第223話「危険な仕事もあるから心構えは忘れずに」
ごゆっくりどうぞ。
と言うわけで早速製作に入った。こんなアプリだ。
タイトル【スターリー・フェス】
○ジャンル:音楽を題材にしたバトル
○プラットフォーム:【パナシーア・ネイル】【アルターリ】
○プレイ:オンライン
○販売形態:基本無料・アイテム課金制
◇詳細
楽曲を戦闘ステータスに変えて戦う音楽バトル。
選択できる楽曲などは無料・有料あり。
ただし有料作が強いとは限らない。
楽曲(BGM含む)はメインステータスに変わり、
歌唱(自主カラオケ含む)はサブステータスに変わり、
インストゥルメンタルは物理ウェポンに変わり、
タイトルは魔法スキルに変わり、
ミュージックビデオは必殺技に変わり、
アーティストはキャラクターに変わり、
ジャケットはおまけに変わる。
メインのステータスは
●物理アタック
●魔法アタック
●物理ガード
●魔法ガード
●移動速度
の5種がある。
これらは5つまとめて1つの楽曲で決定される。
メインに加える形でサブステータス
●回復力
●強化ワードタグ
●気絶回避力
の3種がある。
1つの歌唱につき1種類しかない。
物理ウェポンには
●刀剣
●大刀剣
●槍
●銃
●弓
●盾
●投擲
●糸
など世界中のアイテムがある。
どのアイテムであれ形状は全て楽器がテーマになっている。
1つのインストゥルメンタルにつき1種類しかない。
計2つまで装備できる。
魔法スキルには
●火
●水
●風
●土
●木
●光
●闇
●毒
●薬
●音
●メインステータス強化
●敵メインステータス弱体化
がある。
1つのタイトルにつき1種類しかない。
計3つまで設定できる。
必殺技には
●極大物理
●極大魔法
●協力アタック
●使い魔
●ミュージックビデオから連想されるユニークスキル(滅多に現れない超レア。その分強力)
がある。
1つのミュージックビデオにつき1種類しかない(ユニークスキルを持つミュージックビデオは先着10人しか利用できない)。
1つだけ設定できる。
キャラクターには、
●人型(五~八頭身)
●獣型
●鳥類型
●海洋型
●精霊型
●妖精型
●ゴースト型
がある。
1人のアーティストにつき1種類しかない。
髪・目・肌・タトゥーなどは調整可。
おまけには、
●マイク
●ヘッドフォン
●着ぐるみ
●帽子
●服
●手袋
●靴
●アクセサリー
●家具
●キャラクターのカラー変更
がある。
1つのジャケットにつき2種類ある。
つまりプレイヤーはまず楽曲に関する7種(ただしおまけは絶対ではない)を選択し、セットする必要がある。
楽曲はプロのものでも良いし、自作のものでも良い。
◇バトル(オンライン)
1対1
5人によるバトルロイヤル
50人による大バトルロイヤル
ホストが人数・組数を設定して行う(1組2人~25人まで)チームバトル がある。
全バトル共通事項
フィールドが外周からゆっくりと音符になって崩れていく。
NPCがたくさん観戦していて敵にダメージを与えるとエールを貰え、
キャラクターにゆっくり光がたまってメインステータスが上昇していく。
◇バトルフィールド
レコードの上
楽器の上
ライブステージ
などなど増やせるだけ増やしたい。
◇ホーム
1つの家と庭とスタジオを所有。
メインに選んだ楽曲に合う形(ポップ、クラシックなど)に自動で変わる。
そこで各種設定を行う。
◇ロビー
他プレイヤーとの寄り合い所。
そこでメンバー募集やチャットを行える。
◇レベル・ゲーム内マネーとリアルマネー・ランキング
最弱第88等級~最強第0等級まで。
第0等級に辿りついてもその中に弱い方からC級・B級・A級・S級・SS級・SSS級がある。
勝てばレベルが上がり、NPCからのファン登録数が増える。レベルに応じてステータスを上昇させられるが、ファンの性質に応じてその幅が変わってくる。
またレベルが上昇するとバトルの勝敗で獲得できるゲーム内マネー『ノート』も増えていく。たまにゲーム内マネーの代わりにアイテムが落ちてくる。敗北でも獲得できるが勝利の時より格段に少ない。
ゲーム内マネーはリアルマネーの代わりとなり曲などの購入に使用できる。ただしリアルマネーの倍以上が必要。
勝利数・敗北数・ファン数・獲得ゲーム内マネーに応じてランキングが表示される。
1日のランキングの頂点には“誕生星”の名を冠する『ステラの称号』が与えられる(一部の芸能人をスターと呼ぶのが由来)。
例 1月1日 ヴェガ
1月2日 ゼーダ・パーヴォーニス
1月3日 ファイ・サギッターリィー
など366日分ある。
そしてひと月の『ステラの称号』持ちにより、その月の頂点を決めるバトルロイヤル『フェス』を開催、勝者には『ルーラーの称号』が与えられる。
例 1月 土星
2月 天王星
3月 海王星
4月 火星
5月 地球
6月 彗星
7月 月
8月 太陽
9月 水星
10月 金星
11月 冥王星
12月 木星
更に年に一度行われる『ルーラーの称号』持ちのバトルロイヤル『グランド・フェス』により1年の頂点が決定され『スターリーの称号』が与えられる。
うん、オレらしい。では早速プログラムを――と思ったら【覇―はたがしら―】から通話着信の音楽が流れた。
ボタンを押して受信すると。
『やっほー宵兄、あたしだよー』
臣の顔がどアップでディスプレイに映された。
家に帰ってすぐに連絡を入れたのだがその時は通話中だったのでメッセージを残しておいた。それを見てくれたのだろう。
「こんちわ臣」
『ちわ。良いなぁ星冠あたしもお仕事したーい』
母屋 臣――綺羅星母屋代表取締役会長の娘。
星冠が結成される時この子も手を挙げたのだが年齢を理由に落とされた経緯がある。当時小学四年十歳だったのだけど星冠は中学生以上が条件。今小学五年だからあと少しだ。
「中学受験にしくじらなかったら後ちょいだね」
『しくじらないもん。絶対、多分、うあ……この歳で留年はヤダ』
成績やばいんだろうか?
『で、パパに聞いてみたんだけどさ、アメリカとロシアは綺羅星の協力を断ったらしいよ。何て言うか、プライドがどうの』
「あー」
そう言えば白人至上主義が現在の上院を埋めているのだったか。黒人は勿論黄色人種にも手伝わせたくないのだろう。
「そう。有難う」
『いいえいいえ。ところで今何の調査してんの? 混ぜて混ぜて』
「だーめ」
絶対首ツッコんでくるから。それに守秘義務もある。
『ぶー』
「ぶーたれないの」
『は~い。
んじゃあたしの話聞いて。こないだゼイルがさぁ』
疲れた……流石女子と言うか何と言うか小一時間も話に付き合わされてしまった……。
アプリの製作に移る前に少し空気を入れ替えようと窓に向かったらまた通話の音楽が流れてきた。
「ゼイル――か」
窓を開けながら受信ボタンを押す。
「こんにちはゼイル」
『ちわっす』
エレクトロンCEOのお孫さん、ゼイル・セイン。臣より二つ上の中学一年十二歳の少年である。
『要件、祖父に話したんだけど、協力は拒否されたって』
「……綺羅星と一緒か」
『え? 臣もう連絡取ったの?』
「ついさっきね」
ディスプレイの向こう側にあるゼイルの頬が膨らんだ。
『っちぇ。まあ良いや。
ところでさ、今年の春にある星冠の入隊試験受けようと思うんだけど』
「こっち来るの? まだ遊びたい盛りじゃないの?」
『臣の奴が中学上がったら受けるって言うからその前に入ってやろうと思って』
二人はライバルであり友でもある。後者の方は中々認めようとしないがはたから見るとそんな風にしか見えないのである。
「危険な仕事もあるから心構えは忘れずに」
『うん。でさ――』
疲れた……女の子の特権だと思っていた長電話だったけれどゼイルも同じだった。
「アプリ製作、明日にしようかな……」
呟くもそんなわけにはいかないので午後から取り組んだのだが、形になっていくのが予想よりも楽しく作業はトントンと進み四時間程で終わった。オレ凄くない?
後は必要な企業に連絡を取って、配信だ。星冠の権利と人脈を生かしてもこちらの方が時間がかかり三日程時は過ぎ去った。
では。【覇―はたがしら―】から【パナシーア・ネイル】と【アルターリ】へアクセス。
配信ボタンを――押した。
お読みいただきありがとうございます。
次回もよろしくお願いします。




