部長室にての会話(その3)
その日の夕方仕事を終えた津雲は
その足で部長室に向かっていた…
そして部長室の前に到着して…
ドアをコンコン…
鶴田【はい、どうぞ~】
津雲【失礼します】と一礼をして
入っていく
鶴田【どうしたんだ】と
視線を合わせる
津雲【すみませんお疲れの時に】
鶴田【いや、そんなには忙しくないよ!
それでどうしたんだい】
津雲【一応プライベートの報告と
新任の部長についてと
思いまして…】
鶴田【そうか…立花君が心配か…】
津雲【頑張ってくれてますからね、
ただし結果を出そうと
焦っているのが少し
気になりましてね】
鶴田【そうか…少し話しは逸れるが】
津雲【はい!】
鶴田【新しい部長の事なのだがな】
津雲【千里テレビの和田部長を
招聘すると噂では
聞いているのですが…】
鶴田【立花君が話していたのか】
津雲【そうですね~】
鶴田【和田部長は現場で
働かせてほしいと
お願いされていてね】
津雲【現場ですか?】
鶴田【とりあえず腰をかけてくれ】と
ソファーの方に視線を向ける
津雲【分かりました、それでは
お言葉に甘えまして】と
硬めのソファーに腰を掛ける
鶴田【はいよ】と缶コーヒーを渡す
津雲【わざわざすみません、
ありがとうございます】と
受け取る
鶴田【いただいたブラックコーヒーが
まだ残っていてな】
津雲【それででしたか、
ではありがたく】と
缶をプシュと開けて一口飲む
鶴田【現場でと聞いてどうしようかと
考えていてな】
津雲【もう一花咲かせたいのでは
ありませんか?和田さんも
今はともかく昔は大手新聞の
記者なのですから】
鶴田【そうか…そういえば
そうだったな】と
腕を組みながら思案している
津雲【と言ってもどこに配置するか
悩んでいる訳ですよね】
鶴田【お前さんは相も変わらず
勘が鋭いな~ハハ】と
感心している
津雲【それでどうされるのかは
部長の判断ですから】
鶴田【お前さんならどうする】
津雲【私に降りますか…そうですね~
デスクを副部長兼任にして
和田さんを社会部記者と
しますね】
鶴田【そうか…なぜそのように】
津雲【ウチの会社は上層部や記者も
女性が少ないのが実情です!
その点を踏まえた時にデスクに
は部長として、これからの社会
に向けて女性進出の羅針盤の
道標になってほしいという
願いもありますがね、
それに和田さんもしばらくは
現場に出ていないと
聞いています!なので再び現場の
空気や視点を養ってからでも
遅くはないかなと、
もし現場が良ければ
私と同じ様にと思います】
鶴田【そこまで考えるなら、
お前さんが部長になってくれる
のが一番だと思うがな~】
津雲【それをしたら間違いなく
大反発どころではすみませんし
論功行賞人事と揶揄されますよ】
と苦笑いしている
鶴田【それは買いかぶり過ぎだろう~
実際お前さんの人脈で
助かっているのも
事実なんだから】
津雲【私のやり方は遊軍部だから
通用するんですよ!
日々の出来事を追っている
皆とは違いますから、
そこはわきまえないと
いけません】
鶴田【そうか…部長については
もう少し時間が必要だな!】
津雲【そうですか…】