新聞社へ思わぬ訪問者(その8)
さてさて…津雲は菅野との話近況を終えて遊軍部に戻った
津雲【只今戻りました~
お疲れさまです】
佐山【お疲れさまです、
誰だったんですか?お客さんは】
津雲【復帰した国会議員さんだよ】
小谷【菅野さんですか?それとも】
津雲【菅野さんだよ】
小谷【そうでしたか…1度離れた
伏魔殿の様相の世界に
再び挑むわけですから】
佐山【確かにそうですよね、
まして女性には厳しい世界です
からな~、世界的に女性進出が
遅れていますからね】と
悩ましい表情を見せている
津雲【そんな人が再び闘いに
挑むんだとよ】
小谷【しかし、比例ですよね】
佐山【そうですよ、立候補する時も
散々言われていましたしね】
津雲【まあ、立候補は自由だしな~
でも当選するかは別問題とは
思ったがここまで票数を得ると
はな…プライベートよりも
政策をという事だろうよ、
それにああいうのはある所が
仕掛けると言うしな】
佐山【ある所って】
津雲【佐山は知らないなら知らない方
が良いだろうよ、それこそ
パンドラの箱の1つだよ、
お金の官僚とも言えば
分かるだろうさ】と腕を組み
ながら淡々と語る
小谷【津雲さんそれは昔から
有名な話なのですか?】
津雲【政治を担当するブンヤなら
それなりの情報を得る為には
ギブ&テイクという事だよ、
特に大手やメディア媒体や
週刊誌や配信も裏ではタッグを
組んでいるよ、ウチらみたいな
地方はお下がりだけどな
そしてそれに対抗する策は
いくらでもあるけどな、外から
報じられれば、連中も苦虫を
かみつぶしたような表情が
目に浮かぶがな】
小谷【津雲さん、まさかとは
思いますけど
それやった事あるのですか?】
津雲【官僚の不祥事はそれなりに
あるよ、だけど報じられるのは
ほんの僅かなんだよ、
だからこそ減らず口叩くなら
とことんやるぞってな!
あの連中もそこを突けば
少しは親方日の丸を
辞めるだろうさ】
小谷【津雲さん、選挙に出馬要請を
受けた事ありますか?】
津雲【何回かはあるけど即座に
断った、あんな世界は
御免被るよ】
立花【あっ!いたいた津雲さん、
探したわよ、津雲さんにまた
お客さん来てるわよ
応接室にいるから】
津雲【また?今度はどこのどなたなん
ですか?今日は次から次へと】
立花【さっき話をしていた
2人です…】と少し苦笑いする
津雲【デスク!手が話せないと
お断りしてください、
私見は伝えてありますよね】
立花【伝えましたよ、それでも顔を
突き合わせて話をしたいとを
言われたら断る訳にはいかない
じゃないの!!とにかく早く
向かってちょうだい、
先程から来られて
お待ちなのだから】
津雲【お断りします!デスクのおかげで
今日の分はまだ3割も終わって
いないんですから】
立花【良いわよ今週はゆっくりで、
そうしたらしばらくは
中にいるでしょうから】
津雲【分かりましたよ、
行けば良いんでしょうよ】と
ため息をつきながら
椅子から立ち上がり
再び応接室へと足を運んでいき
数分後に到着した…
津雲【まさか、またここに来る事に
なるとは】
津雲【さてともうひと踏ん張り
しますかね】とぼやいてから
ドアをコンコン…
津雲【失礼します遅くなってしまい
まして、申し訳ありません】と
一礼をして入っていく
野平【こちらこそ、お忙しいなか
時間を割いていただきまして
申し訳ありません、私はお台場
テレビのドラマ制作部門で
プロデューサーをしております
野平と申します】と頭を
下げながら名刺を差し出す
津雲【これはわざわざご丁寧に
どうもすみません…】と
こちらも名刺を差し出す
東香【すみません、改めまして
宜しくお願いします】
津雲【そうですね、違う所で
話をしてましたね~
こちらも改めて】と頭を下げて
名刺を差し出す
津雲【とりあえず腰をお掛け下さい】
野平【失礼します】
東香【失礼します】
津雲【それで私にご用とは
一体どういったことでしょう】
コンコン…失礼致します…と
一礼をして入室して
受付担当がコーヒーを
テーブルの上に置いていく
野平【ありがとうございます】
東香【ありがとうございます】と
二人共に軽く頭を下げている
受付【失礼致します】と一礼をして
退室していった
野平【津雲さんのコラムには
大変ドラマの盛り上がりには
一役を買いまして、ありがとう
ございます】と軽く頭を下げる
津雲【顔を上げて下さい、
私は何もしていませんよ】
野平【いえいえ、ドラマの放送が
終了した後のコラムのおかげで
配信の再生回数が良い意味で
とんでもない事に
なりましてね~】
津雲【大した事はしていませんよ、
大分“沼落ち”した人間は社内
にはいますけどね】
津雲【それで続編の制作を決定したの
は良いけども…主人公達の
スケジュールはという事です
かね】
野平【そこもありますけど、
色々スキャンダルの噂が
ありまして…】
津雲【スキャンダルですか…】と少し
悩ましい表情をしている
東香【その辺は津雲さんなら何か
ご存じなのではないのかと
思いまして…】
津雲【それを私に聞いて
はい、そうですか何々ですよと
は言いませんよ、それに
スキャンダルがあると
するならば】
野平【するならば】
津雲【事務所が既に対応しています】
東香【津雲さん…】とガクっと
肩を落としている
津雲【冗談ですよ、吉根さんに
もし疑惑とするならば
“熱愛か結婚”に“オンライン
カジノ”という所ですかね】
野平【前者ならありがたいの
ですけどね】と少し苦笑い
している
津雲【後者の場合は例え発覚したと
しても認識はなかったのだと
思います、ただこれだけ
騒がれていますからね】
野平【くれぐれも勘弁して
ほしいものですけどね】
津雲【まるで心理カウンセラーの様な
感じですね、ちなみに吉根さん
には交際相手はいると思います
よ、恐らく年上の一般男性か
この業界の人だと】
東香【本多さんの可能性は?】
津雲【少しの好意はあるかも
知れませんがね、そのまま
発展する可能性はないに
等しいかと…事務所が昔ながら
の方針の様ですから…しかし
そんな事の為にわざわざ
来られるとはお台場テレビさん
も余程大変なんでしょうね】と
皮肉を込めてぼやいている
野平【なかなか痛い所を突きますね】
津雲【もし、あるなら本多さんの
熱愛かなと…大穴ならば
吉根さんと小関さんの結婚
ですかね…なんか
芸能リポーターになって
いますね】
野平【それだけこちらとしては…
という事なので…】
津雲【私見は立花には伝えて
ありますので、申し訳ないの
ですがこれから取材が入って
おりまして、こちらで
失礼させていただきます】と
応接室の時計を遠巻きに
見ながら話している
野平【こちらも突然お尋ねして
しまいまして、また機会
ありましたら宜しく
お願いしますありがとう
ございました!】と頭を下げて
応接室を後にした
東香【津雲さん、それではまた…】と
野平に続いて頭を下げて
応接室を後にした
津雲【こちらこそ宜しく
お願いします、
ありがとうございました!】と
野平と東香に対してこちらも
頭を下げた後、一息ついてから
応接室を後にした
津雲【余程力を入れているがな…
あんまり固定の役はやらせない
方が良いだろうよ…ただな…
その類いは遅かれ早かれ】
そうつぶやいて遊軍部へと
戻っていった
今回の登場人物(放送関係者)ーーーー
野平 勇…53歳
お台場テレビでドラマ制作部門の
プロデューサーを勤めている
これまで“ショムイチ”等の様々な
ドラマをヒットを生み出している