父と子のやりとり
その日、仕事が終わり帰宅仕度を
しようとしていた頃
津雲のスマホが鳴る…
操作し電話にでる
津雲「もしもし、珍しいな~
拓真どうしたんだ」
拓真「もしもし?親父、今大丈夫?
ちょっと話できる?」
津雲「あぁ…大丈夫だよ、
どうしたんだい」
拓真「一応報告なんだけどさ」
津雲「舞奈さん何ヵ月になる?」
少し笑いながら
拓真「えっ…何で親父分かったの?」
津雲「親と付く名前を背負うもの
なら、何となくだけど
分かるものだよ」
拓真「一応ね、舞奈がしばらく
体調が優れないから
病院行ったら、妊娠3ヶ月
だって」
津雲「とりあえずだけどおめでとう。
拓真が親父になるか~」
拓真「俺、正直親ってどんな感じ
なのか分からなくてさ」
津雲「それはそうだ…お父さんだって
未だに分からないんだから?」
拓真「えっ…」
津雲「拓真が生まれてくる前は
あんな親父やこんな親父に
なりたいなとかあったけど、
生まれたらそんなのは
全部吹き飛ぶよ
逆に守るものの責任とかが
少しずつだけど出てくるよ
ただ、子供が小さい時は
自分の時間はほとんどないと
思った方がいいぞ」
拓真「えっ…そうなの?」
津雲「お母さんもお父さんも
それはそれは振り回されて
大変でしたよ!
ある意味嬉しい悲鳴だよ」
ハッハッハっと笑いながら語る
拓真「…」
津雲「それが嬉しいもんだよ!
とりあえずおめでとうさん
頑張れよ~お父さんってな」
拓真「分かってるよ」
津雲「それとお小遣いは
減らされるのは
覚悟しといた方がいいぞ」
拓真「え~」
津雲「自分のためじゃなく、
家族のためだよ!
財布の中身が吹雪かない
程度に頼んどきなよ」
拓真「分かった!ありがとう親父」
津雲「母さんに報告は?」
拓真「正月の時に話すつもり」
津雲「舞奈さんの親御さんに報告は?」
拓真「それも正月の時に」
津雲「今年は舞奈さん家に
お邪魔するとするかね
たまには顔を出さないと」
拓真「こっちに来たがってるけどね、
舞奈のお爺ちゃんお婆ちゃんも
含めて」
津雲「今年もみんな、家なのか?
たまにはあちらにお邪魔した
方が良いとは思うんだけどな…
まぁマンションに押し掛けて
大所帯になって
お騒がせになるよりは
良いのかもな」
拓真「お隣さんとかも来場したり
しているけどね」
津雲「正月から大所帯になりそうだな
舞奈さんにはくれぐれも体調に
無理はしないように
伝えといてくれよ」
拓真「分かった、お疲れ様
ありがとう」
津雲「じゃあお疲れさん」
拓真「お疲れ様、ありがとう」
通話が終わる…ツーツー
津雲「拓真が親父か…世の流れは
早いものだな」と感慨に
更けながら再び歩き出した