第316話「……これが俺の」
いらっしゃいませ。
是非に読んでいってください。
☆――☆
一方魔法処女会は
「神巫~奪ってきました~」
「ありがとうコリス、こっちに置いて」
と、わたし――神巫は自分のすぐ傍を指さして。
「あいあいさ~」
敵軍から奪って来た銃器をがしゃがしゃと落とすコリス。そこにはもう既に山になっている銃器がある。
「ベーゼ、それはこっちに」
小さなベーゼが担ぐのは戦車型装甲騎兵、一騎。そちらも既に何騎か置かれている。
「村子、ミサイルとかはこっちにね」
これもこれで山となっている。
「うんこれくらいあれば充分ね。それじゃ皆離れていて」
わたしの指示に従って距離を取るシスターたち。皆が巻き込まれないように離れたところでわたしはジョーカーを発動した。あらゆるものを楽譜に変化させその力を発動できるジョーカー。それを以てわたしは奪取した兵器武器を楽譜へと変換し。
「撃ち出すわよ!」
ド――――――――――――――――――――――――――――――――――――!
戦場に走る強大な一条の光。こちらに向かっていた敵軍を掃討し、そのまま光を横に滑らせる。光は戦車を、戦闘機を、歩兵を薙ぎ倒し、静かに終息する。
☆――☆
一方でアンチウィルスプログラムは
駆ける、滑る。アイススケートのシューズに似た光のブレードを靴底に発生させてアンチウィルスプログラムの面々は地上を滑る。
無言で滑る彼らに対して我・スノーは腕と指で合図して散開。同じように地上を滑る蜘蛛型戦車を分散させて各個撃破。
蜘蛛型戦車から放たれるワイヤーを腕に巻きつけられ、斬られ、電流が走るがそれに怖じ気づいている暇はない。
ふと気が付くと我は影の中にいた。
いつからその影はあったのか、そして何の影なのかと上を向くとそこにあったのは浮遊型戦艦。アンチウィルスプログラムのレーダーに戦艦の砲からマークされた警告が入る。
我は直ちにメンバーを戦艦に向かわせる。地上を滑っていた彼らは中空を滑り出して、しかし途上でミサイルが撃たれ、機関銃が号砲を上げる。ミサイルを、銃弾を避け、切り裂き、防ぎ、甲板に到達した我はメンバーに合図して戦艦内部に向かわせる。
その中で氷柱には戦艦の砲を切り落とせと合図を出す。氷柱はエネルギーソードを即座に飛ばして命令を忠実にこなした。
内部へと侵入したアンチウィルスプログラムは壁を蹴って廊下を曲がり、ドアを蹴破り、中にいた船員を殺していく。
待ち受けていた船員に火炎放射を喰らう事もあり、機銃を喰らう事もあり、それでも我らは戦艦を落とした。
☆――☆
一方でパトリオットは
最後のメンバーとなったキルは――俺は独りで戦場を駆けていた。
前回の戦闘で隊士を失い、補充は残念ながら間に合わなかった。だから俺は孤独でもあったが、逆に戦いやすくもあった。隊士を護るのに割いていた力を全て攻撃に回せるからだ。自分を護る事は考えていない。ここで死んでもそれで良い、今はそんな風に考えている。
復讐は考えていない。
だが、最後にパトリオットとして作戦を成功させたい。その一心で俺は動く。
ララたちとは別の位置で光の壁に到達した俺はそれに手を触れる。
ダメだ。火花が散るだけで中に入れない。
「……これが俺の」
この戦場ですべき役割だ。この光の壁を破ってやろう。
「糸未」
『ああ』
「『ジョーカー、発動』」
ジョーカー、オーロラがジャンヌ・カーラを包み込む。こんな巨大なものを発生させたのは初めてだがまだ保っている。ジョーカーは酷使すると発動に必要な情報処理に脳が着いて行けずに焼かれてしまう事があるが、今は【アルターリ】の体が補助をしてくれている。無茶をしてやろうと思う。
「行くぞ!」
「「「――⁉」」」
戦場にいた誰もが目を見開いた。最早天から落ちているのか地から昇っているのかわからない程の光の奔流。それにジャンヌ・カーラは包まれて――
「な……に――」
ジョーカーの最大出力だった一撃。それを受けても尚、光の壁は崩れなかった。
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