たまには遊軍部にて…(その17)
話しはまだまだ続いておりまして…
津雲【昔なら例え提案しても
即座に却下されただろうよ、
でも今のお台場テレビの状況
なら可能性はあると思うぞ、
後はキャストさん
次第だろうさ】
立花【そこまで考えるとは…】
津雲【小関さんは今ではドラマに
欠かせないバイプレーヤーに
なりつつあるからな、山本さん
も結婚されて少し心にゆとりか
安心感みたいなのが
出てきているよ】
小谷【なんか親心な感じですね】
津雲【もしやるなら、小宮さんと
小川さんの話を中心に描いて
いければ面白いと思うぞ、
確か東香さんも少しだけ描いて
いたようだからな、それに
この2人は今売り出し中
なんだろ?】
立花【そうなんですか…】
津雲【沼落ちした人間が何を言うか
あんだけ番犬みたいに吠えて
いた奴が…】
佐山【ヤツって…】
小谷【津雲さん…津雲さん…】と
冷や汗がツーとうっすらと…
津雲【それにこのドラマの撮影場所は
ドラマの影響で観光客が
殺到しているらしいんだよ!
千里の房の村と香鳥居市のな!
ただ、嬉しい部分だけでなく
その反面の観光客の迷惑行為が
あるおかげで他の撮影にも影響
を及ぼしかねないから、
今後は極端な入場制限か
事前予約制度のみを考えている
そうだ、後は学校関係くらい
だろうよ】
立花【津雲さんいつの間に】
佐山【どこからその情報を】
津雲【撮影に困っていると入院して
いる時に相談を受けてな、
対策の1つを話したまでだよ】
津雲【それに吉根さんは最近公私共に
あまりにも忙しく働き過ぎて
いる、あのドラマを撮影しな
がら舞台の稽古していたん
だから、更に映画の試写会
やら配信やら出過ぎてる、
1度長期休暇を取らせないと
本当に心と身体が余裕なくして
壊れちまうぞ、別の見方をして
しまうと生き急いでいる様にも
見えるけどな、学生時代に
大きな病気をしたせいなのかも
しれないがな、だからと言って
猛スピードの様に
働くなよとな】
津雲【それに相手役の本多さんも
ここ2.3年で20本近くのドラマ
に出演しているそうだ、
事務所の方針なのかは分からん
があまりにもメチャクチャだ!
色が付いて役の幅を無くしたく
ないのかもしれないけどな】
佐山【津雲さんてなんかお節介な部分
もあるんですね、ツンデレな
感じもありますけどね】
津雲【本当は航空救難団のドラマに
ついてコラム書きたかったけど
な…山井さんが密着してコラム
書いていたから出涸らしになる
から諦めたんだよ】とその時の
記事を見せている
小谷【これを山井さんが…】
津雲【後で読んでくれればと思って
な…結構評判なんだよ、
ウチよりもローカル新聞なのに
な】と笑いながらも少し
嬉しそうな表情をしている
津雲【ここまで深く掘り下げた記事は
久々にフリーの人間のまともな
のを見たよ、それこそ
山井裕典の真骨頂をな
でも、内野陽聖さんの動きは
枯れかけた中年に最後の
ひと踏ん張りの希望を
与えてくれたよ】
小谷【しかし、津雲さんがデスクを
怒るなんて初めて見ましたよ】
津雲【昔はもっと厳しかったよ!】
佐山【そうなんですか】
立花【散々怒られましたからね~でも
津雲さんは私の記事を
批評しながらもボツにはせずに
上を説得してくれて、
ほとんどそのままの記事が
掲載されていましたから】
津雲【それが今や立場逆転になり、
ついに幹部職の仲間入り
だからな!頼もしくなったよ】と
少し感慨深い心境で立花に視線
を向ける
佐山【幹部職って…】
小谷【どういう事なのですか?】
津雲【来年度から立花は部長に
昇進するんだよ、
しばらくはデスクと
兼務だからな】
小谷【それで石川副部長と乾副部長の
体制になられていたのですね、
随分変わった人事異動を
するなと思っては
いましたけど】
津雲【だからといって、ここで
油売ってていいのかとは
思うがな】
立花【あの2人ならそれなりにやって
いますよ、まだまだな部分も
ありますけれど少しずつ形や
味を出してくれると…】
佐山【味?…】
津雲【それぞれのスタイルという
意味だよ、話を戻すけど
聞かれたら答えておいてくれ】
立花【分かりました、津雲さん】
津雲【どうしたね】
立花【万が一吉根さんと本多さんが
プライベートでも、
そういう中になったら】
津雲【残念ながらないと思うぞ、
吉根さんは何か一線を
張っている、公私混同は
してはいけないと少し頑な
感じはあるけどな
もしかしたら昔病気をした
のが意外と心に深くあるのかも
知れないな
もし違う形でなら、そういった
答えもあるかも知れないがな】
津雲【さてと、今日はデータ入力に
勤しみますかね~】
佐山【珍しいですね~】
津雲【明日孫が来るんだよ、
なぜか肩に乗るんだよ】
小谷【肩車ですか~余程居心地が
良いんでしょうね~】
佐山【ウチもチビが小さい頃は
そうでしたから】
立花【男の子ってみんなそうなのかも
知れないわね~さてと、
長居し過ぎたわね
そろそろ失礼するわ】
そういってドアをガチャリと
開けて遊軍部を後にした
小谷【さてと、仕事しますか…】
佐山【今日は取材もないし】
津雲【やりまひょか】
佐山【何で関西弁…】
津雲【そこは気にせずにスルーを】
小谷【2人共、仕事です】
津雲【はい!】
時計の針はこの時点で10時半を
過ぎておりました