迷宮～新聞記者 津雲京介

たまには遊軍部にて…(その15)

遊軍部に戻った津雲はドアをガチャリと開ける…

津雲【おはようございます】と

　　　様子を伺う

小谷【おはようございます!】と

　　　視線を津雲に向ける

津雲【キャップ!この度は色々

　　　ご迷惑おかけして

　　　すみませんでした】と　

　　　頭を下げている

小谷【津雲さん…こういうのは

　　　今後くれぐれもないように

　　　お願いしますね】

津雲【はい…】

小谷【といってもあなたの事です、

　　　動きまわるのでしょうから】と　　

　　　呆れつつもも少し嬉しそうに

　　　している

津雲【すいませんね…】と

　　　苦笑いしながら頭を掻いている

小山【それが津雲さんらしいと言えば　

　　　らしいですけどね】

津雲【しばらくは大人しくしますよ、　

　　　それに小説も好評ですから】と　

　　　腰を下ろして椅子に座る

小谷【ちなみになのですが、コラムの　

　　　最後みたいなのは決めているの　

　　　ですか?】

津雲【特に決めてはいませんね、

　　　いかんせん元々は3か月の予定　

　　　が今日(こんにち)まできて

　　　しまいましたからね、

　　　これまでも色々お騒がせした

　　　部分でコラム50までで終わるか　

　　　と思っていたのですが…まさか　

　　　の継続とはと思いましたよ、

　　　それにネタ切れしてきましたし　

　　　潮時かとも考えましたから】

小谷【あの時はさすがに終わるなと

　　　感じていましたから、

　　　津雲さんて何だかんだで

　　　首の皮1枚つながって

　　　いますよね】

津雲【確かに、こんだけやらかしたら　

　　　大手なら左遷は愚か、辞職勧告　

　　　くらいは言われている

　　　でしょうね】

小谷【ちなみにこれは興味本位

　　　なんですけと、退職届は出した　

　　　事あるのですか?】

津雲【これまで何度提出して

　　　突き返された事かと…】

小谷【何十回の間違いでは?】

津雲【そこまではまだないよ】と

　　　話すと2人は小声で笑っていた

佐山【おはようございま～す!】と

　　　ドアを開けて入ってくる

小谷【おはようございます!佐山さん】

津雲【おはようさん!迷惑かけたな

　　　首の皮1枚つながったよ】

佐山【津雲さん、まだ残るんですね】　

　　　とため息つきながらも

　　　椅子に腰をかけて座っている

津雲【こんなでも会社は必要として

　　　くれているようだからな～】

佐山【暴走を止める人達がいないと

　　　困りますからね～】と皮肉を

　　　言いながらもリュックサックを　

　　　下ろしている

津雲【暴走って…】

小谷【だからと言って勝手に取材に

　　　行かないで下さいね！】と語気　

　　　を強めて話している

津雲【はい…】

佐山【キャップ!津雲さんに言っても

　　　無駄な気が…】

小谷【まぁそうですけどね】

佐山【そうですよ大人しい津雲さん

　　　なんて津雲さんじゃないですよ】

津雲【これで再びあらゆる所に】

小谷【津雲さん…】とピリピリした

　　　表情をしている

津雲【冗談ですよ冗談…】と両手を

　　　上げてタジタジしている

佐山【それで迷惑かけられた分の

　　　お土産をもらえますから】

津雲【今回はないぞ～

　　　厳重注意だからな～】

小谷【厳重注意…下から2番目か～】

佐山【訓告あたりかと…】

津雲【ある意味で反面教師に

　　　しなさいよという見本だよ

　　　そう言えば2人に聞きたい事が　

　　　あってな】

小谷【なんでしょうか】

佐山【気味悪いですね～】

津雲【いや、缶に入ったケーキって

　　　最近流行りなのかと

　　　聞きたくてな】

小谷【缶入りケーキ…】

佐山【聞いた事ないですよ】と答えている

津雲【そうなのか…いやこの件の時に　

　　　輪転機の会社に持って

　　　いったんだよ、みんな

　　　甘い物好きだからな】

小谷【そうなんですね～】

佐山【そう言えば社長さんて

　　　結婚されていましたっけって

　　　ゲスの勘繰りみたいに

　　　なってますけど】

津雲【しているよ、子供もいるけど

　　　後は継がせる気はないようだ

　　　この業界はこの先は先細り

　　　だろうからな】

小谷【そこまで考えているんですね～】

佐山【話戻しますけど、

　　　そんなに甘いもの

　　　好きなんですか?】

津雲【社長は洋菓子で福原君は和菓子　

　　　とゼリー系統で尾上さんは

　　　なんでもござれかな～】

小谷【その体力や気力はこちらにも

　　　回してほしいですけど…】

津雲【キャップも甘い物

　　　好きなんですか?】

小谷【たまに無性に食べたくなる時が

　　　ありまして…】

津雲【まぁいつも持って行く時は

　　　やらかしている時

　　　限定ですけどね…】　

　　　と苦笑いしている

佐山【それにしても缶入りケーキ

　　　なんて…】

津雲【まぁケーキの売れ残りという

　　　部分もあるようだけどな、

　　　話を聞くと】

小谷【確かに昔から缶入りお汁粉とか　

　　　コーンスープとかは

　　　ありましたけど】

佐山【少し前ですと、おでんとか

　　　モツ煮とかもありますね～

　　　旦那がたまにつまみ代わりに

　　　買ってきていますから】

津雲【今ではそこまであるのか…

　　　時代の進化の早さは

　　　凄まじいものだな～】

佐山【結構前から都会では

　　　ありますよ…】

小谷【そう言えばその缶入りケーキは　

　　　いくらだったのですか?】

津雲【確か一律500円だったな～】

小谷【少しお高めなんですね～】

佐山【でも、今のケーキ屋さん

　　　なんてそんなものですよ?

　　　むしろ安いほうですよ】

津雲【そうなのか?】

佐山【最近のオシャレなケーキ屋さん　

　　　なんて、何かしらのこだわりを　　　　

　　　するから1個700円からなんて

　　　ザラの状態ですから】

小谷【今ではケーキも高級品に

　　　なりつつありますね】

津雲【こだわりも大事だけど

　　　子供が手軽に買えるケーキも

　　　あると良いけどな】と外を

　　　見ながら話していると

　　　遊軍部のドアがコンコンと