1.麗らかな日
((o(´∀`)o))ワクワク
「デュアメリーク〜、遊びに行こうよ!」
「あら、ダメよ~、私が先なんだから。」
「わ、私は先週お約束いたしました・・・っ!」
多情を司る神、デュアメリークは大いにモテた。
それはもう周りの男神がドン引くほどに。
そのことに嫉妬してデュアメリークに攻撃したり、あからさまに嫌がらせしたり、決闘をしたりした者もいるが、揃って返り討ちにされたので、次第に誰も手を出さなくなった。
そんな彼は私の対神。
一途を冠する私の対、多情を冠する神。
私とは相容れない存在。
だけど、私たちは仲が良かった。
仲がいいというのは語弊があるかもしれないが、少なくとも一緒に過ごして支障がないくらいには話せた。
でも、お互いの仕事に関しては懐疑的だった。
かたや一途、かたや多情。
私は一途な人たちを応援し、彼は多情な人たちを応援する。
対となるからこそ分かり合えない、この世の理だった。
そこはしょうがないので、会ったときは仕事の話はしていない。
最近はあまり会っていないけど・・・
高い塔の上からぼんやりとデュアメリークを眺める、クレメンティアの絹のような白い髪が風になびく。
薄桃色の花びらが、ふわりとクレメンティアの鼻先をくすぐった。
『対っていうのはね、仲良くできないものなのよ、クレアちゃん。』
ふと、対神の先輩である神の言葉を思い出した。
「仲良くできない・・・」
呟くようにそっとその言葉を反芻しながら、私は今日も人々に幸せを届けるために人間界へ足を運ぶ。
ーーーーーーー
(今日はここの街にしようかな・・・)
適当に見繕った大きめの街を上から眺め、祝福できそうな人間を探す。
この街は純粋な人族が多く、それなりに裕福な生活をしている人々が多い。
人々の中で身分を決めて国を統治する王政の国、ヴィレティア。
その首都となる街、ルクルゼラに彼らの屋敷はあった。
レドモンド・フェリクサー侯爵令息とその婚約者、ララベット・スペンディル伯爵令嬢。
彼らは幼い頃から定められた婚約者だった。
領地が隣同士で母同士が仲が良かったため、よくお互いの領地を行き来して遊んでいたのだった。
レドモンドは金髪碧眼の美しい青年だった。
明るく爽やかな笑顔を浮かべているので、とても親切そうな印象を受ける。
たが、なぜか婚約者のララベットと会うときは無表情で言葉少なだった。
ララベットのことが嫌いなのかとも思ったが、様子を見る限りそうでもなさそうだった。
対してララベットは、黒髪紫眼の物静かな少女だった。
5歳差というのが影響しているのか知らないが、レドモンドの隣に立つと肩の位置に頭がギリギリくるかどうかぐらいと、少し小柄だ。
花が綻ぶような笑い方をするので、大多数の人に密かに推されているらしい。
こちらも、レドモンドと会うときは口角を上げることすらしなかった。
だが、どうにも言いたいことが言えてないだけのようなのだが・・・
そして、今日は週に一度のお茶会の日。
二人はそれぞれの従者とメイドを連れて、フェリクサー侯爵邸の美しい庭でのお茶会に臨んでいた。
レドモンドの斜め後ろに控えたのは、専属騎士のラルフ・ヴィガー伯爵令息。
ララベットの斜め後ろに控えたのは、専属メイドのフローラ・キャロル子爵令嬢。
ラルフとフローラは心配そうに自分の主人を見ている。
それもそのはず。
彼らはお茶会の時になると、全くと言っていいほど話さないからだ。
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