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27.joint.共同作業*


目を覚ますと、時刻はまだ黒の青だった。色合い的にもうすぐ5時か?

時間を知るだけなのに考えないといけないのが、いちいちめんどくさい。これも慣れだろうか。

隣ではスライムもまだ寝ていた。まだ朝早いからなぁ。

寝る前に治癒してもらったから、体の疲労は取れているけれど、ケイ自身、まだ眠い。

掛布をスライムに取られていたせいで体は少し冷えてるが、さっきまで神の家にいたせいで気分は夏だ。

「くぁ〜・・・」

あくびをしながら、ケイは窓に近づく。カーテンを開けて外を見ると、ようやく陽がのぼり始めたのか、ほんの少しだけ明るい。

「・・・ジェイドのとこ、いこ。」

かすれた声で呟いて、ケイはカバンと剣を持った。

二度寝したら飯に寝過ごしそうだ。かと言ってこのままベッドにいたら寝てしまう。

まだ寝ているスライムも、起こさず放置して飯を逃した時が怖いので、このまま抱えて連れていくことにした。










キッチンで茶を入れてからジェイドの仕事部屋にいくと、珍しく留守だった。

両手に茶を持ったまま、部屋の前で途方に暮れていると、後ろからジェイドの声がした。

「・・・どうした?」

珍しく、自室にいたようだ。

「よう、茶持ってきた」

「・・・寝れないのか?」

子供を揶揄うような口調で言われて、ケイは少しムッとした。

「いや、早起きだわ。 ・・・二度寝したら飯に遅れそうだと思ってさ、話し相手になってくれよ」

「・・・構わないが。 ・・・別に、時間になればカンディアが起こしに行くだろう?」

「え? 起こしてもらったことないぞ?」

お互い、首を傾げあって、ジェイドは腑に落ちたように、ああ、と呟いた。

「・・この家で起こす相手、今までいなかったからな。悪い。明日から起こすよう伝えておく。」

「・・・いや、こっちこそ、悪い・・・。」

カンディアに色々と押し付けてる事を反省しながら、二人はジェイドの仕事部屋に入った。

仕事を始めるジェイドを眺めながら、ケイは鞄に入れて持ってきていた枕を取り出して、スライムを乗せて、撫でる。

ふと、気になった事を聞いてみた。

「さっきまで何してたんだ?」

「少し、寝ていた」

茶を飲んでからそう答えるジェイドに、ケイは驚いて問い返した。

「・・・お前、寝るのか?」

「・・・そう長い時間寝れるわけじゃないが、風呂に入ると体がリラックス状態になって、少しウトウトする。」

「体があったまるから?」

そう聞くと、ジェイドはうなずいて、また仕事に戻った。

ゴリゴリと薬研のこすれる音を聴いてたら、なんだか眠くなってきた。

これでは本末転倒だ。寝てもジェイドは起こしてくれなさそうだし。眠気覚ましにケイはまた話し始めた。

「寝るといえば、目覚まし時計はないのか?」

「めざまし?  気つけの薬ならあるが?」

「いや、そうじゃなくて、朝になったら起こしてくれる、魔道具みたいなやつ?」

「・・・朝になれば目が覚めるだろう?」

「いや、俺が起きてないじゃん」

そう言うと、ジェイドは呆れた顔でこちらを向いた。

「・・・俺は聞いたことがないな。 ・・・もし必要なら、自分で作ればいい。

 ・・・『やりたい事を探す』ことの一歩かもしれんぞ」


そう言われて、ふむ、とケイは考え込んだ。

ぶっちゃけ、この世界の時間は歪んでいて、わかりづらい。

なんだよ、夜になると時間経過が早くなるって。ゲームか?

「ものづくりって、どうするんだ?」

「知らん。俺は薬師だ、薬以外は専門外。」

素っ気ない態度のジェイドにケイは嘆息する。




・・・神にでも聞いてこよ。


考えを放棄して、ケイはそう結論付けた。










スライムをそのままに、一旦部屋に戻ってからケイはプレートに祈った。

「《・・・・・・・・・・・・・・・・・》」


目を開けると、いつも通りの神の家だ。

「さっききたばっかなのに。 どうしたの? コーヒーセットはまだ用意できてないよ?」

着流し姿なのは相変わらずだ。さっきケイが飲んでたマグカップもテーブルにそのまま置いてある。

「時間がわからん。今何時?」

「えーと、もうすぐ青の刻が終わる頃」

「それえぇ!!!!! 毎回困る!!!えーっと、ってなる!!!! 夜の時間経過も謎!!!めんどくさい!!」

ケイが大声で突っ込むと、ラファエルは耳を押さえて眉間にシワを寄せた。

「・・・時間がめんどくさい? ・・・どこが?」

「今のままじゃ時間わかんなくて待ち合わせ遅刻したりどっかで詰む。」

ケイが時間の大切さを切々と語り始め、ラファエルの眉間がジェイドのシワを超え始めた頃、

「・・・アースと同じにすればいいの?」

とため息をついた。

「・・・できんのか?」

「できるよ。時間の概念作ったの僕だし」

「頼む」

一も二もなく頼んだ。

本当は目覚まし時計を作る案が欲しかったのだが、時間自体が改善されるなら、それに越したことはない。

「うーん、でも僕、この色で表示するの気に入ってるんだよね」

「じゃあ、せめて一色ごとに時間経過を統一してくれ」

「・・・ああ、それだと六色で2時間ずつにすれば、白と黒で24時間になるね。アースと同じだ。」

「・・・色分けは覚えなきゃだな。

 ・・・めんどいけど、もうそれでいい。太陽の位置で時間を予測なんて嫌だ。現代文明に戻りたい。」

「わかったから、ごめんって。」

そう言って、規模の大きな魔法陣をテーブルに描き出すラファエル。

「ちょっとそのカップ退けて」

そう言われて、ケイは素直に二つのマグカップを退ける。

どこに置くか迷って、とりあえず手に持ったままラファエルのやる事を眺めた。

大きな魔法陣を描き終わると、ラファエルは手を振る。

するといつの間にかついていたテレビに映る、世界地図に魔法陣は吸い込まれるように消えていった。

「・・・はい、終わった。今の時間は、白の黄の刻。」

「地球で言うと?」

「えーと。 朝の6時、かな?」

「カンディアたちの朝飯の時間は?」

「白の橙の刻」

「つまり?」

「ハァ・・・ 君のめんどくさいって気持ちがよくわかったよ。時間は数字で、時計は色表示でいい? 

 ちなみにジェイドの家の朝食の時間は大体7時だから、残り1時間ある。」

「よっし!!ミッションクリア!!」

「・・・二度寝しなくて良かったね。もう用済んだら帰ってくれる? これでも僕、忙しいんだよ」


ラファエルがそう言うと、世界がひっくりかえった。

「ちょ!!雑!!」

「はいはい、またねぇ」

遇らうように手を振って追い出されてしまった。

まあ、目的に近付いたから、今回はよしとしよう。










ケイが目を開けると、心配そうにカンディアが覗き込んでいた。

あまりの至近距離にケイがびっくりしていると、カンディアが驚いたように安堵したようにほう、とため息をついた。

「良かったぁ、起きた・・・」

「・・・え?」

ようやく距離をとって、ケイが体を起こすと、カンディアは状況を説明してくれた。

「ジェイにいが朝ご飯の前に起こしてやってくれ、って言ったから声かけにきたんだけど、ケイにい揺すっても起きないから、呼吸確かめてたの。 ・・・息してなくて、死んじゃったかと思ったんだよ。 今ジェイにい呼びに行こうと思ってたの。」

まさか、そんなことになってたとは。 神の家にいる時は息すらしないってどう言う事だよ・・・

そう思いながら、ケイはカンディアに謝る。

「あー。ごめん。神の家に行ってた」

そう言うと、カンディアは驚いたように目を瞬かせた。

「・・・神の導き? ここで?」

「ん、そう。 なんか、プレートに祈ると、資格のある人はいつでもいけるんだって。」

兄妹に揃って何度も注意されたので、プレートは出さない。ケイも学ぶのだ。

「・・・そうなんだ。でもなんともなくて良かった。もうすぐご飯の時間だよ」

そう言って、カンディアは部屋から出て行った。


「飯の支度でも手伝うか・・・」

そう呟いて、寝ていたせいで、またも跳ねている毛を撫でつけながら、時計を見る。色は白の背景に黄色だ。グラデーションもいつか改善したい。が、今回は神もいい仕事をした。

ケイは一人、うんうんとうなずき、あくびをして立ち上がった。











朝食は川魚とスープにパンだった。魚の焼き加減は絶妙で内臓まで美味しく食べれた。

・・・けれども、昨日のご飯を恋しく感じる。

食事の後、カンディアは食器を洗いに行き、席についているジェイドとスライムに神様から次の課題が出た事を報告する。

「魔力の譲渡か・・・面白いな。」

「魔力の色?が合う人とじゃないとできないらしいよ」

「そうだろうな」

フン、とジェイドはつまらなさそうに呟いた。

・・・ケイのせいではないけど、他の人にできて、ジェイドにはできないというのは、申し訳ない気持ちになった。

「・・・で? それが終わったらこの里を出てくんだろ?」

ジェイドの問いにケイはうなずいた。

「そうだな、長く居すぎたし、ちょっと急ぎめに次の街に行くよ。

 ・・・ぶっちゃけこの世界の常識も足りてないから、情報収集の時間も欲しい。」

そう言うと、洗い物を済ませて戻ってきたカンディアが、少し悲しそうに呟く。

「・・・そっか、もうすぐ行っちゃうんだね」

「・・・寂しいか?」

ジェイドがそう聞くと、カンディアはうなずいた。なんか、そう言われるとケイまで寂しく感じてしまう。

「・・・せっかく仲良くなれたのに、スライムちゃんと離れるの、やだなぁ」


・・・スライムかぁ。

そうだよなぁ。うん。 仲良かったもんな・・・


ジェイドがこっちを見て笑った気がしたが、スルーすることにする。

「ま、こっちには結界の都合でも何度か戻ってくる予定だから、そんな寂しがらなくてもいいだろ」

ケイはそう言って、茶を飲む。

「そっか!!じゃあ、お役目が終わったら、たくさん遊ぼうね!!」

そう言って、スライムを抱きしめるカンディア。

ムギュムギュされながら満更じゃないスライムも、頬擦りするカンディアもかわいい。


 ・・・お茶はいつもより少し苦く感じた。











カンディアの洗濯ものをケイは代わりに持って、2人と1匹は一緒に診療所から出た。

ジェイドは一足先に森に採集に出かけた。いつも思っていたが、診療所はいつ開いてるんだろうか?

カンディアもジェイドも、いつもたくさん薬を作ってるが、接客とかしてるところ、ケイはまだ見たことがない。

 ・・・ついでに、いつも思うが、ジェイドの外出する時のあの格好はなんなんだろう。

ローブは前までしっかりと閉めて、顔は口元を同色の巻き布をして目元しか出してないし、ほとんど不審者じゃなかろうか。

洗濯場の前でカゴを渡して、カンディアと別れた。

カンディアと一緒にいたがるスライムをひっぺがして、ケイとスライムは洞窟に向かった。

もう恒例と言っていいほど日参しているほどの洞窟で、魔力操作と《ドレイン》の練習を開始する。

別に家でもできるけど、修行といえば、この洞窟な気がしたのだ。

「うーん、魔力の流れは見えるようになったけど、ぶっちゃけ、ドレインってどうやるんだろう」

ラファエルが言うには、ケイは感覚的に魔法が使えるらしいが、スキルとして確立させるにはまずコツを掴まないといけない。


ドレイン・・・ドレイン・・・


ぶつぶつ呟きながら、想像してみる。

スライムはつまんないとでも言うように、サウザンドウルフの方に行ってしまった。

ごろごろと前足で転がされながら遊んでいた。目が回らないのだろうか。


・・・ドレインといえば、吸い込んで溜める、と言う感じだろうか? ・・・と、いえば掃除機が近いかな?

掃除機を想像しながら、スライムに手を向ける。


「むーん・・・」

魔力に集中し、掃除機で吸い込むように魔力をかき集める。スライムがびくり、と反応した。

少しして、白っぽい魔力がスライムから流れてくる。

「お、意外とうまくいってる? 俺、天才か?」

そう呟いて、自分のステータスを確認する。



___________





アズマケイ


Lv.56


HP 1290/1298

MP 750/740

種族:ヒューマ

職業:剣士

称号:草原の勇者、《空の加護》

状態:正常




*スキル*

生活魔法

全攻撃魔法

鑑定

ブレンド茶

剣技(片手剣)

天読み

体術

魔力感知

結界生成

魔力操作





___________





もともと、マックスになってなかったMPがいつの間にか限界値を超えてる。

「これがドレイン?」

そう思いながら、さらに吸収していく。

スライムが「もうやだ、体がだるい〜」と泣き言を言うので励ましながら続けた。

スライムのステータスはまだ半分も減ってない。まだ余裕だ。

変換効率はMP3で2程度で、あまり効率がいいとはいえないが、スライムはMPだけはかなりある。

70ほど吸い取って糧にした頃、ケイの視界が揺らいだ。

「んあ・・・? な、んだこれ・・・」

めまいに耳鳴りがして、ぐらりと体が傾ぐ。慌てて、スライムにカンディアを呼ばせた。










ケイがフラフラしながら、洞窟から出ると、念話で知らせを受け、息を切らせて走ってきたカンディアと鉢合わせた。

ケイはカンディアの肩に担がれて、診療所に運ばれた。

前も思ったが、カンディアはかなりの力持ちだ。


診療所のあてがわれた部屋にケイは運び込まれ、カンディアは手早く診察を開始した。

ケイの症状を聞いて、心拍を図り、眼振を診て、魔力の流れなど、色々と体を診られる。

自分より幼い女の子が医者ってなんか変な気分だな、なんて呑気に思っていたら、「魔力酔いだね」と、言われた。

「魔力酔い・・・って、なんか、車酔いみたい・・・」

そう呟いて、うぷ。っと、吐き気を堪えるケイ。

「薬師の立場としてはこの特訓は危ないからやめさせたいけど・・・ これ、必要な事なんだよね?」

「そうしないと、役目を果たせないから・・・」

心配げなカンディアに、ケイがそう言って首を振ると、彼女はため息をついた。

「・・・体の負担にならないように、時間をかけて、魔力を体に馴染ませるといいかも。

 ゆっくりやったほうがいいよ。」

そう言って、テッツァの薬を混ぜた薬湯を差し出してくれた。ケイは素直にそれ受け取って飲む。ゲロまずい。

逆に吐きそうだ。

《鑑定》してみたら、魔力を吸い取って便と一緒に排出する効果のある薬らしい。

一応毒物扱いされていた。 ・・・まあ、薬も薬物だから、薬も毒の一部だろう。

もしかして、テッツァの実をそのまま《鑑定》した時に出た「毒がある」と言う説明は、この効果を指していたんだろうか。

「これからはここで特訓することにするよ」

そう言って、ケイはため息をついた。下を向くと吐き気がひどいので胃の中身が出そうだ。


「じゃあ、お大事に」

そう言って、カンディアは出て行った。







P.S.

何人かから、評価・ブックマークを頂けている事に昨日気づきました。これまた情弱で申し訳ないです・・・

いいねは投稿編集の欄に載るので気づいていたのですが、評価等までは目を通していませんでした。

ありがとうございます。見ていただけてるんだ、と思うと、とても嬉しいです。


誤字、脱字、違和感、感想などいただけると参考にいたします。よろしくお願いします。

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