部長室にての会話(その2)
山井にスカウトの件を断られ遅めの
昼休みを終えた津雲はその足で
部長室に向かっていた…
そして到着し…ドアをコンコン…
鶴田【はい、どうぞ~】
津雲【失礼します】と一礼をして
入っていく
鶴田【どうしたんだ】と
視線を合わせる
津雲【すみません忙しい時に】
鶴田【いや、そんなには忙しくないよ!
それでどうしたんだい】
津雲【山井さんのスカウトの件なの
ですが、今はという事で
断れました】
鶴田【そうか…五分の率を
外したか…】
津雲【その代わり外部協力でならと
いう話でした】
鶴田【外部協力とは珍しい一手だな】
津雲【それに今はでしたから】
鶴田【今は、という事はいずれか…】
津雲【そうですね…それにそんなには
時間かからないかと思います】
鶴田【そうか…分かった】
津雲【すみません】
鶴田【時間あるなら、
たまにはゆっくり
腰をかけてくれ】
津雲【それではお言葉に甘えまして】
と硬めのソファーに腰を掛ける
鶴田【はいよ】と缶コーヒーを渡す
津雲【わざわざすみません】と
受け取る
鶴田【いや単純に先日ブラック
コーヒーをケースでいただいた
んだがな、お前さんも知っての
通り苦手でな】
津雲【それででしたか、では
ありがたく】と缶をプシュと
開ける
鶴田【ところで話は変わるが
休みはどうするんだい】
津雲【家に戻ってゆっくり過ごしたい
ですが、たまには親に顔を
見せに行かないと】
鶴田【そうか…親父さんやお袋さん
元気にしているかい】
津雲【えぇ~相変わらず動き回って
ますと言いたいのですが…
今はある程度絞っていますね】
鶴田【そうなのか…】
津雲【それも最近では体力的には
厳しくなってきまして】
鶴田【何かあったのか】
津雲【実は古希の時に腰を痛めまして
ね、それからは仕事よりも
母と二人で旅に行く事が
増えました】
鶴田【そうか…親父さんは確か
もうすぐ80近くだったか】
津雲【今年で80になります!
母も同じ年ですから、
相変わらず同居は嫌だと
ぼやいていますけどね】
鶴田【親父さんらしいな】
津雲【部長も親父にしごかれた
口ですか?】
鶴田【それを言うなら社長や幹部は
皆しごかれてるよ】
津雲【それはそれは、
後プライベートな話の報告が
ありまして】
鶴田【珍しいな~どんな話だい】
津雲【私も部長の仲間入りする事に
なりまして】
鶴田【というのは】
津雲【私もおじいちゃんになります!】
鶴田【そうか~拓真くんも父親の
仲間入りか~そういえば
いつ結婚したんだ】
津雲【昨年の夏に入籍しまして、
年末に妊娠している事が
分かりまして今年の夏に
出産予定だと…】
鶴田【相手はあの子か?】
津雲【はい、幼馴染みから
そのままゴールインへと】
鶴田【初恋を実らせたのか】
津雲【ちなみに部長はどんな
おじいちゃんになりたいとか
あったのですか?】
鶴田【おじいちゃんか~最初は
実感なかったがな~
色々面倒見ていると可愛いもの
だよ!おもちゃはそんなには
買わないがな、あんまり買うと
後で甘やかすなとうるさくてな
そういえば性別は
分かっているのか】
津雲【いえ、まだですね~
あえて聞かない事にしています!
とにかく無事に健康で
生まれてくれればいいかと
思います】
鶴田【一応準備とかもあるから、
ある程度は揃えておいた方が
いいと思うがな!
それでいつ頃おじいちゃん
の仲間入りかい】
津雲【一応は再来月を予定としている
んですけどね】
鶴田【私もそうだが、お前さんも
年を重ねたという事か~
早いものだな歳月の流れという
ものは】
津雲【そうですね~ただ、
倅も28になりますからね】
鶴田【もうそんなになるか、
それもそうだなウチのも
三十路を越えたからな~】
津雲【早いですね~身体にガタが
くる訳です】
鶴田【話を戻すが、とりあえずは
お前さんにもう少し
頑張ってもらわないとな】
津雲【今月から、連載復活ですから
少しはゆっくりします!
そして、その時を待ちますよ】
鶴田【分かった、休み明けは
お互い疲れきってそうだな】
津雲【何とか踏ん張りますよ】
鶴田【山井の件、分かった!】
津雲【ありがとうございます、
それでは失礼します】
そう言って立ちあがり一礼をして
部長室を後にした