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AI ray(エイレイ)~小さな蛇は夢を見る~  作者: 紙木 一覇
後章 ~水折り(みおり)の炎~
282/334

第282話「先にわたしの脳を壊すべきだった」

ごゆっくりどうぞ。

 黒い街が輝く。周囲一帯からエネルギーを放つつもりだ。

 神巫(カンナギ)は黒い街からも希望を奪おうと試みる。だがそれができない。


「向こうも【覇―トリ―】を使っているのね」

「バイバイ神巫(カンナギ)にコリス!」


 黒い街の輝きが一層強まって、淡くなって消えて――行く。


「なっ⁉」

「ゴメンネ」

「――!」


 謝罪する少女の声がした。直後ワシの体が壊れたビルの間から飛び出して。いや、攻撃を受けて飛ばされたのだ。


「だっ⁉」


 その体は神巫(カンナギ)たちの前に落ちてしまって。


「……ぐぅ……君は」

「ゴメンネ」


 改めて謝罪する少女は――桃色の【アルターリ】。ネフィリムを駆るヘドロ看守のパートナー。


「コッチモゴメンネ」


 そう言いながら少女は一体の【アルターリ】を放り投げた。囚人ブライドだ。


「アタシハワルクナイヨ。ワルイノハマケタオマエタチ」

「……そういや……君は……弱いのが大嫌いだっけ……」

「ウン。ハイボクシャハキライ。ダカラサッサトタイジョウシテ」


 少女の手から炎が放たれ、味方であるはずのワシら三人を焼く。

 まだだ……この勝負、最後まで見届けてやる……。


「――デモ、ツヨイコハスキ」


 ゆらり、と少女は神巫(カンナギ)とコリスを見る。神巫(カンナギ)の表情に走る冷たい怯えの色。

 殺気ではない、得体の知れない何かが少女から放たれている。


「コリス、あの子に攻撃される前にケリを付けましょう」

「はい」

「コウゲキ? モウシテイルケド」

「え――」


 神巫(カンナギ)は気づいたか。手の指の感覚がなくなってきている事に。ゆっくりと進行し、確実に手を麻痺させていくそれは。


「これは……」

神巫(カンナギ)……寒い」

「――毒?」

「ウン。アタシノメカラハナタレルシンゴウガオマエタチノメカラノウニシンニュウシテカラダヲクサラセテイクノ。

 ントネ、モッテサンプンカナ」

「三分あれば充分――」


 神巫(カンナギ)は体を動かそうとするが倒れ込んでしまう。


「チガウンダ。サンプンッテイウノハゼンシンガクサルマデノジカン。ブブンブブンハモウシンデルカラム~リ。

 アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!」


 嗤う少女から桃色の鉱石が伸びて来る。それは二人を持ち上げると聖女の火刑よろしく四肢を拘束した。


「オワッタオワッター。

 アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ――ハ?」


 少女の体が、【アルターリ】の体が錆びついている。


「ナァニ……コレ?」

「貴女は……先にわたしの脳を壊すべきだった」

「カンナギ!」

「意識さえあればジョーカーを発動できるのだから!」

「アタシノホウガハヤイ!」


 神巫(カンナギ)を拘束する鉱石が伸びて――


「あっ」


 胸を背から貫いた。


「エ?」


 が、神巫(カンナギ)の姿が霞に溶けて消えて行くではないか。


「ゲンエイ?」

「蜃気楼でっす!」


 コリスの抵抗。


「イツカラ⁉」


 問いを投げる少女の胸を何かが貫いた。


「壊させてもらうわよ」


 透明化して少女の胸を貫いたのは、神巫(カンナギ)の手刀であった。


「ソンナ――」

「もう一度言うわね。

 貴女は先に脳を壊すべきだった!」

「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」


【アルターリ】の体が、少女の断末魔と共に腐り崩れて消えて。

 はっ、ざまぁ……。

お読みいただきありがとうございます。

次回もよろしくお願いします。

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