たまには輪転機工場にて…
物語はコラム93弾が掲載される前の
お話です
コラム93弾を書き終えた津雲はキャップである小谷やデスクの立花には通さずに、その足で輪転機の㈲江島印刷に原稿を持っていった時のやりとり
津雲【ごめんください】と入口のドア
をカラカラと開ける
尾上【はい、あらっ!津雲さん】
津雲【ごふさたしています、
これいつものとプラスαを】と
紙袋を手渡す
尾上【いつもすみません、
今社長呼びますので
お待ち下さい】と軽く頭を
下げて社長の江島を呼びに
行っている
津雲【さてと…】と応接室の
ソファーに腰を下ろして
座っていると…
そこから少ししてから奥から江島が
現れる…
江島【お疲れさん、何やらかした】と
ぼやきながらソファーに
腰を下ろして座る
津雲【やらかすのはこれからだわ、
これ頼んます】と原稿を手渡す
江島【直接渡すっちうのは許可は
出てないんだな…】と苦笑い
している…
津雲【これ出したら雷どころじゃあ
すまんだろうな~】
江島【俺にはやれんわ…】
津雲【まあまあ、そう言いながらも
やってきてくれたじゃん、
それにまた入院するかも
知れんからさ】
江島【そういや大丈夫なのか?】
津雲【狭心症なんてなるもんじゃあ
ないな!不整脈が起きる度に
その心配しなけりゃならない
からな、厄介なものよ】
江島【なら尚更これは無理だろう】
尾上【社長良いじゃないですか?
もうお土産ももらっていますし】
といくつかの紙袋を見せている
尾上と福原は津雲のお土産を
非常に楽しみにしている
江島【そういう問題じゃないだろう】
津雲【まあ、最後になるかも
知れんからさ、この通り】と
座りながら頭を深々と
下げている
江島【しかしだな】
尾上【そんなに騒ぐ中身なのですか?】
津雲【暇な人や沸点が低い人には
ネタになるかなと…
後はメディア媒体や
ブンヤの選択の
愚かさですかね】
江島【お前さんよ!それ書いたら
本当に狙われるぞ!
この世界の連中から】
津雲【そんなんで狙われたら、
それだけ終わりの始まりだ!
それこそウチらの業界はAIに
取って代わられちまうよ】と
腕を組みながら江島の目を見て
話している
津雲【そして世間はデマやコタツ記事
のオンパレードだろうよ、
といってSNSや配信に制限を
かけられるのは嫌だとごたくを
抜かすんだよ己の承認欲求を
満たそうとする輩はな、
それこそイランみたいになった
ら暴動が起きそうだ!
中国から定住してきている連中
がそうだろう、あの国の規制は
半端ないからな】
江島【中国言った事あるのか…】
津雲【何度かな、拘束されそうに
なった事もあるよ!
特に天安門事件の事を
探ろうとすればな】
江島【いくらなんでもそれは禁断の箱
だろうよ、あちらの国では】
津雲【まあまあ、違う目的も
あったんだし】
江島【おっ!邪なやつか】
とニヤニヤしてくる
津雲【違うわ、バレーボールの方だ
よ】
江島【そっちか…やっぱり】と
ガックシしている
津雲【結構大変みたいでな…
そんで話戻すけど大丈夫かい、
デスクが何か電話来たら
中身みてないので知らなかった
とでも言い訳しておけば大丈夫
だろう、デスクもいよいよ
幹部候補らしいからな
変な火の粉は浴びたく
ないだろう】
江島【あのデスクならそういった
考えを持ちそうだな】
津雲【という訳で頼んますわ】
江島【また危険な航海させる訳か…
ったく】と呆れながら
ため息をついていた
福原【社長!いい加減休みましょうよ
~津雲さんいつもお土産
ありがとうございます】
津雲【お久しぶりだね~福ちゃんの
お眼鏡に叶うと良いんだけど】
福原【いや~いつもの三善屋の
塩豆大福に源商店の草餅に】
江島【ちょっとまて!今回洋菓子系は
ないのか】
津雲【ゼリーの埋め合わせとあとは
変わった物があったから
缶のなんだけど】
ゴソゴソと探している福原…
後ろから尾上が
尾上【津雲さん、お構いもしないで
すみません】と湯飲みに入った
お茶を置いていく
津雲【ありがとうございます】
福原【見当たりませんよ~】と紙袋を
ゴソゴソしていると
尾上【もしかしてこれですか?】と
別の紙袋から取り出して見せる
津雲【それだ!】
江島【これは一体…】
福原【見た事ない…】
津雲【自販機ケーキだとよ、
久々だから洋菓子もと思って
向かってたら見つけてな、
そこの店の人が補充していたか
ら話聞いたんだよ、そうしたら
その日の売れ残りそうになる物
や作り過ぎた物をこうやって
入れているんだそうだ、
珍しいと思ってな】
江島【確かに】
福原【パット見ただけだとビール缶と
勘違いしそうですね~】
尾上【早く開けましょう】と少し興奮
しながパカッと開けていくと…
江島【こうなっているのか~】と
言いながらも一口食べて
江島【美味いな~久々にホイップ
クリームが身体に
染み込んでいくよ】
福原【本当!美味いっす】
尾上【こちらはレアチーズケーキ
なんですね、美味しいです】
津雲【それは何より、さてとすまない
けど原稿の件頼みます】と
再び頭を下げる
江島【分かった!これまで荒波航海
乗り越えたんだ!
最後まで付き合ってやるよ】
津雲【最後になるかはどうかと…】
江島【そのつもりで書いたんだろ!】
津雲【まあな!それでは】
江島【津雲!今度は違う土産で
頼むわ、生きてまた来いよ!】
津雲【はいよ~】と入口のドアを
カラカラと開けて
工場を後にする
津雲【さてと、後どれくらい
動けるかな】とつぶやきながら
歩き出したのでした