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AI ray(エイレイ)~小さな蛇は夢を見る~  作者: 紙木 一覇
前章 ~小さな蛇は夢を見る~
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第81話「こちら電脳情報庁の「人間二十号」云う者です』

いらっしゃいませ。

 AIがAIを産む? それは――


「自分でプログラムを打つ?」

『そうではなく~。

 ママみたいに“メル”と繋がっててそこのプログラムを再構成~独りでにぽこぽこ産まれるタイプと~、ユメみたいに人間とのハーフを産むタイプもあり~』


 人間と――AIの……ハーフ⁉

 想像してみる。生命体とプログラムのハーフ。……ヒューマノイド……みたいな感じかな? それとも改造人間的な?


「AIがAIを産むようになったら、人間は――」


 すぐにとは言わないけれど数百年もあればこの星の霊長類のトップはAIに代わってしまうのではないだろうか? 人間とAIどちらが優れているかなんて考えるまでもないのだから。けどそれは情報量でAIが優っていると言う事で、


「AIには感情がある?」


心ではどうだろう?


『それを否定したら~ママもタダの機械になってしまうん』

「……アマリリスは喜怒哀楽を感じるの?」

『もちのろん』


 とすると、オレたちの知る低度AIとは違い一部の高度AIに匹敵、或いは凌駕するのか。


『よー君。この問題って私たちだけでなんとかなる?』

「……無理」

『ですよね』


 仮想災厄ヴァーチャル・カラミティに対抗できるのが現状【紬―つむぎ―】だけと言ってもオレたちはまだ子供だ。そりゃいつまでも子供でいるわけじゃないけどそうなるまで仮想災厄ヴァーチャル・カラミティがじっと待っていてくれる可能性もない。

 電脳課は――どうだろう? 綺羅星(キラボシ)は――【紬―つむぎ―】の量産はいつごろになる?


「……ここは、頼れる大人に頼ってみようか」

『うん?』


 オレは涙月(ルツキ)との通話を一旦ストップして、例のあの人に連絡してみた。コール音が一つ、二つ、三つ――――――――十。あの人……。オレがイラつき始めた時、ようやく受話器を取るデジタル音が鳴った。


『お前はストーカーか?』

「コール十でその扱いはひどいですよ幽化さん」

『言ったはずだ。お友達ではないと』

仮想災厄ヴァーチャル・カラミティについて情報があります」

『……言ってみろ』


 やっと話に乗ってくれた。オレは内心ハラハラしていた心臓をソっと撫でる。ゆっくりと間違えないように話を始めて――終わった。


『そうか』


 ぷつっと…………通話が途切れた。

 聞くだけ聞いてとんずらしやがったよ⁉ 慌ててリダイヤルするももう応答はなく。


「……涙月」

『まあなんだ、どんまい』

『ドンマイケル』


 ……そうだ、なんだかんだで動いてくれる、そう信じよう。あの人だって教師に成れる程の良識はある大人なんだ。

 ふぅ、と一拍置いて。


「電脳課にも連絡してみる」

『うん』


 もう一度涙月との通話をストップして緊急ダイヤルから電脳課を選択。こちらはすぐに出てくれた。オレは一連の出来事を話して通話向こうのオペレーターの女性が、


『暫くお待ちください』


と返してきたので数分待ってみた。……え? 切られてないよね?


『お待たせ。こちら電脳情報庁の「人間二十号」云う者です』

「じょ――」


 情報庁⁉ この日本の電脳関係の最高峰だ。二十人の通称『人間号』からなる精鋭ぞろいで他国からのクラックに対応し捌き続けている人たちである。因みに……二十号は最下位だ。オレの情報を必要なものと見つつもあまり重要とは思っていない対応と言えるだろう。


『いえいえビックリする程の情報ですよ?』


 女性か男性かわからない加工された声。『人間号』は仕事上個人が特定できないようになっている。分析にかけてもノイズになるだけだと言われているけど真相はオレにはわからない。


『でもそれを信じるにはですね? まずそこにいらっしゃると言う小人さんを渡して頂けますか?』

「お断りします」

『おお早いビックリ』


 大してビックリしていない声。こちらとしても歌詠鳥(ウタヨミドリ)を渡せと言われるのは予想していたけど、向こうも向こうで断られるのを予想していたのだろう。


『必要なものを渡して頂けなければそちらの情報を鵜呑みにするわけにはいきません。勿論調査はしますよ? ただ人員等期待しないで頂きたいレベルになるでしょう』

「構いません」


 ホントは構うけど。


『左様で。それではパペットウォーリア頑張ってくださいね、(ヨイ)君』


 どうも。と言おうとする前に通話が切れた。

 ……オレがパペットウォーリアに出ているのを知っている。幽化さんの以前の話だと電脳課は幽化さんに連絡を取っているはずで、ひょっとしたら情報庁はとっくに動いているのかも。となると……歌詠鳥の事まで話したのはまずかっただろうか?


『あ』

「え?」


 再オープンした涙月との通話。その出鼻に涙月の一言が響いた。


「どうしたの?」

『歌詠鳥が消えちゃった』

「消え――消えた⁉」


 オレは体を揺らす。消えたってまさか――


『ああ大丈夫大丈夫。誰かに消されたんじゃなくて、「ばいび~」って言ってたから帰っただけだと思うよ』

「あ、ああ、そうなんだ」


 ホッとした。いきなり情報庁が現れたのかと思った。


『う~ん、情報庁が動いてくれるのはお助かりだけどね。さてはてどうするか……』

「さっきの人類置換プログラムによると直に向こうから来るみたいだし、それを待とうか」

『しかないですね。んじゃ、よー君は大会頑張って。充分に気をつけつつね』

「ん」

お読みいただきありがとうございます。

次回もよろしくお願いします。

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