンレタスサンドとかの】
小谷【野球の話ですか?横浜対西武の】
立花【バスケットリーグの話なのかし
ら、最近盛り上がってる
わよね~】
佐山【違います、男性同士の
恋愛物語です】
津雲【それだと前にも書いたから
特化するのはさすがに】
立花【その辺は津雲さん、
専務に聞いてもらえませんか?】
津雲【結局こっちに
丸投げするんかい】と呆れた
表情を見せる
佐山【でもドラマに出演していた
俳優さん結構人気らしい
ですよ?】
津雲【そうはいっても分からない
話を書けっかい~分かったよ
とりあえず合間を作って専務に
話を聞いてくるよ】
立花【ありがとうございます
それではお願いしますね、
さてといいか仕事しなくちゃね】
そういってドアをガチャリと
開けて遊軍部を後にした
小谷【さてと、私達もいい加減に
取りかかりますか】
佐山【はい、やりましょう】
津雲【はいよ、仕方ないやりますか】
こうしていつもの日々が
始まったのでございます