部長室にての会話(その5)
遊軍部を後にした津雲は
その足で部長室で向かい
そして部長室の前に到着して…
ドアをコンコン…
鶴田【はい、どうぞ~】
津雲【失礼します】とドアを開けて
一礼をして入っていく
鶴田【おお~休み明け早々
どうしたんだ】とメガネを
かけたまま視線を合わせる
津雲【すみません朝から
伺ってしまって】
鶴田【いや、幹部職はそんなには
忙しくはないからな…
それでどうしたんだい】
津雲【報告と新任の部長についてと
思いまして…】
鶴田【相変わらず立花君が心配か…】
津雲【頑張ってくれてますからね、
私もいつまでもお目付役という
わけにもいきませんから】
鶴田【珍しいな~お前さんが
そんな事言うなんて…】
津雲【互いにお目付役を命じていた
人に言われたくは
ありませんよ】
鶴田【さすがに気づいてたか…】
津雲【それなりにこの業界にいれば
分かるものですよ…
それで新任の部長の件は】
鶴田【お前さんまでも気になるのか~
珍しいな~どうしたんだ】
津雲【予期せぬ事態が起こるのは
世の中にはあるものですよ】と
諭すように語る
鶴田【その辺はまだまだ先に
なりそうだけどな】
津雲【そうですか…】
鶴田【とりあえず腰をかけてくれ、
ここに来る人は少ないから
話相手になってくれよ】と
ソファーの方に視線を向ける
津雲【分かりました、それではお言葉
に甘えまして】と硬めの
ソファーに腰を掛ける
鶴田【はいよ】と缶コーヒーを渡す
津雲【わざわざすみません、
ありがとうございます】と
受け取る
鶴田【いただいたブラックコーヒーが
これで丁度終わるからな~】
津雲【ではありがたく】と缶を
プシュと開けて一口飲む
鶴田【しかし、本当にどうしたんだ】
と心配の様相を見せている
津雲【休みの時に珍しく体調を
崩しましてね、病院行って
受けた診断はこれですよ】と
診断書の紙を手渡している
診断書を見る鶴田…
鶴田【前々から健康診断で不整脈で
引っかかるとは聞いていたが…
ここまでとはな】と驚きの表情
を見せる
津雲【こうなってしまった以上は
仕方ありませんから】
鶴田【それでしばらくは休職という
事か…】
津雲【そこまで大事にはならないとは
思いますが入院して治療を
受ける事になりますね】
鶴田【そうなるとコラムもしばらくは
休みという事でいいのか?】
津雲【まぁ月2回ですから再来月…
11月までの分までは、
もしもの為にキャップに渡して
ありますよ】
鶴田【そうか…それなら来月で
1度休載するとしようや】
津雲【大丈夫なのですかね…】
鶴田【大丈夫ではないが
やむを得ないだろう
しかし、そこまで書いて
あるとはな…
さすが現場至上主義を貫く
だけあるな】と感心している
津雲【現場でしか見えない物や事を
この手と目と声で雰囲気や
空気を感じたいからですよ】
鶴田【お前さんらしいわな】
津雲【それは褒め言葉として
受け取っておきます】
鶴田【しかし、狭心症か~
身体は大事にな…】
津雲【はい!ありがとうございます】
鶴田【話は変わるが陽真君は
その後どうだい】
津雲【いきなり物凄い急スピードで
がらりと話を変えましたね~
盆休みといっても世間一般とは
違いますからね~】
鶴田【それを逆手に見させられた
だろう】と少し得意気な表情を
見せて語っている
津雲【病院以外はほとんど孫の面倒で
終わりましたね~】
鶴田【可愛いだろうさ】
津雲【そうですね~孫の成長見続ける
為にも身体のメンテナンス
しなくてはいけませんから】と
何か覚悟をした様に
空を見つめている
鶴田【そんなに長期間の入院に
なるのか…】
津雲【それは精密検査の結果次第
ですね…】
鶴田【手術もあるという事か…】
津雲【全てはそこで休職期間は決まる
と思います、人生初の入院生活
気持ちだけは楽しみますよ】
鶴田【そうか、分かった】
津雲【そして、そろそろ
私のコラムの後任も
見つけてもらわないと】
鶴田【戻ってこいよ!何だかんだで
ウチの切り札なのだからな】と
発破をかける
津雲【ありがとうございます、
それでは失礼します】
そう言って立ちあがり一礼をして
部長室を後にした
その後、鶴田は立花と小谷をそれぞれ呼び出し津雲が休職する旨を伝えたのです…